第28回マラガ映画祭2025〈特別賞〉授与式*マラガ映画祭2025 ⑦ ― 2025年03月31日 15:16
カルメン・マチのマラガ―スール賞
★受賞者のキャリア紹介も中途半端のままですが〈特別賞〉の授与式のフォトをアップしておきます。映画祭上映または公開が期待できそうな作品紹介は、ぼちぼちアップしていきます。資金調達の困難が大きな問題となっているイベロアメリカ映画の本数が少なかったのが気がかりです。
◎マラガ―スール賞(スール紙とのコラボ)授与式3月15日、セルバンテス劇場にて
カルメン・マチ(1963マドリード、女優)
★金のビスナガ受賞者は、授与式に先だって地中海を見下ろす遊歩道アントニオ・バンデラス通りに手形入りの記念碑を建ててもらえる。マラガ生れのバンデラスはマラガ名誉市民で、本祭にも毎年多額の資金提供をしてマラガ市の発展に尽くしている。

★登壇したのは人気TVシリーズ「Aída」で共演したメラニ・オリバーレスと「Un efecto óptico」のペポン・ニエトほか、監督兼俳優のパコ・レオン、監督兼劇作家ミゲル・デル・アルコ、キャスティング監督ルイス・サン・ナルシソ、監督ナチョ・ガルシア・ベリリャとメディアプロ・グループの総指揮者ラウラ・フェルナンデス・エスペソ、彼女とメラニ・オリバーレスがトロフィーをカルメンに手渡した。


◎レトロスペクティブ賞―マラガ・オイ(マラガ・オイ紙とのコラボ)授与式3月21日
セルバンテス劇場にて
ギレルモ・フランチェラ(ギジェルモ・フランセーリャ、1955ブエノスアイレス、俳優)
★アウト・オブ・コンペティション作品、ハビエル・ベイガの「Playa de lobos」に主演、セルバンテス劇場の舞台には、監督以下、共演者ダニ・ロビラ、製作者のヘラルド・エレーロとマリエラ・ベスイエフスキー、アルゼンチンから駆けつけた俳優のオスカル・マルティネスなどが登壇しました。
*キャリア&フィルモグラフィー紹介は、コチラ⇒2025年03月14日

(受賞祝いに馳せ参じた仲間たちに囲まれて・・・)
★受賞者は「ユーモアがふんだんにあるだけでなく、物語の進行にそって突然暗闇が表面化するような作品が大好きです」とコメントした。

◎マラガ才能賞―マラガ・オピニオン(マラガ・オピニオン紙とのコラボ)授与式3月18日、
セルバンテス劇場にて
エレナ・マルティン・ヒメノ(1992バルセロナ、女優、監督、脚本家)
★プレゼンターは、監督で脚本家のクララ・ロケ、プロデューサーのマルタ・クルアニャスとアリアドナ・ドット、俳優のオリオル・プラの4名でした。それぞれ受賞者とコラボしてきた仲間です。マルティン・ヒメノは「2作とも自分が主演監督してきましたが、将来的にはもうしないと考えている。というのも書いて、演じて監督するのは理想的ではないからです」コメントした。2作とは「Júlia ist」と「Creatura」です。
*キャリア&フィルモグラフィー紹介は、コチラ⇒2025年03月14日


◎リカルド・フランコ賞(スペイン映画アカデミーとのコラボ)授与式3月17日、
セルバンテス劇場にて
ロラ・サルバドール(1938バルセロナ、作家、脚本家、監督、製作者)
★コラボしているスペイン映画アカデミー会長フェルナンド・メンデス=レイテ以下、フェルナンド・レオン・アラノア監督、脚本家カルロス・マリネロ、脚本家でDAMA*会長のビルヒニア・ヤグエ、キャスティングディレクターのセシリア・バヨナスとリカルド・フランコの娘ロラ・フランコが登壇した。ロラ・フランコとは長い付き合いということです。受賞者は「ここ数年脚本家の仕事は悪くなってきている。知性の名のもとに現れたテクノロジーによって重要性が軽視されている」とAIに脅威を感じているということでしょうか。
*DAMA:Derechos de Autor de Medios Audiovisuales 視聴覚機関著作権。2022年6月就任した。
*キャリア&フィルモグラフィー紹介は、コチラ⇒2025年03月14日


◎ビスナガ・シウダ・デル・パライソ賞、授与式3月19日、セルバンテス劇場にて
マリア・ルイサ・サン・ホセ(1946年マドリード、女優)
★プレゼンターは、半世紀にわたってスペイン映画で活躍した女優を讃えたスペイン映画アカデミー会長フェルナンド・メンデス=レイテ、お祝いに駆けつけたのは、受賞者の伝記を上梓した作家でジャーナリストのパスクアル・ベラ、ジャーナリストのルイス・アレグレ、AraFilmFest 会長ホセ・アントニオ・アギラル、マラガのオペラ歌手カルロス・アルバレスと全員男性シネアストたちでした。
*キャリア&フィルモグラフィー紹介は、コチラ⇒2025年03月14日


◎ビスナガ栄誉賞、授与式3月20日、エチェガライ劇場にて
アレハンドロ・アグレスティ(1961年ブエノスアイレス、監督、脚本家、製作者)
★本祭メインディレクターのフアン・アントニオ・ビガルからトロフィーを受け取った。プレゼンターのビガルは受賞理由をこの国際的に傑出したシネアストを「アレハンドロ・アグレスティは、疑う余地のない才能と映画の重要性を携えて多くのジャンルを超えてきた監督、アルゼンチンにとどまらず国際的な基準となる映画つくりをしてきた。彼の作品はシネマ愛好家が寄せる興味に応えている」とヨーロッパやハリウッドでも製作している映画作家の功績を強調した。

(左端フアン・アントニオ・ビガル、中央受賞者)
★受賞者アグスティは、「受賞は驚きと感謝でいっぱい、ここに立っていることに感動しています。私はマラガには一度も来たことがなかったからです。このように素晴らしい町と素敵な人々に出会えるなんて」とスピーチした。

