アグスティン・ディアス・ヤネスの新作はNetflix*SSIFF2025 ①2025年07月16日 10:49

   Un fantasma en la batalla」の主役は1990年代のETA潜入捜査官

    

 

 

アグスティン・ディアス・ヤネスの新作Un fantasma en la batalla / She Walks in Darkness」が、Netflix で配信されるニュースに接しデータを集めていたところにサンセバスチャン映画祭のノミネーション発表が飛び込んできました。まだスペイン映画に限定した部分的な発表ですが、アウト・オブ・コンペティション部門上映が決まったようです。セクション・オフィシアルのスペイン映画には、ホセ・マリ・ゴエナガアイトル・アレギのコンビがタッグを組んだ「Maspalomas」と、サンセバスチャンに25年ぶりに戻ってきたホセ・ルイス・ゲリンの「Historias del buen valle / Good Valley Stories」、アルベルト・ロドリゲスの「Los  Tigres」の3 作がノミネートされていました。追い追いアップしていく予定です。

 

★アグスティン・ディアス・ヤネスの新作は、1990年代からおよそ10年間を、ETAバスク愛国主義のテロ組織に潜入して諜報活動をした若い治安警備隊員の実話に触発されて製作されました。19951月、サンセバスティアン市長選挙に国民党PPから立候補していたグレゴリオ・オルドーニェスが投票前日に暗殺される前から始まるようです。5年前からの構想ということで、今春クランクイン、フランス側バスクで撮影が開始されています。ヒロインのアマイアにスサナ・アバイトゥアが扮しますが、架空の人物です。ETAのテロリスト・グループに潜入した女性捜査官はアランサス・ベラドレ・マリン(偽名、本名はエレナ・テハダ)たった一人で、彼女をベースに人物造形をしたそうです。この女性潜入捜査官を主役にした、アランチャ・エチェバリアの「La infiltrada」ではカロリナ・ジュステが演じて、ゴヤ賞2025主演女優賞を受賞、エチェバリア監督もマルセル・バレナの「El 47」と作品賞を分かち合いました。

La infiltrada」の作品紹介記事は、コチラ20250115

   

       

            (スサナ・アバイトゥア、フレームから)

 

★製作スタッフは、『雪山の絆』を手掛けた、J. A. バヨナベレン・アティエンサ、サンドラ・エルミダ、ラウル・ギベルトなどが全員集合しています。

    

      

            (監督、製作者、メインキャストが勢揃い)

 

 「Un fantasma en la batalla / She Walks in Darkness

 (邦題『そして彼女は闇を歩く』)

製作:Producción de Bayona / Netflix

監督・脚本:アグスティン・ディアス・ヤネス

撮影:パコ・フェメニア

音楽:アルナウ・バタリェル

美術:ハイメ・アンドゥイサ

プロダクションデザイン:アライン・バイネー

キャスティング:フアナ・マルティネス

衣装デザイン:サイオア・ララ

メイクアップ:ベアトリス・ブスタマンテ

製作者:J. A. バヨナ、ベレン・アティエンサ、サンドラ・エルミダ、ラウル・ギベルト

 

データ:製作国スペイン、2025年、スペイン語、歴史、政治サスペンス、テロリズム、105分、撮影地ギプスコア県、フランス領バスク地方イパラルデ Iparralde、スペイン公開103日、Netflix 配信1017日が決定

映画祭・受賞歴:サンセバスチャン映画祭2025アウト・オブ・コンペティション上映

 

キャスト:スサナ・アバイトゥア(アマイア)、アンドレス・ゲルトルディスク、イライア・エリアス、ラウル・アレバロ、アリアドナ・ヒル、エドゥアルド・レホン、アントン・ソト(エタラ)、イニャキ・バルボア(ボリナガ)、エネコ・サンス(チェリス)、アンデル・ラカジェ(アンドニ)

 

ストーリー:若い治安警備隊員アマイアがETAテロ組織に潜入した約10年間が語られる。舞台は1990年代から2000年にかけての南フランスのバスク、アマイアのミッションはテロ組織が隠し持つ秘密兵器のアジト(スロス)を突き止めることでした。テロとの直接の闘いに関与し、スペインの歴史的、政治社会的文脈に根ざした捜査官たちの生活と経験に触発されて製作された。

