第34回ゴヤ賞2020*ノミネーション発表 ① ― 2019年12月09日 11:14
ノミネーション最多はアメナバルの『戦争のさなかで』の17個

★去る12月2日、第34回ゴヤ賞2020のノミネーション(28部門)の発表がありました。授賞式が例年よりⅰ週間早い1月25日(土)、それに連れてノミネーション発表も早まりました。開催地はアンダルシアのマラガ、昨年のセビーリャに続いてマドリード以外の都市で開催されます。ノミネーション発表は、俳優のエレナ・アナヤとミゲル・エランにより、スペイン映画アカデミーの本部で行われました。スペイン映画の対象作品は146作(ドラマ88作、ドキュメンタリー55作、アニメーション3作)、イベロアメリカ映画は15作、ヨーロッパ映画は53作、短編映画35作、うち56作が監督第1作でした。授賞式の総合司会は昨年に引き続き、シルビア・アブリルとアンドレウ・ブエナフエンテのコメディアン・カップルが仕切ります。

(ノミネーション・プレゼンターのエレナ・アナヤとミゲル・エラン)

(書記エバ・サンス、M・ロペスエラン、映画アカデミー会長マリアノ・バロッソ、E・アナヤ)
★ノミネーション最多は、アメナバルの『戦争のさなかで』の17カテゴリー、続いてアルモドバルの「Dolor y gloria」の16個、アイトル・アレギ、ジョン・ガラーニョ、ホセ・マリ・ゴエナガの「La trinchera infinita」の15個が続いています。数の多寡だけでは占えませんが、この3作が中心になって展開されるものと思います。ラテンビートで上映された、オリベル・ラシェの『ファイアー・ウィル・カム』も作品・監督・新人女優・撮影賞の4カテゴリー、アリッツ・モレノの『列車旅行のすすめ』も新人監督・脚色・美術・メイク&ヘアー賞の4カテゴリーにノミネートされています。数ではアメナバルが優位ですが、下馬評ではどうやらアルモドバル優位ということです。兄弟揃ってノミネーション発表に出席するのは珍しい。映画アカデミーとぎくしゃくしていた時代には、自作がノミネートされていても授賞式を欠席していた監督でした。

(揃って会場に現れたアルモドバル兄弟の珍しいツーショット、12月2日)
★ラテンビート絡みでは、アンドレス・ウッドの『蜘蛛』(チリ)とアレハンドロ・ランデスの『猿』(コロンビア)が生き残り、他はフォルケ賞にも選ばれていたセバスティアン・ボレンステインの「La odisea de los giles」(アルゼンチン)、意外だったのがマラガ映画祭2019で初登場したアントネジャ・スダサシの「El despertar de las hormigas」(コスタリカ)でした。コスタリカ大学でオーディオビジュアル製作を専攻、スペイン語の他イタリア語、英語、ドイツ語が堪能、2017年にベルリン映画祭のタレント養成に参加して本作を撮ったそうです。ベルリンFF、マラガFF、シアトルFFに正式出品した。
第34回ゴヤ賞ノミネーション(28部門、★は紹介記事をアップしている作品)
◎作品賞(作品賞のみ5ノミネート)
「Dolor y gloria」★
「Intemperie」★
「La trinchera infinita」★
「Lo que arde」(『ファイアー・ウィル・カム』)★
「Mientras dure la guerra」(『戦争のさなかで』)★