(トロフィーを手にしたアレハンドロ・アグレスティ)
★彼とタッグを組んだスターには、ヤン・デ・ボンの『スピード』で一躍有名になったサンドラ・ブロックとキアヌ・リーブスのコンビを起用した『イルマーレ』、その共演者クリストファー・プラナー、監督自身も出演した「No somos animales」(13、『ノー・アニマルズ』)のジョン・キューザックとアル・パチーノ、そのほかセシリア・ロス(00、「Una noche con Sabrina Love」)、カルメン・マウラ(02、「Valentin」)など枚挙に暇がない。
★移住していたオランダと合作した1986年の「El hombre que ganó la razón」(86)は、ベルリン、カンヌ、サンセバスチャンと権威ある映画祭に出品された。1996年にはアルゼンチンの軍事政権下(1976~84)で行方不明になった犠牲者の子供たちが抱える疎外感をテーマにした「Buenos Aires Vice Versa」は、マル・デル・プラタ映画祭だけでなく海外も含めて多くの映画祭に出品され受賞している。2006年のワーナーブラザースが製作した前出の『イルマーレ』(「La Casa del Lago」)が、アルゼンチン出身の監督でハリウッドに進出した最初のシネアストになりました。
第28回マラガ映画祭2025結果発表*マラガ映画祭2025 ⑥ ― 2025年03月28日 09:01
金のビスナガは聾者の母親が主人公のエバ・リベルタードの「Sorda」

★3月22日アルベニス映画館、第28回マラガ映画祭2025授賞式が10日間の日程を無事こなして閉幕しました。模様は国営テレビ(La 2 de TVE)で放映されました。金のビスナガは、スペイン映画がエバ・リベルタードの「Sorda」、本作は作品・主演女優(ミリアム・ガルロ)・主演男優(アルバロ・セルバンテス)・観客賞の4冠、下馬評通りの受賞、批評家と観客の評価に乖離がなかった『タパス』(05)以来と報じられた。イベロアメリカ映画はチリのビンコ・トミシックの「El ladrón de perros」で、共に副賞として8,000ユーロが授与されます。

(左から、ミリアム・ガルロ、エバ・リベルタード監督、アルバロ・セルバンテス)
★総合司会者は「El 47」でゴヤ賞2025助演男優賞を受賞したサルバ・レイナと、昨年に続いてジャーナリストでTV司会者のエレナ・サンチェスでした。「金のビスナガ」は作品賞のみで、審査員特別賞以下すべて「銀のビスナガ」です。

(総合司会者サルバ・レイナとエレナ・サンチェス)
★ガラはコルドバ出身の歌手マリア・ホセ・リェルゴ(1994)の "La bien pagá" で幕を開けました。彼女はマルセル・バレナの「Mediterraneo」の “Te espera el mar” でゴヤ賞2022オリジナル歌曲賞を受賞しています。中盤に会場を盛り上げたのが、オルタナティブロック・ミュージシャンのソエル・ロペス(Xoel アコルーニャ1977)、“Tierra” を朗唱しました。しんがりがマラガ出身のシンガーソングライターのエル・カンカ(El Kanka、1981)が “Pasa la vida” で会場を沸かせました。
★セクション・オフィシアルの審査員は、審査委員長メルセデス・モラン(アルゼンチンの女優)、プチョ(Vetusta Morlaの歌手)、ピラール・パロメロ(監督、脚本家)、カルロス・マルケス=マルセ(監督、脚本家)、エストレージャ・アライサ(メキシコのグアダラハラ映画祭ディレクター)、ダニエラ・ベガ(チリの女優、歌手)、イレネ・エスコラル(女優)、ベレン・クエスタ(女優)の8名でした。パロメロ監督、マルケス=マルセは、金のビスナガ受賞者です。
★今年のマラガ映画祭は、連日のように雨が降ったりやんだりの天候には恵まれないエディションだった。しかし上映作品は260作にもなるレベルの高い作品が上映されたそうです。セクション・オフィシアルも22作、アウト・オブ・コンペティションも21作と例年より多く、ボルハ・コベアガ、マリア・リポルなどベテラン監督が多いこともあり、コンペより興味を惹く作品が目につきました。今年から観客賞の投票を50%ずつに分け、それぞれに授与することにした由。最初の受賞者はベテラン監督のフリオ・メデムの「8」が獲得しました。
★本祭のメインディレクターを続投しているフアン・アントニオ・ビガルは「観客、産業界、マスメディアが私たちに求めているもののバランスを考慮した」、「今のように怒りが充満し互いに攻撃的な世の中では、文化は常に指針となり、マラガは進むべき最良の道となっている」と自画自賛した。しかしスペイン映画が15作、イベロアメリカ映画7作は本数的にも不公平ではないでしょうか。
*第28回マラガ映画祭2025セクション・オフィシアルの受賞結果*
◎金のビスナガ作品賞(スペイン映画、副賞8.000ユーロ)
「Sorda」エバ・リベルタード監督、製作Distinto Films / Nexus CreaFilms /
A Contracorriente Films
★監督は「本作はムルシアの農村の片隅から始まり、金のビスナガに辿りつくことができました。この長い旅はひとえに多くのシネアストの努力とムルシアTVの協力のお蔭です。夢の実現に力を貸してくださった全ての人々に感謝を申し上げたい」とスピーチした。本作専用の手話者が受賞者と一緒に登壇した。
*プレゼンターは、審査委員長メルセデス・モランと審査員ダニエラ・ベガ


(エバ・リベルタード監督、フォトコール)
◎金のビスナガ作品賞(イベロアメリカ映画、副賞8.000ユーロ)
「El ladrón de perros」ビンコ・トミシック監督、製作Color Monster /
Zafiro Cinema / Calamar Cine
★来マラガは製作者のアルバロ・マンサノと主役を演じたフランクリン・アロのふたりだけでした。製作者と配給元のエドゥアルド・カジェが登壇した。カジェが「最近ボリビアのプロダクションがイベロアメリカ映画賞を受賞しています。全てのボリビアの人々に捧げます」とスピーチした。アレハンドロ・ロアイサ・グリシの『UTAMA~私たちの家~』が2022年に金のビスナガを筆頭に監督賞、批評家審査員特別賞など受賞している。
*プレゼンターは、審査員ピラール・パロメロ、同カルロス・マルケス=マルセ


(アルバロ・マンサノとフランクリン・アロ、フォトコール)

◎審査員特別賞(銀のビスナガ)
「Los Tortuga」ベレン・フネス監督
★監督と製作者がスピーチした。他に監督賞、脚本賞を受賞した。
*プレゼンターは、審査員ベレン・クエスタ、俳優カルロス・バルデム

◎監督賞
ベレン・フネス(「Los Tortuga」)
*プレゼンターは、カンヌ映画祭2024女優賞のカルラ・ソフィア・ガスコン、ゴヤ賞2025主演女優賞のカロリナ・ジュステでした。

