ピラール・バルデムが輝いた夕べ*祝AISGE設立15周年 ― 2017年06月13日 16:06
「母は引退を望まない、私たちも続投を望んでいる」とバルデム3兄弟
★6月5日(月)、AISGE*設立15周年祭がマドリードのCirco Price劇場**で行われた。どうしてピラール・バルデムがヒロインだったのかと言えば、AISGE設立時からの功労者、なおかつ現理事長でもあるからです。2013年から肺気腫を病み、当夜も左手に酸素ボンベをぶら下げての登壇、15周年のお祝いは、結局ピラールへのオマージュとして開催されたようなわけでした。3人の子供(カルロス、モニカ、ハビエル)と二人のお嫁さん(ペネロペ・クルス、セシリア・Gessa)ほか、参加者はビクトル・マヌエルとアナ・ベレン夫妻、ミゲル・リオス、ジョアン・マヌエル・セラ、アシエル・エチェアンディア、ロッシ・デ・パルマ、ゴヤ・トレド、アイタナ・サンチェス=ヒホン・・・などなど総勢1300人ほどが参集、他にペドロ・アルモドバル、アントニオ・バンデラス、コンチャ・ベラスコ、カルメン・マチなどからビデオで祝辞が届けられた。

(左から、登壇したバルデム一家、ハビエル、モニカ、ピラール、カルロス)
*AISGE:Artistas, Intérpretes, Sociedad de Gestiónの略、映画と舞台の俳優、声優、舞踊家、監督など、スペインのアーティストすべての権利を守るための交渉団体。2002年設立、執行部は25名、理事長の任期は4年、選挙によって選ばれる。しかし2003年以来ピラール・バルデムが連続して再選されており、常に二番手になりやすい女性アーティストの地位向上に尽力している。
**Circo Price:トーマス・プライス(アイルランド出身)が1853年設立したプライス・サーカス曲馬団が前身、スペインには1880年に来西した。1970年閉鎖した劇場跡に、マドリード市議会の肝煎りで文化施設として、2007年リニューアル・オープンした。所在地ロンダ・デ・アトーチャ、2000人収容、音楽会などイベントが開催されている。

(1列中央席のピラールと家族、フィエスタ会場にて)
★ピラール・バルデムPilar Bardem、1939年3月14日、セビーリャ生れの78歳、映画81本、舞台43本、テレビ・シリーズ31本、まさに女優一筋の人生を歩んでいる。故アントニオ・バルデム(『恐怖の逢びき』)は実兄。ゴヤ賞は、1995年、アグスティン・ディアス・ヤネスの「Nadie hablará de nosotras cuando hayamos muerto」で助演女優賞受賞、2004年、ホセ・ルイス・ガルシア・サンチェスの「María querida」で主演女優賞ノミネートの2回だけと少ない。徹底したフランコ嫌い、物言う反戦女優としても有名。2013年以来健康不安を抱えているが、まだ「引退」したわけではない。「私がすぐ死ぬことを子供たちは望んでいないし、私も第三共和制を見るまでは死ねない」とスピーチ、現在の立憲君主制は勿論気に入らない。というわけで死神は当分お呼びでない。しかし、前日打ち合わせのために母親と会ったハビエルによると、「まるでマイク・タイソンと闘った後のようだった」と冗談めかして語っている。3時間に及んだというフィエスタの夕べは、バルデム家の女家長には結構激務だったのではないでしょうか。

(「・・・第三共和制を見るまでは・・・」とスピーチするピラール、左はモニカ)
★下の写真は当夜のハイライトの一つ、コミック・トリオ「Tricicle」***の演技、毛糸の帽子とピエロの付け鼻がトレードマーク。4人なのはピラールの息子が飛び入り出演しているからだそうです(右端の赤い帽子がハビエル)。彼はアシエル・エチェアンディア(ビルバオ出身の歌手、俳優、「La novia」「Ma ma」)がイタリアの「あまい囁きParole parole」を歌ったときにはボンゴを叩いた。ミゲル・リオス、ビクトル・マヌエルとアナ・ベレンの左翼カップルも「見て、見て・・・なんてピラールは素敵なの・・!」と歌で呼びかけた。バルデム一家にとって一生涯忘れられない感激の一夜となった。

(コミック・トリオ「Tricicle」とハビエル・バルデム)

(ボンゴを叩くハビエル、「あまい囁き」を熱唱するアシエル・エチェアンディア)

(ビクトル・マヌエル、アナ・ベレン、ミゲル・リオス)
***バルセロナ演劇研究所の3人の学生が、1979年バルセロナで結成したコミック・トリオ。モンティー・パイソン、ローワン・アトキンソン、またはMr.ビーンの流れを汲むパントマイムが得意。舞台出演が主だがテレビや映画にも出演している。
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