マラガ映画祭2023の落穂ひろい*マラガ映画祭2023 ⑫2023年03月24日 18:01

  クロージングはパス・ヒメネスのコメディ、長編第1作「Como Dios manda

    

          

★セクション・オフィシアルのクロージング作品は、例年通りアウト・オブ・コンペティションから選ばれる。今回はパス・ヒメネスの長編デビュー作である多様性を反映したコメディ「Como Dios manda」(22)で締めくくられました。ヒメネス監督は1977年マラガ生れ、「故郷のコスタデルソルで撮影できたことはエキサイティングな体験でした」とプレス会見で語っている(317日)。自分を「神が意図した人」であると考えている、財務省の厳格な役人アンドレス(レオ・ハーレムが扮する)のお話。同僚との対立から制裁を受けるが、ユーモアと楽観的で希望に満ちた視点を通して、排除の危険にさらされているグループの纏めに取り組んでいる。監督は「批判的な背景をもつジョークや誇張があっても政治は脇においています」とも。製作者のマルタ・ベラスコによると、友人からもたらされた実話に基づいているということです。ベラスコは観客賞を受賞したマリナ・セレセスキーの「Empieza el baile」のエグゼクティブの一人です。

      

          
     (左から、レオ・ハーレム、監督、マルタ・ベラスコ、ペレス・プラダ、

      「Como Dios manda」のフォトコール、317日)

     

       

        (レオ・ハーレム扮するアンドレスを配したポスター)

 

 

   ドキュメンタリー映画はフェルナンド・フラゲラの「El matadero」が受賞

 

★ドキュメンタリー部門の受賞作は、フェルナンド・フラゲラ(キューバ1991)の「El matadero」(キューバ2022、仮題「食肉処理場」)、キューバ革命のプロジェクトとして建設されたアパートが建ち並ぶバリオでは、隣人たちが生き残るために豚を飼育している。フェルナンドは子供時代からそこで暮らしており、国を脱出するために豚を飼って販売している友人ドゥスニエルについて語ります。フェルナンドも逃げ出したいと思っている。

    

        

      

  

監督賞ソフィア・パオリの(「Guapo 'y」(パラグアイ=アルゼンチン=カタール2022、「ハンサム」) が受賞、パラグアイの軍事独裁政権が残した女性セルサ・ラミレスの傷が語られる。パオリは1982年ペルー生れだが、武力紛争を逃れてパラグアイに亡命して映画製作をしている。

    

       

   

 

観客賞は、エレナ・モリーナ(マドリード生れ)の「Remember my Name」(西=仏=カタール2023)は、モロッコからメリリャのフェンスを跳び越えたあと、未成年者は保護センターに入ります。それぞれ一人で越境してきますが、ここで新しい疑似家族を作ります。NANAというダンス・グループを作った若者を追うドキュメンタリー。メリリャはアフリカ北西部沿岸に位置するスペインの自治都市、不法移民を防ぐためモロッコとの国境に高さ6メートルの金属フェンスを張り巡らせている。

 

      

   

 

3作とも厳しい内容のドキュメンタリーですが、3監督とも若く将来が期待されます。カルラ・シモンが語ったように監督といえば中年男性をイメージする時代は既に終りを告げました。若い女性シネアストの躍進、これが今年のマラガで最も印象深かったことでした。映画館に足を運んでくれた観客は9万人という発表がありました。