◎主演女優賞(‘マラガ・パラシオ・ホテルAC’(今回は2名)
アンヘラ・セルバンテス(「La furia」ジェマ・ブラスコ監督)
★レイプ事件のトラウマを抱えた被害者を演じた。「Sorda」で主演男優賞を受賞したアルバロ・セルバンテスは4歳上の実兄です。他に本作は助演男優賞、編集賞の3冠でした。

ミリアム・ガルロ(「Sorda」)
★聾者の母親を演じたが、実際に聴覚障碍者でもあり、スピーチは手話を交えて喜びを語りました。エバ・リベルタード監督の実妹、視覚芸術を専門とするアーティスト、演劇、ダンス、女優と多才。

(自ら手話をまじえてスピーチするミリアム・ガルロ)

(二人の受賞者、アンヘラとミリアム)
◎主演男優賞(今回は2名)
アルバロ・セルバンテス(「Sorda」)兄妹で主演俳優賞を同時に受賞するのは珍しい。

マリオ・カサス(「Molt lluny / Muy lejos」ヘラルド・オムス監督)


(二人の受賞者、アルバロとマリオ)
◎助演女優賞
マリア・エレナ・ぺレス(「Perros」ヘラルド・ミヌッティ監督)
★受賞者欠席でビデオ出演、代理が受け取った。

(ビデオでスピーチした受賞者)
◎助演男優賞
アレックス・モネール(「La furia」)

◎脚本賞
ベレン・フネス&マルサル・セブリアン(「Los Tortuga」)

(ベレン・フネスとマルサル・セブリアンにそれぞれトロフィーが渡された)
◎音楽賞
フィリペ・ラポソ(「Lo que queda de ti」ガラ・グラシア監督)

◎撮影賞
アルバン・プラド(「Sugar Island」ジョアンヌ・ゴメス・テレロ監督)


◎編集賞
ディダック・パロウ&トマス・ロペス(「La furia」)
◎批評家審査員特別賞
「Molt lluny / Muy lejos」ヘラルド・オムス監督



(主演のマリオ・カサスとヘラルド・オムス監督)
◎観客賞(エルパイス紙)
「Sorda」エバ・リベルタード監督

◎アウト・オブ・コンペティション観客賞
「8」フリオ・メデム監督



★監督賞審査員特別メンションに、セリア・リコ・クラベリーノの「La buena letra」と、サラ・ファントバの「Jone, Batzuetan / Jone, Aveces」が受賞した。ポルトガル語映画「Una quinta portuguesa」は無冠に終わりました。割愛しているセクション・オフィシアル・ソナシネ(金のビスナガ)、ドキュメンタリー(銀のビスナガ)には副賞として4.000ユーロ、短編映画、短編アニメーションには2.000が与えられます。
★観客動員数は108.000人、期間中に来マラガした人々が散財したお金は、チケット代、ホテル代、飲食代含めて約2.175.000ユーロだった由、馬鹿にならない数字です。さて、第29回マラガ映画祭2026は、3月6日~3月15日とアナウンスされました。
セクション・オフィシアル(イベロアメリカ映画)*マラガ映画祭2025 ⑤ ― 2025年03月23日 21:20
チリのビンコ・トミシックの「El ladrón de perros」が金のビスナガ受賞
★作品紹介が終わらないうちに受賞作が発表になってしまいました。作品賞「金のビスナガ」は、イベロアメリカ映画賞がビンコ・トミシックの単独監督デビュー作「El ladrón de perros」、スペイン映画賞はエバ・リベルタードの「Sorda」、本作は観客賞もゲットしました。他、ベレン・フネスの「Los tortuga」が銀のビスナガ審査員特別賞と脚本賞、ヘラルド・オムスの「Molt lluny」が銀のビスナガ批評家審査員特別賞を受賞しました。全受賞作は授賞式を含めて後日アップ予定。
*セクション・オフィシアル(イベロアメリカ映画)*
1)「Culpable cero」アルゼンチン=スペイン、2024年、110分、コメディドラマ
監督:ヴァレリア・ベルトゥチェリ(ブエノスアイレスのサンニコラス1969、長編2作目)、舞台女優としてスタートを切る。TVや映画に出演、2018年「La reina del miedo」で監督デビュー、サンダンス映画祭女優賞を受賞する。モラ・エリサルデ(デビュー作)、ブエノスアイレス大学で映像&音響デザインを専攻卒業する。2012年広告編集者としてキャリアを切り、TVシリーズの編集(「Morko y Mali」)やビデオクリップを制作する。2018年、宣伝広告と並行して映画プロジェクトの監督や脚本も手掛けている。
*ベルトゥチェリ監督キャリア&フィルモグラフィー紹介は、コチラ⇒2018年04月10日
脚本:ヴァレリア・ベルトゥチェリ、モラ・エリサルデ、マレナ・ピチョト
製作:Pampa Films / Gloriamundi Producciones
キャスト:ヴァレリア・ベルトゥチェリ(ベルタ・ミュラー)、セシリア・ロス(カローラ)、ユスティナ・ブストス(マルタ)、ガイア・ガリバルディ(オリビア)、マルティン・ガラバル(ラミロ)、メイ・スカポラ(グレース)、マラ・ベステッリ(サンドラ)、ルシア・マシエル(グアダ)他

(左からヴァレリア・ベルトゥチェリ、モラ・エリサルデ、2025年03月18日)

2)「El diablo en el camino」メキシコ=フランス、2024年、108分
監督・脚本:カルロス・アルメリャ(メキシコシティ、長編3作目)、イギリスの映画学校(CCC)とロンドン映画学校で学ぶ。短編「Tierra y pan」がベネチア映画祭2008短編部門の金獅子賞を受賞、そのほか受賞歴多数。ドキュメンタリー「Toro negro」は共同監督だが、サンセバスチャン映画祭2005でオリソンテス賞、ハバナ映画祭サンゴ賞を受賞、モレリア映画祭でも上映された。長編デビュー作「En la estancia」(15)はロッテルダム映画祭でプレミアされ、グラマドやサンディエゴなど国際映画祭で受賞している。2作目「Animo juventud !」(20)はモレリアFF、釜山青少年映画祭にノミネートされた。TVシリーズ多数。
製作:CIMA / B Positivo Producciones / Tita B Producciones / Zensky Cine /The42Films 他
キャスト:ルイス・アルベルティ(フアン)、マイラ・バタジャ(イサベル)、アケツァリー・ベラステギ Aketzaly Verastegui、リカルド・ウスカンガ、オスワルド・サンチェス、ロベルト・オロペサ、他


