ホライズンズ・ラティノ部門10作が発表*サンセバスチャン映画祭2021 ⑨ ― 2021年08月08日 15:04
ラテンアメリカ諸国からデビュー作3作を含む10作が一挙に発表

★8月4日、ホライズンズ・ラティノ部門のノミネーション10作が発表になりました。このセクションはブラジルを含むラテンアメリカ諸国のスペイン語・ポルトガル語映画に特化しています。翌日にはペルラス(パールズ)部門15作、日本からは先ほど閉幕したカンヌ映画祭の脚本賞を受賞した濱口竜介の『ドライブ・マイ・カー』が特別上映されるほか、コンペ部分にもベルリン映画祭で銀熊審査員グランプリを受賞した『偶然と想像』がノミネートされています。それはさておき、今回はホライズンズ・ラティノ部門のご紹介、ラテンアメリカに初めて金獅子をもたらしたベネズエラのロレンソ・ビガスやベルリン映画祭パノラマ部門でデビュー作が初監督作品賞を受賞したアロンソ・ルイスパラシオスなどの名前が目にとまりました。取りあえずタイトル、製作国、監督、キャスト、などのトレビアをアップします。



*ホライズンズ・ラティノ部門*
① Jesús Lopéz (アルゼンチン=フランス)2021年、90分、WIP Latam 2020
オープニング作品
監督:マキシミリアノ・シェーンフェルド Schonfeld(アルゼンチン、クレスポ1982)の本作はワールドプレミア、事故死したレーシングドライバーのヘスス・ロペスの従弟アベルのその後が語られる。
別途作品紹介予定
キャスト:ルカス・シェル、ホアキン・スパン、ソフィア・パロミノ、イア・アルテタ、アルフレッド・セノビ、パウラ・ランセンベルク、ロミナ・ピント、ベニグノ・レル
*作品紹介記事は、コチラ⇒2021年08月30日

② El empleado y el Patrón / The Employer and the Employee クロージング作品
(ウルグアイ=アルゼンチン=ブラジル=仏)2021年、106分、WIP Latam 2020
監督:マヌエル・ニエト・サス(ウルグアイ)の第3作目は、WIP Latam 2020のEGEDAプラチナ賞受賞作品、カンヌ映画祭と併催の「監督週間」にノミネートされている。『BPMビー・パー・ミニット』のナウエル・ぺレス・ビスカヤートが主演。
キャスト:ナウエル・ぺレス・ビスカヤート、クリスティアン・ボルヘス、フスティナ・ブストス、ファティマ・キンタニージャ

③ Amparo (コロンビア=スウェーデン=カタール)2021年、95分
監督:シモン・メサ・ソト(コロンビア、メデジン1986)の長編デビュー作、カンヌ映画祭併催の「批評家週間」にノミネートされている。短編「Leidi」(14)はカンヌで短編部門のパルムドールを受賞、2016年にも「Madre」がノミネートされている。両作とも当ブログでアップしています。長編デビュー作ということで別途作品紹介予定。
キャスト:サンドラ・メリッサ・トレス、ディエゴ・アレハンドロ・トボン、ルチアナ・ガジェゴ、ジョン・ハイロ・モントーヤ
*作品紹介記事は、コチラ⇒2021年08月23日

④ Aurora(コスタリカ=メキシコ=パナマ)2021年、92分、Cine en Construcción 37
監督:パス・ファブレガ(コスタリカ)の長編2作目、ロッテルダム映画祭に正式出品された。デビュー作「Agua fria de mar」(10)は同ホライズンズ・ラティノ部門にノミネートされた。
キャスト:レベッカ・ウッドブリッジ、ラケル・ビリャロボス

⑤ Azor (スイス=アルゼンチン=フランス)2021年、100分、
V Foro de Coproducon Europa=America Latina ヨーロッパ・ラテンアメリカ共同製作
監督:アンドレアス・フォンタナ(スイス)のデビュー作、アルゼンチン独裁政権とデサパレシードスを背景にした2人の銀行家が語られる。
キャスト:スティファニー・Cleau、ファブリツィオ・Rongione

