監督賞を占う*ゴヤ賞2020 ⑤ ― 2019年12月22日 16:23
火花を散らすアルモドバルとアメナバル

★例年特別のことがなければ、監督賞は作品賞と重なる。今年は「Intemperie」のベニト・サンブラノが落ちて、上記の残り4作の監督たちがノミネートされた。「Dolor y gloria」のペドロ・アルモドバルと『戦争のさなかで』のアレハンドロ・アメナバルの一騎打ちのようです。バスク出身の3人の監督のうち「La trinchera infinita」で中心になったのがアイトル・アレギとジョン・ガラーニョ、ホセ・マリ・ゴエナガは主に脚本に集中したようです。サンセバスチャン映画祭では3人揃って監督賞を受賞したが、柳の下の泥鰌となるか。第3作『ファイアー・ウィル・カム』が初のゴヤ賞ノミネーションとなるオリベル・ラシェは、新人監督賞枠の可能性もあったはずだが違った。芯の強さを表に出すことなく実に淡々としているが、好機を窺っているかもしれない。
★アルモドバルの監督賞は『オール・アバウト・マイ・マザー』(99)と『ボルベール<帰郷>』(06)の2作しか受賞していない。爆発的な人気をよんだ『神経衰弱気味の女たち』(88)もオリジナル脚本賞を受賞しただけで、監督賞は逃した。国際映画祭での受賞歴は他の監督の追随を許さないが、ことゴヤ賞となると事情が異なる。スタッフやキャストにゴヤ胸像をたくさんプレゼントしているが、自身は以上の3個しか貰っていない。新作は勿論フィクションですが、バンデラス扮する主人公イコール監督自身、よくここまでさらけ出した、という話題作、かなり露出度の高い作品ということです。今までと違った意気込みを感じます。

(共にオスカー賞の監督、アルモドバルとアメナバル)
★対するアメナバルの監督賞は、新人監督賞の『テシス 次に私が殺される』(95)、続いて『アザーズ』(01)、『海を飛ぶ夢』(04)の3作、オリジナル脚本賞の4個とオリジナル作曲賞を含めると8個になります。しかし『アレキサンドリア』(09)のオリジナル脚本賞以来、英語映画を撮っていたせいか十年ほどノミネーションそのものからも遠ざかっている。久々のノミネーション、サンセバスチャン映画祭の借りを返したいところです。
◎最優秀監督賞
ペドロ・アルモドバル 映画「Dolor y gloria」
*関連記事は、コチラ⇒2019年04月22日

(ベネチア映画祭2019栄誉金獅子賞のトロフィーを手に、9月7日ガラにて)
アイトル・アレギ、ジョン・ガラーニョ、ホセ・マリ・ゴエナガ 映画「La trinchera infinita」
*関連記事は、コチラ⇒2019年12月20日
*アイトル・アレギのキャリア紹介は、コチラ⇒2017年09月06日
*ジョン・ガラーニョ&ホセ・マリ・ゴエナガのキャリア紹介は、コチラ⇒2014年11月09日

(左から、ジョン・ガラーニョ、ホセ・マリ・ゴエナガ、アイトル・アレギ)
オリベル・ラシェ 映画『ファイアー・ウィル・カム』
*関連記事は、コチラ⇒2019年04月28日
*オリベル・ラシェのキャリア紹介は、コチラ⇒2016年05月22日


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