3)「El ladrón de perros / The Dog Thief」ボリビア=チリ=メキシコ=仏=伊、2024年、
90分、トライベッカ映画祭2024上映
監督・脚本:ビンコ・トミシック・サリナス(サンティアゴ・デ・チリ1987、長編単独デビュー作)、監督、脚本家、製作者。2014年、制作会社 Calamar Cine を設立。フランシスコ・エビアとの共同監督作品「El fumigador」(16)が、PÖFFタリン・ブラックナイツでプレミア上映され、SANFIC 2016 でナショナルフィルム賞を受賞した。カンヌ映画祭シネフォンダシオンとベネチア・ビエンナーレ・カレッジ・シネマ・プログラムで企画された。マラガ映画祭2025イベロアメリカ映画賞金のビスナガ受賞。
製作:Color Monster / Zafiro Cinema / Calamar Cine
キャスト:アルフレッド・カストロ(セニョール・ノボア)、フランクリン・アロ(マルティン)、テレサ・ルイス(セニョリータ・アンドレア)、マリア・ルケ(グラディス)、フリオ・セサル・アルタミラノ(ソンブラス)、ニノン・ダバロス(セニョーラ・アンブロシア)


4)「Nunca fui a Disney」アルゼンチン、2024年、74分
監督:マティルデ・トゥテ・ヴィサニ(ブエノスアイレス1989、デビュー作)、ブエノスアイレス大学の映像&音響デザイナーとしての学位を得る。監督、脚本家、フィルム編集者。2017年「Rosa」で短編デビュー、長編第1作である「Nunca fui a Disney」は第25回BAFICI(ブエノスアイレス国際インディペンデントFF)で監督賞を受賞している。第2作の準備中。
脚本:マティルデ・トゥテ・ヴィサニ、アグスティナ・マルケス・メルリン
キャスト:ルシア・マルティネス・ラグ(ルシア)、アレハンドラ・ボルヘス、アルマ・フロレス、フランシスコ・アンテロ、ヘレミアス・サラテ、ルシアナ・ロメロ、ヤミラ・アスクアガ


5)「Perros」ウルグアイ=アルゼンチン、2025年、102分
監督・脚本:ヘラルド・ミヌッティ(デビュー作)、社会コミュニケーションを専攻、10年間ジャーナリストだった。2013年ウルグアイ文化教育省の奨学金を得て映画を学んでいる。短編「Hogar」(18)は、ビアリッツ・ラテンアメリカ映画祭で審査員特別メンションを受賞、グアダラハラ映画祭コンペティション部門にノミネートされている。長編デビュー作は、
製作:Cinevinay / Cimarrón(The Mediapro Studio)
キャスト:ネストル・グツィーニ、マルセロ・スビオット、マリア・エレナ・ぺレス、ノエリア・カンポ、ロベルト・スアレス、カタリナ・アリジャガ、マヌエル・タテ、ソレダード・ペラヨ


6)「Sugar Island」ドミニカ共和国=スペイン、2024年、90分、ドキュメンタリー
テッサロニキ映画祭2024 WIFT 賞、ベネチア映画祭ヤング審査員賞ほか受賞、
マラガ映画祭2025銀のビスナガ撮影賞(アルバン・プラド)受賞
監督:ジョアンヌ(ヨハンヌ)・ゴメス・テレロ(ドミニカ共和国1985、ドキュメンタリー3作目)、ドキュメンタリー監督、脚本家、製作者、キューバの国際映画テレビ学校 EICTV の講座のコーディネーター。カタルーニャ映画視聴覚上級学校ESCACで映画配給修士課程卒業。短編ドキュメンタリー「Bajo las carpas」(14、52分)で監督デビュー、2016年「Caribbean Fantasy」を発表している。
脚本:ジョアンヌ・ゴメス・テレロ、マリア・アベニア
製作:Tinglado Film / Guasábara Cine
キャスト:イェリダ・ディアス Yelida Diaz、フランシス・クルス、フアン・マリア・アルモンテ、ルス・エメテリオ、ヘネシス・ピニェイロ、ディオゲネス・メディナ


7)「Violentas mariposas」メキシコ、2024年、101分、モレリア映画祭2024、
メキシコ公開2024年10月
監督・脚本:アドルフォ・ダビラ(長編デビュー作)、監督、脚本家、製作者、メキシコシティのメトロポリタン自治大学 UAM でデザインを専攻した後、フルブライト奨学金を得て、ワシントンのアメリカン大学で映画を学び、ニューメキシコのサンタフェにある人類学フィルムセンターでも学んでいるなど多才。広告映画、ドキュメンタリー、ミュージックビデオ、短編5作を撮っており、現在長編2作目が進行中。
製作:Neural / Mandarina Cine
キャスト:ディアナ・ラウラ DI(エバ)、アレハンドロ・ポーター(ビクトル)、ノルマ・パブロ(テレ)、ソフィー・アレクサンダー・カッツ(ロラ)、ジェルマン・ブラッコ(マテオ)、レオナルド・アロンソ(ラウル)、フアン・ルイス・メディナ(ムニェコ)、ヤヨ・ビジェガス(レオン)、他


セクション・オフィシアル(スペイン映画)*マラガ映画祭2025 ④ ― 2025年03月20日 21:50
★前回に引き続いて、主にスペインが製作国の映画をアップしました。
7)「La terra negra / La tierra negra」スペイン=パナマ、2024年、98分、スペイン語、カタルーニャ語
監督:アルベルト・モライス(バレンシア、長編4作目)
脚本:アルベルト・モライス、サムエル・デル・アモル
製作:Olivo Films / Elamedia / Dexiderius Produccciones / Garra Produccciones
キャスト:ライア・マルル(マリア)、セルジ・ロペス、アンドレス・Gertrudix、アブデラティフ・Hwiidar、ロサナ・パストル、アルバロ・バゲナ、マリア・アルビニャナ、トニ・ミソ、ブルノ・タマリト


8)「Lo que queda de ti」スペイン=ポルトガル=イタリア、2024年、91分
監督・脚本:ガラ・グラシア(シウダーレアル県バルデペニャス1988、デビュー作)、マドリード・コンプルテンセ大学で視聴覚コミュニケーションを専攻、ロンドンのキングストン大学大学院で監督及び脚本を受講している。短編3作目「Evanescente」(12分)はマラガ映画祭2024短編部門で上映、フォルケ賞にもノミネートされた。
製作:Potenza Produccciones / Bastian Films / Fado Filmes / Sajama Films /
Garbo Prodezioni 協賛 ICAA / マドリード共同体、アラゴン州政府、他
キャスト:ライア・マンサナレス(サラ)、アンヘラ・セルバンテス(エレナ)、ルイ・デ・カルバーニョ、アンナ・テンタ、イグナシオ・オリバル、ナタリア・リスエニョ