 

アグスティン・ディアス・ヤネス監督紹介1950年マドリード生れ、監督、脚本家、作家。本作は7年ぶりの監督作品になる。本祭関連の映画として、1995年のデビュー作「Nadie hablara de nosotras cuando hayamos muerto」があり、審査員特別賞を受賞したほか、主役のビクトリア・アブリルが銀貝女優賞を受賞した。翌年のゴヤ賞でも8冠を制した。1997年『死んでしまったら私のことなんか誰も話さない』の邦題で劇場公開されている。

     

    

            (アグスティン・ディアス・ヤネス)

   

2001年「メイド・イン・スペイン」部門で2作目「Sin noticias de Dios」(『ウェルカム!ヘヴン』)、本作は当時のスペインで破格の製作費を費やして製作され、ペネロペ・クルス、ビクトリア・アブリル、ガエル・ガルシア・ベルナル、エルサ・パタキーなどが出演、撮影費の高いパリでも撮影された。そして2006年、ビゴ・モーテンセンをリクルートしたヒット作「Alatriste」は、ベストセラー作家アルトゥーロ・ペレス=レベルテの小説の映画化、2年後の2008年にはアブリル、新作出演のアリアドナ・ヒル、ピラール・ロペス・デ・アヤラ、エレナ・アナヤ、ディエゴ・ルナなどスターを起用して撮った「Solo quiero caminar」(『4人の女』DVD)、2017年「Oro」は、16世紀のアマゾン熱帯雨林に伝説の黄金都市を探し求めるアドベンチャー歴史ドラマ、ホセ・コロナド、オスカル・ハエナダ、新作出演のラウル・アレバロ、バルバラ・レニーなどが出演した。

    

    

            (邦題『アラトリステ』の最後のシーン)

  

当ブログ初登場のキャスト紹介

スサナ・アバイトゥア(バスク自治州ビトリア1990)、エレナ・タベルナの「La buena nueva」でトゥールーズ・シネスパニャ2008で新人女優賞受賞、ロドリゴ・ソロゴジェン「Stockholm」(13)、アンヘル・ゴンサレスのホラー「Compulsión」でタブロイド・ウォッチ賞助演女優賞受賞、アイトル・ガビロンドの「Patria」(20)でTVシリーズ助演女優賞ノミネート、ダニ・デ・ラ・オルデンの「Loco por ella」(21『クレイジーなくらい君に夢中』)、アラウダ・ルイス・デ・アスアのラブコメ「Eres tú」(23『だから、君なんだ』)、TVシリーズ「Farad」(23『華麗なるファラド家』8話)、サルバドール・カルボの「Valle de sombras」(23)、ダニ・ロビラと共演したイボン・コルメンサナの「El bus de la vida」(24)、マラガ FF2025コンペティションのダニエル・グスマン「La deuda」(25)など、ラブコメとシリアスドラマが演じられる若手女優。

    

      

 

アンドレス・ゲルトルディスク(マドリード1977)、J. A. バヨナ『永遠のこどもたち』、最近ではホナス・トゥルエバの「Volvereis」、アバイトゥアと共演した「El bus de la vida」、アルベルト・モライスの「La terra negra」など出演のベテラン。マラガ映画祭2007短編部門「Verano o Los defecos de Andrés」で銀のビスナガ男優賞受賞、「Morir」でゴヤ賞2018主演男優賞ノミネート、2018年メディナ映画祭21世紀の俳優に選ばれる。

   

  

   (アンドレス・ゲルトルディスクとスサナ・アバイトゥア、フレームから)

 

イライア・エリアス1980)、アシエル・アルトゥナの「Amama」でゴヤ賞2016新人女優賞とシネマ・ライターズ・サークル賞にノミネート、コルド・アルマンドスがサンセバスチャン映画祭2018でバスク映画賞イリサル賞を受賞した「Oreina / Ciervo」に出演している。

   

     

          (イライア・エリアス、デビュー作「Amama」から)

 

  

 (ラウル・アレバロ、フレームから)

   

   

      (アリアドナ・ヒルとスサナ・アバイトゥア、フレームから)

 

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