◎監督賞
ペドロ・アルモドバル(「Dolor y gloria」)
アイトル・アレギ、ジョン・ガラーニョ、ホセ・マリ・ゴエナガ(「La trinchera infinita」)
オリベル・ラシェ(『ファイアー・ウィル・カム』)
アレハンドロ・アメナバル(『戦争のさなかで』)
◎新人監督賞
サルバドール・シモー(「Buñuel en el laberinto de las tortugas」)
ガルデル・ガステル=ウルティア (「El hoyo」)★
ベレン・フネス(「La hija de un ladrón」)★
アリッツ・モレノ(「Ventajas de viajar en tren」『列車旅行のすすめ』)★
◎オリジナル脚本賞
ペドロ・アルモドバル(「Dolor y gloria」)
ダビ・デソラ&ペドロ・リベロ(「El hoyo」)
ホセ・マリ・ゴエナガ&ルイソ・ベルデホ(「La trinchera infinita」)
アレハンドロ・アメナバル&アレハンドロ・エルナンデス(『戦争のさなかで』)
◎脚色賞
エリヒオ・モンテロ&サルバドール・シモー(「Buñuel en el laberinto de las tortugas」)
ベニト・サンブラノ、ダニエル・レモン、パブロ・レモン(「Intemperie」監督サンブラノ)
イサベル・ペーニャ&ロドリゴ・ソロゴジェン(「Madre」監督ロドリゴ・ソロゴジェン)
ハビエル・グジョン(『列車旅行のすすめ』)
◎オリジナル作曲賞
アルトゥーロ・カルデルス(「Buñuel en el laberinto de las tortugas」)
アルベルト・イグレシアス(「Dolor y gloria」)
パスカル・ゲーニュ(「La trinchera infinita」)
アレハンドロ・アメナバル(『戦争のさなかで』)
◎オリジナル歌曲賞
「Intemperie」ハビエル・ルイバル(「Intemperie」)
「Invisible」カロリネ・ペルネル、Jussi Llmari Karvinen、Justin Tranter(「Klaus」)
「Allli en la arena」トニ・M.ミル(「La inocencia」監督パロマ・フアネス)★
「Nana de las dos lunas」セリヒオ・デ・ラ・プエンテ(「La noche de las dos lunas」)
◎主演男優賞
アントニオ・バンデラス(「Dolor y gloria」)
アントニオ・デ・ラ・トーレ(「La trinchera infinita」)
カラ・エレハルデ(『戦争のさなかで』)
ルイス・トサール(「Quien a hierro mata」)

◎主演女優賞
ペネロペ・クルス(「Dolor y gloria」)
グレタ・フェルナンデス(「La hija de un ladrón」)★
ベレン・クエスタ(「La trinchera infinita」)
マルタ・ニエト(「Madre」)監督ロドリゴ・ソロゴジェン