9)「Los tortuga」スペイン=チリ、2024年、109分
監督:ベレン・フネス(バルセロナ1984、長編2作目)、デビュー作「La hija de un ladrón」がサンセバスチャン映画祭2019セクション・オフィシアルにノミネート、グレタ・フェルナンデスが銀貝女優賞を受賞している。
脚本:ベレン・フネス、マルカル・セブリアン
製作:Oberon Media / La Claqueta PC / La Cruda Realidad / Los Tortuga La Pelicula AIE / Quijote Films
キャスト:アントニア・セヘルス(デリア)、エルビラ・ララ(アナベル)、マメン・カマチョ、ペドロ・ロメロ、ロレナ・アセイトゥノ、メルセデス・トレダノ、セルヒオ・イェルペス
*「La hija de un ladrón」&監督紹介は、コチラ⇒2019年07月23日


10)「Molt lluny / Muy lejos」スペイン=オランダ、2025年、100分、カタルーニャ語、
オランダ語、字幕上映、2025年4月11日スペイン公開予定
監督・脚本:ヘラルド・オムス(バルセロナ1983、デビュー作)、短編「Inefable」(21)はマラガ、グアダラハラ、バルセロナなどの映画祭に出品され、ウエスカ映画祭やアルカラ・デ・エナレスなどで受賞している。
製作:Zabriskie Films / Revolver Amsterdam
キャスト:マリオ・カサス(セルヒオ)、ダビ・ベルダゲル、イリヤス・エル・ウアダニIlyass El Ouahdani、ジェティ・マチュリンJetty Mathurin、ハネケ・ファン・デル・パールトHanneke van der Paardt、Reinout de Vey Mestdegh、ラウル・プリエト、ナウシカ・ボニン、ダニエル・マドラン


11)「Ravens / Cuervos」(邦題『レイブンズ』)スペイン=フランス=日本=ベルギー、2024年、116分、字幕上映、日本公開2025年3月28日
監督・脚本:マーク・ギル(マンチェスター、長編2作目)、脚本家、監督、写真家、ミュージシャン。デビュー作「England is Mine」(17、『イングランド・イズ・マイン モリッシー、はじまりの物語』公開)、短編「Full Time」(13)など。
製作:Minded Factory / Vestapol Films / Ark Entertainment / The Y-House / Katsize Films
キャスト:浅野忠信(深瀬昌久)、瀧内公美(深瀬洋子)、ホセ・ルイス・フェラー、古舘寛治(深瀬助蔵)、高岡早紀(南海)、池松壮亮(正田モリオ)


12)「Ruido」スペイン=メキシコ、2024年、85分
監督:イングリデ・サントス・ピニョール(バルセロナ、デビュー作)、ESCACで学ぶ。イサベル・コイシェがプロデュースした短編「Beef」がバジャドリード映画祭2019で上映、マイアミ映画祭2020でイベロアメリカ部門の短編映画賞を受賞、ゴヤ賞2021短編映画部門にノミネートされている。
脚本:イングリデ・サントス、リュイス・セグラ
製作:Sábado Pelíclas / Playtime Movies / Filmin / La Corte 協賛 ICEC / ICAA
キャスト:ラティファ・ドラメ(ラティ)、ジュディシュ・アルバレス・バルガス(ジュディ)、アサーリ・ビバン


13)「Sorda / Voslse」スペイン、2025年、100分、ベルリン映画祭2025パノラマ部門観客賞受賞作品
監督・脚本:エバ・リベルタード(ムルシア州モリーナ・デ・セグラ1978、デビュー作)、マドリード・コンプルテンセ大学卒、監督、脚本家、社会学者。ヌリア・ムニョスと共同監督した短編「Sorda」(21、18分)がゴヤ賞2023にノミネート、続く「Mentiste, Amanda」(16分)はメディナ・デル・カンポ映画祭2024で作品賞を受賞している。
製作:Distinto Films / Nexus CreaFilms / A Contracorriente Films
キャスト:ミリアム・ガルロ(アンヘラ)、アルバロ・セルバンテス(エクトル)、エレナ・イルレタ、ホアキン・ノタリオ


14)「Todo lo que no sé」スペイン、2025年、113分
監督・脚本:アナ・ランバリ・テリャエチェ(デビュー作)、バスク大学で美術を専攻した後、マドリード映画研究所で映画を学んでいる。
製作:Naif Films / 39 Escalones Films / The Other Film / Robot Productions
キャスト:スサナ・アバイトゥア(ラウラ)、フランシスコ・カリル、ナタリア・ウアルテ、アネ・ガバライン、アンドレス・リマ、イニャキ・アルダナス


15)「Una quinta portuguesa」スペイン=ポルトガル、2024年、114分、
ポルトガル語・スペイン語、字幕上映、スペイン公開2025年5月9日予定
監督・脚本:アベリナ・プラト(バレンシア1972、長編2作目)、監督、脚本家、大学では建築を専攻、デビュー作「Vasil」(22)は、ワルシャワ映画祭で上映され、バジャドリード映画祭ではカラ・エレハルデとイワン・バルネフが主演男優を受賞している。シネマ・ライターズ・サークル賞2023を受賞など受賞歴多数。フェルナンド・トゥルエバ、セスク・ゲイ、ハビエル・レボーリョなどの助手をしている。
製作:Distinto Films / O Som e a Fúria / Jaibo Films
キャスト:マノロ・ソロ(マヌエル)、マリア・デ・メデイロス(アマリア)、ブランカ・カティック(オルガ)、リタ・カバソ(リタ)、イワン・バルネフ、ルイサ・クルス


★次回はアルゼンチン、ウルグアイ、メキシコなどイベロアメリカ映画をアップします。
セクション・オフィシアル作品22作*マラガ映画祭2025 ③ ― 2025年03月18日 16:04
ダニエル・グスマンの2作目「La deuda」がオープニング作品

