アレックス・デ・ラ・イグレシア『スガラムルディの魔女』*ラテンビート2014 ⑧ ― 2014年10月12日 13:04
『スガラムルディの魔女』はホラー・コメディ
★トロント国際映画祭2013年「Midnight Madness部門」のピープルズ・チョイスの次点に選ばれた記事以来、ゴヤ賞2014ノミネーション予想記事&結果(⇒1月13日・15日、2月13日)、第1回イベロアメリカ・プラチナ賞ノミネーションと何回となく登場させました。劇場公開日時も決定、公式サイトもアップされたので割愛しようと考えていましたが、データ中心に纏めたくなりました。というのも鑑賞後「面白くなかったからチケット代返して!」と要求する観客はいないでしょうから。長編第11作目、ほぼ全作が公開かDVD化されるという人気監督、今回「アレックス・デ・ラ・イグレシア特集」が組まれ、結婚したばかりのカロリーナ・バング(エバ役)とハネムーンも兼ねて再来日した。
*スガラムルディの魔女 Las brujas de Zugarramurdi(Witching and Bitching)*
製作:Enrique Cerezo Producciones Cinematográficas
S.A. /
La Fermel Production, arte France Cinéma
監督:アレックス・デ・ラ・イグレシア
脚本:ホルヘ・ゲリカエチェバリア、アレックス・デ・ラ・イグレシア
撮影:キコ・デ・ラ・リカ
編集:パブロ・ブランコ
美術:アルトゥロ・ガルシア、ホセ・ルイス・アリサバラガ
音楽:ジョアン・バレント
音響:ニコラス・デ・ポウルピケ 他
衣装デザイン:フランシスコ・デルガド・ロペス
メイクアップ・ヘアー:マリア・ドロレス・ゴメス・カストロ 他
特殊効果:フアン・ラモン・モリナ、フェラン・ピケ
プロダクション・ディレクター:カルロス・ベルナセス
製作者:エンリケ・セレソ、ベラネ・フレディアニ、フランク・リビエレ
データ:スペイン=フランス、スペイン語、2013、コメディ・ホラー、112分、映倫区分R15+
サンセバスチャン映画祭2013のコンペ外で上映(9月22日)後、スペイン公開9月27日。
キャスト:ウーゴ・シルバ(強盗ホセ・フェルナンデス・クエスタ)、マリオ・カサス(強盗トニー/アントニオ)、ハイメ・オルドーニェス(タクシー運転手マヌエル・サンチェス・ガルシア)、カルメン・マウラ(人食い魔女リーダー/グラシアナ)、テレレ・パベス(グラシアナ母マリチェ)、カロリーナ・バング(グラシアナ娘エバ)、カルロス・アレセス(魔女コンチ)、サンティアゴ・セグラ(魔女ミレン)、セクン・デ・ラ・ロサ(警部ハイメ・パチェコ)、ペポン・ニエト(警部アルフォンソ・カルボ)、マカレナ・ゴメス(ホセの元妻シルビア)、ガブリエル・デルガド(ホセとシルビアの息子セルヒオ)、ハビエル・ボテ(ルイス・ミゲル/ルイスミ)、マリア・バランコ(魔女アンシアナ)、アレクサンドラ・ヒメネス(トニーの恋人ソニア)他
受賞歴:ゴヤ賞2014、:10部門ノミネート(助演女優賞・オリジナル作曲賞・撮影賞・編集賞・美術賞・プロダクション・ディレクター賞・衣装デザイン賞・メイクアップ・ヘアー賞・音響賞・特殊効果賞)され、オリジナル作曲賞・撮影賞を除いて8部門で受賞した。
◎寸評:過去には『みんなのしあわせ』(2000)や『気狂いピエロの決闘』(2010)などが主要な作品賞に絡んだ年もありましたが、本作は素通りしました。ゴヤ賞受賞の記事にも書いたことだが、10個のなかに監督賞・作品賞が含まれていない。10個もノミネートしながら指揮官たる船長が無視されるなんておかしい。彼自身のゴヤ賞は、『ビースト、獣の日』(1995)一作だけと聞いたら「まさかぁ」とビックリする人が多いのではないか。
*ブリュッセル・ファンタジー映画祭2014:金のワタリガラス賞・ペガサス観客賞受賞
*シネマ・ライターズ・サークル賞(西)2014:助演女優賞受賞テレレ・パベス
*ファンタスポルト2014:観客審査員賞・特殊効果賞受賞
*フェロス賞(西)2014:助演男優賞マリオ・カサス・助演女優賞受賞テレレ・パベス
*フォトグラマ・デ・プラタ賞2014:フォトグラマ・デ・プラタ賞受賞
◎他ノミネートは、多数で書ききれないから省略。
プロット:妻と別れたホセは、最愛の息子セルヒオにパリのデズニーランドに連れて行くと約束していた。女たらしのトニーは、女に惚れやすくその趣向の幅も広いのだ。二人の共通項と言えば、昨今のスペインじゃ珍しくもなくなった失業者。手っ取り早く経済的問題を解決するには何をしたらいい? それは貴金属店を襲うに決まってるでしょ。まんまと強盗に成功したにわか作りの強盗団、タクシーに飛び乗って一路フランスへ高跳びしようと一目散。ところが道に迷った一行を待ちうけていたのは、ナバラの小村スガラムルディの親子三代にわたる由緒ある魔女軍団、はたして軍杯はどちらの手に。 (文責管理人)
(母子三代の魔女軍団)
(左から、テレレ・パベス、カルメン・マウラ、カロリーナ・バング)
★デ・ラ・イグレシア作品にお馴染みの面々が登場、大物サンティアゴ・セグラ、アルモドバル作品にはもう出ないがアレックスのには出ると発言していたカルメン・マウラ、『気狂いピエロの決闘』の泣きピエロ役だったカルロス・アレセス、半世紀以上にわたる女優人生を歩むテレレ・パベスの怪演も見物です。シリーズ『REC』のニーニャ・メデイロス役の大当たりから『気狂いピエロの決闘』や『刺さった男』に起用されたハビエル・ボテ、『トガリネズミの巣穴』のマカレナ・ゴメス。かてて加えてマリア・ブランコ、ペポン・ニエト・・・など。
★そして、デ・ラ・イグレシア学校の新入生が主役を演じたウーゴ・シルバとマリオ・カサスのイケメン二人、これで「お茶の間OB」になれたでしょうか。もう一人の新入生が子役のガブリエル・デルガド、子供は親を選べません。悪い星の下に生れると魔女の生贄にされかねません。
(左から、ウーゴ・シルバ、マリオ・カサス)
★デビュー作『ハイルミュタンテ!』(1993)に出てくる粉屋の主人のセリフ「40年間、好きで粉屋の社長をやってたわけじゃない」に大笑いしてから20年、貴金属店強盗たちのコスプレ(キリストと兵士)を見れば、監督が一貫して拘ってきたテーマが見えてきます。大袈裟なドンチャン騒ぎ、これでもかと言わんばかりの型にハマった特殊効果など、すでに見たり聞いたりしたことがあるような感じを受けるかもしれませんが、そんな不満はゼイタクというものです。
(キリストと兵士)
★監督、主役女優の来日で急遽アップしましたが、第2弾として本日予定されている上映後のQ&Aを交えて感想を追加いたします。
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://aribaba39.asablo.jp/blog/2014/10/12/7456723/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。