第66回サンセバスチャン映画祭2018*結果発表 ㉕ ― 2018年10月03日 14:37
まさかの金貝賞、イサキ・ラクエスタの「Entre dos aguas」が受賞!

★受賞結果発表が9月29日(現地時間21:00~)、メイン会場のクルサールでありましたが、イサキ・ラクエスタの「Entre dos aguas」金貝賞には大分驚かされました。スペイン映画の受賞は2014年の『マジカル・ガール』以来4年ぶりです。スペイン映画が選ばれるならロドリゴ・ソロゴジェンの「El reino」と予想、もし当たれば男優賞はアントニオ・デ・ラ・トーレでしたが、両方ともかすりもしませんでした(笑)。ラクエスタは2011年(第59回)に「Los pasos dobles」で受賞していますから2度目、6人目の2回受賞者になりました。スペイン人ではマヌエル・グティエレス・アラゴン(『庭の悪魔』『天国の半分』)とイマノル・ウリベ(『時間切れの愛』『ブワナ』)の二人、他の三人はフォード・コッポラ、アルトゥーロ・リプスタイン、バフマン・ゴバディです。

(感謝の受賞スピーチをする監督と、左から監督夫人で脚本家のイサ・カンポ、
イスラを演じたイスラエル・ゴメス、製作者アレックス・ラフエンテ、授賞式)
★作品賞のみならず疑問を投げかける記事が目に付きますし、ガラをざっと見ただけですが盛り上がりに欠ける印象でした。未鑑賞の段階であれこれコメントはできませんが、紹介されているストーリーを読むかぎり、テーマも新鮮味に欠け個人的には腑に落ちない結果発表でした。審査委員長アレクサンダー・ペインに対する雑音も聞こえてきました。
★今年から金貝賞(作品賞)・銀貝賞(監督・男優・女優)のトロフィーのデザインが変わりました。ガラの進行は、女優のマリベル・ベルドゥがスペイン語で、タバカレラ理事会総ディレクター、エドゥルネ・オルマサバルがバスク語で総合司会をしました。

(マリベル・ベルドゥとエドゥルネ・オルマサバル)
*セクション・オフィシアル*
◎作品賞(金貝賞)
「Entre dos aguas」(スペイン)イサキ・ラクエスタ
プレゼンターは、セクション・オフィシアル審査委員長アレクサンダー・ペイン
*「Entre dos aguas」の紹介記事は、コチラ⇒2018年07月25日
(スピーチする監督と涙で挨拶できなかった主役イスラエル・ゴメス)

◎審査員特別賞
「Alpha, The Right To Kill」(フィリピン)監督ブリジャンテ・メンドサ
プレゼンターは、作品賞と同じアレクサンダー・ペイン
メンドサ監督はスマホを覗きながらスピーチしており、ガラ風景も様変わりしました。

◎監督賞(銀貝賞)
ベンハミン・ナイシュタット「Rojo」(アルゼンチン、ブラジル、仏、オランダ、独)
プレゼンターは、審査員のコンスタンティン・ポペスク
「Rojo」は他に男優賞・撮影賞と3賞をゲットしました。
*紹介記事は、コチラ⇒2018年07月16日

◎女優賞(銀貝賞)
Pia Tjelta「Blind Spot」(ノルウェー)監督は女優歴の長いツヴァ・ノヴォトニーのデビュー作
プレゼンターは、審査員のアグネス・ヨハンセン
スピーチは英語、準備してきた紙を読み上げていましたが、ツヴァ・ノヴォトニー監督に感謝を述べる段階で涙、会場にいた監督も涙、涙なみだの受賞スピーチでした。

(やはり涙の受賞となりました)
◎男優賞(銀貝賞)
ダリオ・グランディネッティ「Rojo」監督ベンハミン・ナイシュタット
プレゼンターは、審査員のナウエル・ペレス・ビスカヤート、彼はアルゼンチン出身です。

(見知らぬ人からの脅迫に苦しむ弁護士役を演じたダリオ・グランディネッティ)
◎撮影賞
ペドロ・ソテロ「Rojo」同上
プレゼンターは、審査員のBet Rourich
『アクエリアス』を撮ったブラジルの撮影監督です。