⑥ La caja / The Box (メキシコ=米国)2021年、92分
監督:ロレンソ・ビガス(ベネズエラ、メリダ1967)は、デビュー作「Desde Allá」がベネチア映画祭2015で金獅子賞を受賞してシネマニアを驚かせた。ラテンビートでは『彼方から』の邦題で上映された。別途作品紹介予定。
キャスト:エルナン・メンドサ、Hatzin Navarrete
*作品紹介記事は、コチラ⇒2021年09月07日

⑦ Madalena (ブラジル)2021年、85分、Cine en Construcción 36
監督:マディアノ・マルチェティMadiano Marcheti(ブラジル)のデビュー作は、ロッテルダム映画祭のコンペティション部門にノミネートされている。マダレナの失踪に関係した3人の人物の物語が語られる。
キャスト:ナタリア・マザリン、ラファエル・デ・ボナ、パメリャ・ユーリ、Chloe Milan、マリアネ・カセレス

⑧ Noche de fuego / Players for The Stolen(メキシコ=独=ブラジル=カタール)
2021年、110分
監督:タティアナ・ウエソ(エルサルバドル1972、メキシコの二重国籍)の長編デビュー作、カンヌ映画祭「ある視点」でスペシャル・メンションを受賞している。ドキュメンタリー作家として高い評価を得ているウエソが初めて劇映画を撮りました。2016年のドキュメンタリー「Tempestad」は、アリエル賞2017監督賞、ベルリン映画祭カリガリ賞(特別審査員賞)、ゴヤ賞2018イベロアメリカ映画賞ノミネート、ハバナFF、リマFF他受賞歴多数。代表作にノンフィクション「El lugar más pequeña」(11)がある。別途作品紹介予定。
キャスト:アナ・クリスティナ・オルドニェス・ゴンサレス、マルヤ・メンブレニョ、マイラ・バタリャ
*作品紹介記事は、コチラ⇒2021年08月19日

⑨ Piedra noche / Dusk Stone (アルゼンチン=チリ=スペイン)2021年、87分、
WIP Latam 2020
監督:イバン・フンド(アルゼンチン)は、監督、脚本家、撮影監督、製作者。本作は一人息子を失った或る夫婦の苦悩が語られる。WIP Latam 2020の産業賞受賞作品。9月1日開催のベネチア映画祭と併催の「ヴェニス・デイ」がワールドプレミアになります。イバン・フンドは既に「Los labios」がカンヌの「ある視点」にノミネート、マル・デル・プラタFFやBAFICIブエノスアイレス国際インディペンデントFFなど国内の映画祭で受賞歴があります。
キャスト:マリセル・アルバレス、マラ・ベステリィ、アルフレッド・カストロ、マルセロ・スビオット、へレミアス・クアロ

⑩ Una pelícla de policías / A Cop Movie (メキシコ)2021年、107分
監督:アロンソ・ルイスパラシオス(メキシコシティ1978)は、モノクロで撮ったデビュー作「Güeros」(14)がSSIFF ホライズンズ・ラティノ部門で作品賞とユース賞を受賞、同年ラテンビートで『グエロス』の邦題で上映された。今回はベルリナーレ2021でイブラン・アスアドが銀熊フィルム編集賞を受賞している。別途作品紹介予定
キャスト:モニカ・デル・カルメン、ラウル・ブリオネス・カルモナ
*作品紹介記事は、コチラ⇒2021年08月28日

★今年は女性監督が2人とバランス的には偏りがありますが、タティアナ・ウエソの名前を久しぶりに目にしました。政情不安のエルサルバドル生れですがメキシコに渡って国籍を取得しています。今年はメキシコからアロンソ・ルイスパラシオスと2人がノミネートされた。どちらも話題作のようですから、秋の映画祭を視野に入れて作品紹介を予定しています。
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