グラシア・ケレヘタの新作”Felices 140”*2015年公開予定 ③ ― 2015年01月07日 20:32
第3弾*グラシア・ケレヘタ&マリベル・ベルドゥ
★ゴヤ賞2014で前作“15 años y un día”が作品賞他7部門にノミネートされながら無冠に終わったグラシア・ケレヘタの新作“Felices 140”のご紹介。今回もマリベル・ベルドゥを主役にして、ジャンルはコメディ、いわゆる<合唱劇>で共演者は女性軍がノラ・ナバスとマリアン・アルバレス、男性軍はアントニオ・デ・ラ・トーレ、エドゥアルド・フェルナンデスなど、ゴヤ賞受賞歴のある演技派揃いの豪華版。予告通り6月23日、フリオ・メデムの“Ma ma”と同じテネリフェ島のファスニアでクランクインしました。

(映画の舞台となったホテル「ラス・カサス・デル・カミノ・レアル・デ・ファスニア」)
“Felices 140”
製作:Tornasol Films / Hernandez y
Fernandez Producciones Cinematograficas /
Foresta Films / La Ignorancia de la Sangre AIE
監督・脚本:グラシア・ケレヘタ
脚本(共同):アントニオ・サントス・メルセロ
撮影:フアン・カルロス・ゴメス
音楽:フェデリコ・フシド
編集:レイレ・アロンソ
エグゼクティブ・プロデューサー:マリエラ・ベスイエブスキイ、ヘラルド・エレーロ、
カルロス・ロドリゲス、ハビエル・ロペス・ブランコ
プロダクション・マネージメント:ホセアン・ゴメス、他
データ:スペイン、スペイン語、2015、コメディ、撮影地:テネリフェ島(ファスニア、グイマル、他)、撮影期間:2014年6月下旬~8月上旬の6週間、後援:CANAL+、ICAA、カナリアス自治州政府
キャスト:マリベル・ベルドゥ(エリアElia)、ノラ・ナバス、マリアン・アルバレス、アントニオ・デ・ラ・トーレ、エドゥアルド・フェルナンデス、アレックス・O’Dogherty、ヒネス・ガルシア・ミリャン、パウラ・カンシオ、他
プロット:エリアは40歳の誕生日にほんの数人しかいない友人と家族を豪華な田舎の家に招くことにする。招待理由として、自分がその週抽選のあったユーロミリオンの唯一人の当選者だと全員に知らせておいた。招待客は1億4000万ユーロという大金を棚ボタにした当選者がエリアだと知った。初めこそ喜びを分かち合っていたが、状況は次第に不穏な空気に包まれていく。エリアのお金を少しでも自分のものにしようと欲をむき出しにして詭弁を弄する友人たち、はてさて落ちつく先はいずこやら。

(ケレヘタ監督とマリベル・ベルドゥ)
★「ユーロミリオンEuromillón」というのは、1994年から始まった欧州のユーロ宝くじのこと、火曜日と金曜日に行われ、当選者が出ないと賞金が積み上がっていくから、日本のジャンボ籤とは比較にならない大金になる。有名な年末ジャンボのロッテリアとは別。ということで、テーマは「お金が介在すると人間関係、家族関係はどう変化するのか、友情は保てるのか」でしょう。脚本は前作同様アントニオ・サントス・マルセロと監督がコンビを組んでいる。プロデューサーも製作会社Tornasol Filmsのマリエラ・ベスイエブスキイ、ヘラルド・エレーロ、La Ignorancia de la Sangre AIEのハビエル・ロペス・ブランコと同じようです。ストーリーはシンプルですが、人間関係がもつれてギクシャクしていく過程を楽しむシリアス・コメディではないか。それで最後はどうなるの?

(撮影中のマリベルとエドゥアルド・フェルナンデス)
★キャストは文句なしの豪華版、だからといって成功するとは限りませんが。女性軍の3人は全て最近のゴヤ賞主演女優賞を貰っている。マリベル・べルドゥ(『ブランカニエベス』2012)、ノラ・ナバス(『ブラック・ブレッド』2010)、マリアン・アルバレス(“La herida”2013)、そして男性軍、アントニオ・デ・ラ・トーレ(『漆黒のような深い青』2006、助演)、エドゥアルド・フェルナンデス(“Fausto 5.0”2001、主演)という具合です。

(監督とアントニオ・デ・ラ・トーレの珍しいツーショット)
★アレックス・O’Dogherty(1973カディス)は『漆黒のような深い青』やリドリー・スコットの『キングダム・オブ・ヘブン』に端役で出ているが、スペインではTVシリーズ“Doctor Mateo”(2009~11)の53話に出演、お茶の間で人気が出た俳優。ヒネス・ガルシア・ミリャン(1964ムルシア)は、公開作品では、マヌエル・パラシオスの『ジターノ』(2000)、ビセンテ・アランダの『カルメン』(2003)、ラテンビート2013上映のラファ・ララの『5月5日の戦い』(メキシコ、2013)などに出演している。

(左から、エリアと招待された友人たち)
★ケレヘタ監督によると、3年前から温めていた映画ということで、キャストも当時から半分は決まっていた由。舞台となるテネフェ島はカナリア諸島の火山島、2007年に世界遺産に指定されたテイデ火山はスペイン最高峰(海抜3718m)として観光客の人気スポット。月面のような荒涼とした風景、やせて尖った岩肌と対照的にまばゆい光線や鄙びた景色は、「この映画の背景としてぴったり溶け込んでいる」と監督。多くのシーンが撮影されたファスニアの「ラス・カサス・デル・カミノ・レアル」ホテルは、海に面してプールがあり、直接海岸にも出られ、近くには森があるという。古くから映画の舞台となることの多いテネリフェ島、奇しくもフリオ・メデムの“Ma ma”もここで撮影されたし、カルメロ・ゴメス主演のサムエル・マルティン&アンドレス・ルケの“Tiempo sin aire”(2015)の舞台もサンタ・クルス・デ・テネリフェだった。
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