★肝心の作品紹介が後手に回っていますが、スペイン製作とイベロアメリカ製作に分けて、今回はスペイン映画の紹介。タイトル、製作国、製作年、監督、製作、脚本家、上映時間、主なキャストなどを列挙します。本祭は新人の登竜門と位置づけされていますが、グラシア・ケレヘタやサンティ・アモデオのようなベテラン勢が増えている印象があります。
*第28回マラガ映画祭2025セクション・オフィシアル作品*
1)「La deuda」スペイン=ルーマニア、2024年、115分
オープニング作品
監督&脚本:ダニエル・グスマン(マドリード1973,長編2作目)、デビュー作「A cambio de nada」がゴヤ賞2016新人監督賞ほかを受賞している。
製作:La Deuda AIE / Aquí y Allí Films / El Niño Producciones / 他
キャスト:ダニエル・グスマン(ルカス)、イツィアル・オトゥニョ、スサナ・アバイトゥア、ロサリオ・ガルシア、ルイス・トサール、モナ・マルティネス、フランセスク・ガリード、フェルナンド・バルディビエソ
*主な紹介記事は、コチラ⇒2015年04月12日


2)「El cielo de los animales」スペイン=ルーマニア、2024年、84分
監督&脚本:サンティ・アモデオ(セビーリャ1969、長編7作目)
製作:Grupo Tranquilo PC / Cinelab
キャスト:ラウル・アレバロ、マノロ・ソロ、ヘスス・カロサ、パウラ・ディアス、アフリカ・デ・ラ・クルス、クラウディオ・ポルタロ


3)「Jone, Batzuetan / Jone, a veces」スペイン、2025年、80分、バスク語、スペイン語
監督:サラ・ファントバ(ビルバオ、デビュー作)
製作:Escac Studio / Escandalo Films / Amania Films / ECPV
脚本:サラ・ファントバ、ヌリア・マルティン、ヌリア・ドゥンホ
キャスト:オライア・アグアヨ、ジョセアン・ベンゴエチェア


4)「La buena letra」スペイン、2024年、110分
監督&脚本:セリア・リコ・クラベリーノ(セビーリャ1982、長編3作目)、第1作「Viaje al cuarto de una madre」がゴヤ賞2019新人監督賞にノミネートされた。
製作:Mod Producciones / Misent Producciones / Arcadia Motion pictures
キャスト:ロレト・マウレオン、エンリク・アウケル・サルダ、ロジェール・カザマジョール、アナ・ルハス、ソフィア・プエルタ、テレサ・ロサノ
*紹介記事は、コチラ⇒2019年01月06日


5)「La buena suerte」スペイン、2024年、90分
監督:グラシア・ケレヘタ(マドリード1962、長編10作目)、「Siete mesas de billar francés」でサンセバスチャン映画祭2007脚本賞、「15 años y un día」でマラガ映画祭2013金のビスナガ作品賞と銀のビスナガ脚本賞を受賞。
脚本:グラシア・ケレヘタ、マリア・ルイス
製作:Tornasol Media / Arlas Producciones Cinematograficas AIE / Trianera Producciones Cinematograficas AIE
キャスト:ウーゴ・シルバ、メガン・モンタネル、ミゲル・レリャン、エバ・ウガルテ、イスマエル・マルティネス(パブロ)、パキ・オルカホ、アルバル・リコ、チャニ・マルティン、ジョセアン・ベンゴエチェア、ダニエル・ビタリェ
*主な紹介記事は、コチラ⇒2016年07月05日


6)「La furia」スペイン、2025年、107分、カタルーニャ語、スペイン語(字幕上映)
監督:ジェマ・ブラスコ(バルセロナ、デビュー作)
脚本:ジェンマ・ブラスコ、エバ・パウネ
製作:Ringo Media / RM Pelicula AIE
キャスト:アンヘラ・セルバンテス(アレックス)、アレックス・モネール(アドリアン)、エリ・イランソ、カルラ・リナレス、ビクトリア・リベロ、サリム・ダプリンセ、パウ・エスコバル、アナ・トレント


★既に第1回めの上映が終わっています。以下次回に続く。
第28回マラガ映画祭2025開幕*マラガ映画祭2025 ② ― 2025年03月17日 19:07
3人の歌手フデリネ、ラ・タニア、アントニオ・オロスコで構成されたガラ

(セルバンテス劇場、3月14日)
★3月14日(現地)、第28回マラガ映画祭2025がマラガのセルバンテス劇場で開幕しました。総合司会者は、バレンシア出身の女優、TVシリーズでお馴染みのパトリシア・モンテロ(1988)が務めました。司会者は社会における文化の重要性にふれ、「文化は人々の理性や感情の発展のために重要な手段となります。なぜなら個々人の批判精神、自覚、責任と連帯などを決めるからです」と語った。またパトリシアはマラガ映画祭の先駆的特徴として、「女性シネアストの重用」を上げました。「実際に今回のセクション・オフィシアル作品の60%が女性監督です」とも語った。数えたら22作中13作が女性監督でした。

(総合司会者のパトリシア・モンテロ)
★司会者を掩護したミュージシャンたち、最初に登場したカディス生れのJudeline(本名ララ・フェルナンデス・カストロ)は、2003年生れの22歳という若いシンガーソングライター、今宵は ”Bodhitale” を披露した。中盤にラ・タニアが登場して “El emigrante” を、しんがりをアントニオ・オロスコが務め、場内から盛大な拍手を貰いました。

(フデリネ Judeline)

(ラ・タニア)
★セクション・オフィシアル審査員8名のうち、ピラール・パロメロ監督、カルロス・マルケス=マルセ監督、歌手のプチョ(ゴヤ賞2024オリジナル歌曲賞受賞)などが登壇しました。審査委員長はアルゼンチンの女優メルセデス・モランも登場してスピーチしました。審査員紹介は後日アップしますが、女性6名男性2名とここでも女性が多い。なかにチリの女優で歌手のダニエラ・ベガ、『ナチュラルウーマン』(17)で主役を演じた。本作は監督のセバスティアン・レリオが米アカデミーのオスカー像(外国語映画賞)を手にした作品でした。本祭のメインディレクターを連投しているフアン・アントニオ・ビガルの挨拶が続きました。

(司会者と審査委員長メルセデス・モラン)
★特別賞のマラガ―スール賞以下、レトロスペクティブ賞、マラガ才能賞ほか、マラガ栄誉賞などが紹介されました。金の映画に選ばれた「Furtivos」(75、ホセ・ルイス・ボラウ監督)は、公開50周年ということが受賞理由の一つのようでした。セクション・オフィシアル、アウト・オブ・コンペティション、ZonaZine、ドキュメンタリー、短編、シネマ・コシナなど、各セクション紹介があり、最後にアントニオ・オロスコがガラを締めくくりました。この後、オープニング作品、ダニエル・グスマンの「La deuda」上映に移った。

(アントニオ・オロスコ)

