カルラ・シモンにマラガ才能賞*マラガ映画祭2023 ⑩2023年03月19日 15:29

      マラガ才能賞のトロフィーはアンヘラ・モリーナから

 

       

317日、メイン会場セルバンテス劇場でマラガ才能賞(マラガ・オピニオン紙とのコラボ)のガラがありました。受賞者カルラ・シモンはベテラン女優アンヘラ・モリーナの手からトロフィーを受け取りました。司会者はセリア・ベルメホでした。サポーターはモリーナの他、デビュー作『悲しみに、こんにちは』主演のブルーナ・クシダビ・ベルダゲラ、監督のフアン・アントニオ・バヨナなどが登壇しました。モリーナは、シモンが映画監督としてでなく、人間として素晴らしいことを讃え、「善と純粋さですべてを凌駕している彼女が受賞するのはとても価値がある」とスピーチした。

   

         

                      (アンヘラ・モリーナと受賞者)

   

          

   (ブルーナ・クシとダビ・ベルダゲラ)

 

★アクションを盛り込んだヒット作を出し続けているフアン・アントニオ・バヨナ監督は、「私の最後の映画がモンスター主演であったことを考えると、私のような監督が登壇するのは場違いに思うでしょう。モンスターを撮るのは非常に複雑なものがあります。なぜなら存在しない生き物を本物に見せようとしなければならないからです。カルラがしていることもまったく同じです。違うのは彼女は現実を並外れたものに変えるのです」とバヨナは、自作と親密で現実的なシモン映画を比較した。

   

       

            (フアン・アントニオ・バヨナ監督)

 

★カルラ・シモンは、この特別な日にサポートしてくれた同僚や友人に一人ずつお礼を述べたいと語り、またフェスティバル関係者や家族にも感謝したいとスピーチした。しかし、彼女が最も伝えたかったのはフェミニストとしてのメッセージでした。「私たちの視点は、今までの視点と同じではありません。私たちは女性によって語られる新しいタイプの作品を目指していきたい。今までとは異なる視点、より優しく、母性的な作品です。私たちの世界では光と愛が不足しているのでヒューマニストの映画とアートを保護しなければならない」と語った。

   

      

★授賞式に先だってセルバンテス劇場ロッシーニ・ホールで、本祭総ディレクターのフアン・アントニオ・ビガルのインタビューが行われた。シモンの『悲しみに、こんにちは』は、2017年の金のビスナガ賞受賞作品、2作目Alcarràs2022年のアウト・オブ・コンペティションに参加していた。「マラガは自宅に帰ってきたような気分でリラックスできる」と語った。第2作はとても厳しい長い道のりだったと明かし、ベルリンで金熊を与えられたとき「撮った甲斐があった」と感じたようです。

    

   

   (カルラ・シモンとフアン・アントニオ・ビガル、ロッシーニ・ホールにて)

 

★受賞者曰く「人々が映画監督についてイメージするのは若い女性ではありません。しかしこれは急速に変化しており驚きです。最初はチームがこの映画を完成させられるかどうか理解するのは難しいです。でも自分のやり方でやり通すことです」と。「技術チームが不確実性に慣れていない場合は、彼らの疑念を払拭するよう作業を進める必要があります」とも述べている。やはり「若い女性監督で大丈夫か?」という技術部門の不安を解消するのは大変ということでしょう。監督がどうしたいか、何を模索しているか、を理解してもらうことが必要ということでしょうか。彼女のキャリアが進むにつれて、彼女のやり方を尊重し、理解してくれるようになり、うまく作業できるようになった。今更ですが、若い監督にとって国際映画祭の受賞は大きな前進に繋がるようです。

 

★次回3作目のタイトルはRomeríaで、シモンの「家族についての三部作」を締めくくりたい、「それは一種のルーツへの旅、家族の記憶がテーマになるだろう」ということでした。