◎助演男優賞
アシエル・エチェアンディア(「Dolor y gloria」)
レオナルド・スバラグリア(「Dolor y gloria」)
ルイス・カジェホ(「Intemperie」)
エドゥアルド・フェルナンデス(『戦争のさなかで』)
◎助演女優賞
モナ・マルティネス(「Adiós」監督パコ・カベサス)
ナタリア・デ・モリーナ(「Adiós」)
フリエタ・セラノ(「Dolor y gloria」)
ナタリエ・ポサ(『戦争のさなかで』)
◎新人男優賞
ナチョ・サンチェス(「Diecisiete」『SEVENTEENセブンティーン』Netflix)★
監督ダニエル・サンチェス・アレバロ
ビセンテ・ベルガラ(「La trinchera infinita」)
サンティ・プレゴ(『戦争のさなかで』)
エンリク・アウケル(「Quien a hierro mata」)
◎新人女優賞
ピラール・ゴメス(「Adiós」)
カルメ・アルファト(「La inocencia」監督ルシア・アレマニー)★
ベネディクタ・サンチェス(『ファイアー・ウィル・カム』)
アイノア・サンタマリア(『戦争のさなかで』)
◎プロダクション賞
トニ・ノベリャ(「Dolor y gloria」)
マノロ・リモン(「Intemperie」)
アンデル・システィアガ(「La trinchera infinita」)
カルラ・ぺレス・デ・アルベニス(『戦争のさなかで』)
◎撮影賞
ホセ・ルイス・アルカイネ(「Dolor y gloria」)
ハビ・アギレ・エラウソ(「La trinchera infinita」)
マウロ・エルセ(『ファイアー・ウィル・カム』)
アレックス・カタラン(『戦争のさなかで』)
◎編集賞
テレサ・フォント(「Dolor y gloria」)
ラウレント・ドゥフレチェ&ラウル・ロペス(「La trinchera infinita」)
アルベルト・デル・カンポ(「Madre」)
カロリナ・マルティネス・ウルビナ(『戦争のさなかで』)
◎美術賞
アンション(アンチョン)・ゴメス(「Dolor y gloria」)
ペペ・ドミンゲス(「La trinchera infinita」)
フアン・ペドロ・デ・ガスパー(『戦争のさなかで』)
ミケル・セラーノ(『列車旅行のすすめ』)
◎衣装デザイン賞
パオラ・トレス(「Dolor y gloria」)
ロウルデス・フエンテス&サイオア・ララ(「La trinchera infinita」)
ソニア・グランデ(『戦争のさなかで』)
アルベルト・バルカルセル(「Paradise Hills」監督アリス・Waddington)
◎メイク&ヘアー賞
アナ・ロサノ、セルヒオ・ぺレス・ベルベル、モンセ・リベ(「Dolor y gloria」)
ヨランダ・ピニャ、フェリックス・テレノ、ナチョ・ディアス(「La trinchera infinita」)
アナ・ロペス⋍プイグセルベル、ベレン・ロペス・プイグセルベル、ナチョ・ディアス
(『戦争のさなかで』)
カルメレ・ソレル&オルガ・クルス(『列車旅行のすすめ』)
◎録音賞
セルヒオ・ブルマン、ペラヨ・グティエレス、マルク・オルツ(「Dolor y gloria」)
イニャーキ・ディエス、アラスネ・アメストイ、サンティ・サルバドール他
(「La trinchera infinita」)
アイトル・べレンゲル&ガブリエル・グティエレス(『戦争のさなかで』)
ダビ・マチャード、ガブリエル・グティエレス、ヤスミナ・プラデラス
(「Quien a hierro mata」)
◎特殊効果賞
「El hoyo」
「La trinchera infinita」
『戦争のさなかで』
「Perdiendo el Este」
◎アニメーション賞
「Buñuel en el laberinto de las tortugas」監督サルバドール・シモー
「Elcanoy Magallanes: la primera vuelta al mundo」監督アンヘル・アロンソ
「Klaus」監督セルヒオ・パブロス
◎ドキュメンタリー賞
「Ara Malikian una vida entre las cuerdas」監督ナタ・モレノ
「Aute retrato」監督ガイスカ・ウレスティ
「El cuadro」監督アンドレス・サンス
「Historias de nuestro cine」監督アナ・ぺレス⋍ロレンテ&アントニオ・レシネス
◎イベロアメリカ映画賞
「Araña」『蜘蛛』監督アンドレス・ウッド(チリ)★
「El despertar de las hormigas」監督アントネジャ・スダサシ(コスタリカ)
「La odisea de los giles」監督セバスティアン・ボレンステイン(アルゼンチン)★
「Monos」『猿』監督アレハンドロ・ランデス(コロンビア)★
◎ヨーロッパ映画賞
「Border」『ボーダー 二つの世界』 監督アリ・アバッシ(スウェーデン)
「Les Misérabbles」『レ・ミゼラブル』 監督ラジ・リLadj Ly(フランス)
「Portrait of a Lady on Fire」 監督セリーヌ・シアマ(フランス)
「Yesterday」 監督ダニー-・ボイル(イギリス)
◎短編映画賞
「El nadador」
「Foreigner」
「Maras」
「Suc de Sindria」
「Xiao Xian」
◎短編ドキュメンタリー賞
「2001 destellos en la oscuridad」
「El infierno」
「El sueño europeo: Serbia」
「Nuestra vida como niños refugiados en Europa」
◎短編アニメーション賞
「El árbol de las almas perdidad」
「Homomaquia」
「Madrid 2120」
「Muedra」
★短編はタイトルだけにしました。主なカテゴリーごとに気になる作品、俳優などを少しずつアップしたいと思います。次回は作品賞でノーマークだったベニト・サンブラノの「Intemperie」から。スリラー仕立てのウエスタン、ルイス・トサール、ハイメ・ロペス、助演男優賞ノミネートのルイス・カジェホなどがクレジットされています。
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