(左から4人め、アカデミー会長フェルナンド・メンデス=レイテ、
マラガ映画祭総指揮フアン・アントニオ・ビガル)

(左端ダニエル・グスマン監督、開幕作品「La deuda」)
第28回マラガ映画祭2025特別賞*マラガ映画祭2025 ① ― 2025年03月14日 19:10
マラガ映画祭の〈特別賞〉マラガ―スール賞にカルメン・マチ

★第28回マラガ映画祭は3月14日に開催(23日まで)、6つの特別賞(大賞マラガ―スール賞、レトロスペクティブ賞―マラガ・オイ、マラガ才能賞―マラガ・オピニオン、リカルド・フランコ賞、ビスナガ・シウダ・デル・パライソ賞、クラシック映画から選ばれる金の映画)が発表になっています。コンペティション部門にあたるセクション・オフィシアル作品(今回22作)、アウト・オブ・コンペティション作品も全て出揃っていますが、取りあえず特別賞をアップいたします。アルゼンチンの俳優、コメディアンでもあるギレルモ・フランチェラが黒一点です。当ブログではスペイン語読みのギジェルモ・フランセージャでご紹介していますが、アルゼンチンではイタリア語で呼ばれている由。各賞ともキャリア&フィルモグラフィー紹介を予定しています。ビスナガ栄誉賞にはアルゼンチンのアレハンドロ・アグスティ監督受賞が発表になっています。
*マラガ映画祭2025特別賞*
◎マラガ―スール賞(スール紙とのコラボ)
カルメン・マチ(女優)、1963年マドリード生れ、17歳で舞台女優としてデビューして以来、TVシリーズ、映画にと走り続けている。当ブログでもキャリア紹介を含めて何回も登場させていますが、マラガ―スールが未だだったとは意外です。舞台女優が長かったこと、長寿TVシリーズの「7 vidas」(98話出演、00~06)や「Aida」(95話出演、05~14)出演もあり、映画で主役を演じるのは、2009年のハビエル・レボーリョの「La mujer sin piano」まで待たねばなりませんでした。そして翌年、エミリオ・アラゴンのデビュー作「Paper Birds」主演でラテンビート映画祭2010に監督と来日した。本作は『ペーパー・バード~幸せは翼にのって』で公開された。ゴヤ賞2015助演女優賞を受賞した「Ocho apellidos vascos」までのキャリア&フィルモグラフィーをアップしていますが、後日それ以降を予定しています。
*「Ocho apellidos vascos」の紹介記事は、コチラ⇒2015年01月28日

◎レトロスペクティブ賞―マラガ・オイ(マラガ・オイ紙とのコラボ)
ギレルモ・フランチェラ(ギジェルモ・フランセージャ、俳優、映画・舞台・TV)、1955年ブエノスアイレス生れ、祖父がイタリアからの移民。メキシコ映画の『ルド&クルシ』(08、カルロス・キュアロン)、スール賞・クラリン賞・銀のコンドル賞(助演男優)を受賞した『瞳の奥の秘密』(09、フアン・ホセ・カンパネラ)、イベロアメリカ・プラチナ賞(主演男優)を受賞した『エル・クラン』(15、パブロ・トラペロ)が公開されている。実在した営利誘拐犯を演じるのは、ストレスのたまる楽しくない役柄だったと語っている。
*『瞳の奥の秘密』作品紹介は、コチラ⇒2014年08月09日
*『エル・クラン』の主な作品紹介記事は、コチラ⇒2016年11月13日

◎マラガ才能賞―マラガ・オピニオン(マラガ・オピニオン紙とのコラボ)
エレナ・マルティン・ヒメノ(女優、脚本家、監督)、1992年バルセロナ生れ、最新作「Creatura」(23、カタルーニャ語)では、主演、脚本、監督と三面六臂の活躍、才媛ぶりを発揮している。カンヌ映画祭と併催される「監督週間」でプレミアされ、翌年のガウディ賞2024では作品賞と監督賞を受賞、ほかに助演男優・助演女優・新人俳優・編集賞を受賞している。ほかにサンセバスチャン映画祭2023ドゥニア・アヤソ賞を受賞している。既にキャリア&フィルモグラフィーをアップしておりますが、マラガ映画祭関連では、監督デビュー作「Júlia ist」(17)が ZonaZine 部門の銀のビスナガ作品賞、同右監督賞、Movister+賞を受賞している。
*「Creatura」の作品・キャリア紹介は、コチラ⇒2023年05月22日
* ガウディ賞2024授賞式の記事は、コチラ⇒2024年02月11日
*「Júlia ist」の作品紹介は、コチラ⇒2017年07月10日

★女優としてのキャリアは、ベルリン映画祭でプレミアされた後、第22回マラガ映画祭2019短編部門に出品された、イレネ・モライの「Suc de Síndria」(英題「Watermelon Juice」)に主演、銀のビスナガ女優賞、イベロアメリカ短編映画祭で主演女優賞、メディナ映画祭2019主演女優賞など受賞した。ゴヤ賞2020では監督と製作者ミリアム・ポルテが短編映画賞を受賞している。メリチェル・コレルの「Con el viento」は、マラガFF 2018 ZonaZine 部門で作品賞を受賞している。老いた母親と3姉妹という4人の女性の生き方をめぐる作品で、エレナは末娘に扮した。マラガFF でプレミアされたマリア・リポルの「No nos mataremos con pistolas」(22)は、何年も会っていなかった5人の友人の再会劇、昔の愛と傷の記憶が彼らを過去への旅に駆り立てる。アレックス・ロラ・セルコスの「Unicornios」(23、仮題「ユニコーン」)もマラガFF 出品作品、主役はグレタ・フェルナンデスですが、エレナも共演している。1979年生れの若手監督として個人的に注目しているので、以下に作品紹介をしておきます。
*アレックス・ロラ・セルコスの「Unicornios」の作品紹介は、コチラ⇒2023年03月14日

★演劇活動も活発で、バルセロナのベケット・ホールで実験演劇ラボラトリー Els malnascutsの共同設立者の一人。若者(16歳から30歳)が対象の脚本や演技のワークショップを行っている。
◎リカルド・フランコ賞(スペイン映画アカデミーとのコラボ)
ロラ・サルバドール・マルドナド(作家、脚本家、監督、製作者)、1938年バルセロナの共和派の家庭に生れる。スペイン内戦後マドリードに移り、英国学校で学んだ。1962年から70年までラジオ、新聞社、劇場、映画、TV界などで働いている。作家、脚本家、映画監督、製作者という多才なキャリアは、スペインの現代文化に不可欠な存在であり、その芸術性、社会的な影響力は際立っている。スペイン映画アカデミー AACCE、脚本家労働組合 ALMA、オーディオビジュアルメディア著作権 DAMAの創設者の一人。1980年代後半まではサルバドール・マルドナドを使用している。