◎脚本賞(2作品)
ポール・ラヴァティ「Yuli」(西・キューバ・英・独)監督イシアル・ボリャイン
プレゼンターは、審査員のロッシ・デ・パルマ、今日は華やかな赤いドレスでした。
ポール・ラヴァティはスペイン語で一番長いスピーチをしました。
*「Yuli」の紹介記事は、コチラ⇒2018年07月25日


(現地入りしたボリャイン監督、主役のカルロス・アコスタなど)
ルイ・ガレル&ジャン=クロード・カリエール「L'homme fidele」(フランス)ルイ・ガレル監督。ジャン=クロード・カリエールは帰国してしまったのか登壇しませんでした。ルイ・ガレルは監督・脚本・主演と3役をこなした。

*セクション・オフィシアル審査員紹介は、コチラ⇒2018年09月18日
*その他の受賞結果*
◎ニューディレクターズ部門
『僕はイエス様が嫌い』(日本)奥山大史
奥山監督は日本語でスピーチ、ガラ唯一の同時通訳が付きでした。金貝賞より驚いたのが奥山大史の『僕はイエス様が嫌い』、現在22歳とかで史上最年少受賞者になりました。来年日本公開が決定しているなど、既に日本メディアでも報道されています。
*『僕はイエス様が嫌い』の紹介記事は、コチラ⇒2018年07月21日

(トロフィーを手にして受賞スピーチをする奥山監督)
*「Viaje al cuarto de una madre」(西仏)監督セリア・リコ・クラベリーノ
スペシャル・メンションを受賞、本作はユース賞も受賞しました。

◎ホライズンズ・ラティノ部門
「Familia sumergida」(アルゼンチン、ブラジル、独、ノルウェー)
監督マリア・アルチェ

*「El motoarrebatador」(アルゼンチン、ウルグアイ、仏)
監督アグスティン・トスカノ
スペシャル・メンションを受賞。なら国際映画祭2018「ゴールデンSHIKA賞」受賞作品、『ザ・スナッチ・シィーフ』の邦題で上映された。
*「El motoarrebatador」の作品紹介は、コチラ⇒2018年09月07日

◎サバルテギ-タバカレラ部門
「Song For The Jungle」(フランス)監督ジャン・ガブリエル・ペリオト

*「Los que desean」(スイス、スペイン)短編ドキュメンタリー、
監督エレナ・ロペス・リエラ
スペシャル・メンションを受賞

◎観客賞(ドノスティア-サンセバスチャン市)
「Un día más con vida」(西、ポーランド、ベルギー、独)アニメーション(ペルラス部門出品)監督ラウル・デ・ラ・フエンテ&ダミアン・ネノウ
★ラテンビート2018 に『アナザー・デイ・オブ・ライフ』(原題)で上映決定

(ラウル・デ・ラ・フエンテと製作者のアマイア・レミレス)
◎観客賞(ヨーロッパ映画)
「Girl」(ベルギー、オランダ)(ペルラス部門出品)監督Lukos Dhont

◎ユース賞(ニューディレクターズ部門出品)
「Viaje al cuarto de una madre」(スペイン、フランス)
監督セリア・リコ・クラベリノ

(母娘を演じた、ロラ・ドゥエニャスとアナ・カスティジャーノ)
◎国際映画批評家連盟賞 FIPRESCI(セクション・オフィシアル出品)
「Hight Life」(独仏英ポーランド他)監督クレール・ドニ
*「Hight Life」の作品紹介は、コチラ⇒2018年07月16日
◎TVE「他の視点」賞(ニューディレクターズ部門出品)
「The Third Wife」(ベトナム) 監督Ash Mayfair

◎IRIZARバスク映画賞
「Oreina」(スペイン)監督コルド・アルマンドス

◎スペイン協力賞(ホライズンズ・ラティノ部門出品)
「Los silencios」(ブラジル、仏、コロンビア)ベアトリス・セニエ

★大体以上が主な受賞結果、以下バスク映画賞など結構ありますが割愛。
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