★記憶に残る仕事として、1997年のピラール・ミロの問題作「El crimen de Cuenca」を上げたい。これはロラ・サルバドール自身の同名小説の映画化で、脚本も監督と共同執筆している。本作はスペイン内戦前の1910年にクエンカ村で実際に起きた冤罪事件をベースにしている。フランコ没後、既に検閲制度も廃止されていたにもかかわらず、治安警備隊による凄惨な拷問シーンが描かれていることから、彼らによる上映禁止が画策され、監督を軍法会議にかけようとさえした。本作はスペインの見せかけの民主主義が露呈した問題作、「第1回スペイン映画祭1984」で『クエンカ事件』の邦題で上映された。

(小説「クエンカ事件」の表紙)
★ハイメ・チャバリの代表作「Bearn o La sala las muñecas」(83、「ベアルン」)と「Las bicicletas son para el verano」(84、「自転車は夏のために」)の脚本を執筆している。2作ともスペイン映画史に残る名作、前者はリョレンソ・ビリャロンガの同名小説の映画化、後者は俳優、監督、戯曲家でもあったフェルナンド・フェルナン=ゴメスの戯曲の映画化である。カルロス・モリネロとタッグを組んだ「Salvajes」(01)はホセ・ルイス・アロンソ・デ・サントスの同名戯曲の映画化、ゴヤ賞2002脚色賞を監督などと受賞している。同監督とはドキュメンタリー「La niebla en las palmeras」がトライベッカ映画祭2006審査員賞にノミネートされている。ほかにキューバの女優ミルタ・イバラの監督デビュー作「Titón, de La Habana a Guantanamera」(08、ドキュメンタリー)の脚本を執筆している。ティトンとはイバラの亡夫トマス・グティエレス・アレア監督の愛称、サンセバスチャン映画祭のオリソンテス・ラティノス部門に正式出品された。
★上記以外の受賞歴では、2011年芸術功労賞金のメダル、2014年映画国民賞、2021年シモーヌ・ド・ボーヴォワール賞などを受賞、2023年カタルーニャ映画アカデミー名誉会員、2024年DAMA名誉会員になっている。
◎ビスナガ・シウダ・デル・パライソ賞
マリア・ルイサ・サン・ホセ(女優)、1946年マドリード生れ、非常に若いときからマドリード・フィルム現像所でモノクロの現像やフィルム編集などの分野で働き始める。その後、国際ラジオ放送局のアナウンサーの研修生になる。続いてスタジオ・モロの宣伝モデルになり、1965年、マルセル・オフュルスの「Hagan juego, señoras」(仏西合作)で映画デビューする。主にフランコ没後の民主主義移行期、Tercera Vía(第三の道)運動と称されたグループの作品に出演している。人気はあるが質的に劣る、あるいは良質だが観客がそっぽを向いて不人気、そのどちらでもない良質で興行的に成功する「第三路線」を目指した運動。

★ペドロ・ラサガのコメディ「Hasta que el matrimonio nos separe」(77、ホセ・サクリスタンと共演)、未公開だが『欲望 BESTIA HUMANS』の邦題でTV放映されている。エロイ・デ・ラ・イグレシアの「El diputado」(78、ホセ・サクリスタン、ホセ・ルイス・アロンソと共演)は、およそ20年後の東京国際レズ&ゲイ映画祭1999で『国会議員』の邦題で上映された。そのほか主役ではないが、名脚本家と言われたラファエル・アスコナが執筆したアントニオ・ヒメネス・リコの「Soldadito español」(88)、カルロス・サウラが自身の少年時代を投影させた「Pajarico」(97)では、少年の叔母役で出演した。本作は「スペイン映画祭1998」で『パハリーコ―小鳥―』の仮題で上映されている。ホセ・ルイス・ガルシア・サンチェスの「Adiós con el corazón」は良質のコメディで、フアン・ルイス・ガリアルドがゴヤ賞2001主演男優賞を受賞している。その他、アナ・マリスカル、ハビエル・アギーレ、マリアノ・オソレス、ゴンサレス・シンデ、ロベルト・ボデガス、ペドロ・オレアなど多くの監督に起用されている。

(ホセ・サクリスタンと夫婦役を演じた『国会議員』のフレームから)
★TVシリーズ出演も多く、ナルシソ・イバニェス・セラドールの「Mañana puede ser verdad」(64)、70年代からは、「Animales racionales」(72~73、4話)、フェルナンド・フェルナン=ゴメスと共演した「El pícaro」(74)、ヘスス・プエンテと共演した「Diálogos de un matrionio」(82、13話)、テレノベラ「Nada es para siempre」(00)、歌手ロシオ・ドゥルカルと共演した「Los negocios de mamá」(97、13話)、ホルヘ・サンスが主演した「El inquilino」(04、13話)などが上げられる。
★舞台女優としては、1964年、ホセ・オスナ演出の「Golfus de Roma」で初舞台を踏む。イギリスの劇作家エムリン・ウィリアムズ、スペインではガルシア・ロルカ、ホセ・ルイス・アロンソ、アドルフォ・マルシリャチ、ミゲル・ナロス、フランシスコ・ニエバ、ギリシャ悲劇を代表するソフォクレス、シェイクスピア、ロペ・デ・ベガ、カルデロン、オニールなど、現代劇からギリシャ古典劇まで守備範囲は広い。1974年ルイス・ブニュエル新人賞、1975年ア・コルーニャ映画祭トーレ・デ・ヘラクルス賞、2009年ムラ・セグンド・デ・チョモン栄誉賞、2022年ビジネス・プロフェッショナル・ウーマン BPW 組織化に寄与したことで平等発言賞などを受賞している。
◎金の映画
「Fultivos」(1975)、監督ホセ・ルイス・ボラウ(1929~)、日本のスペイン映画元年と言われた「スペイン映画の史的展望〈1951~1977〉」(1984年10月開催)に『密漁者たち』の邦題で上映されている。後日紹介予定。

(ポスター)
◎ビスナガ栄誉賞
アレハンドロ・アグレスティ(監督、脚本家、製作者)、1961年ブエノスアイレス生れ、後日紹介記事を予定しています。

(アレハンドロ・アグレスティ)
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