カルロス・ベルムトの『マンティコア』*東京国際映画祭2022 ② ― 2022年10月08日 16:05
カルロス・ベルムトの第4作目『マンティコア』はスリラードラマ
★カルロス・ベルムトの第4作目『マンティコア』は、コンペティション部門上映、既にトロント映画祭 tiff でワールドプレミアされました。スペインではシッチェス映画祭でプレミアされ、東京国際映画祭 TIFF にもやってきます。当ブログでは3作目の『マジカル・ガール』(14)と4作目の『シークレット・ヴォイス』(18)を紹介しています。
*『マジカル・ガール』の主な作品紹介は、コチラ⇒2015年01月21日
*『シークレット・ヴォイス』の主な作品紹介は、コチラ⇒2019年03月13日
『マンティコア』(原題「Manticora」英題「Manticore」)
製作:Aquí y Allí Films / BTeam Pictures / Crea SGR / Punto Nemo / ICAA /
Movistar+/ RTVE / TV3
監督・脚本:カルロス・ベルムト
撮影:アラナ・メヒア・ゴンサレス
編集:エンマ・トゥセル
キャスティング:マリア・ロドリゴ
プロダクション・デザイン&美術:ライア・アテカ
セット:ベロニカ・ディエス
衣装デザイン:ビンイェット・エスコバル
メイクアップ&ヘアー:ヘノベバ・ガメス(メイク部主任)、アイダ・デル・ブスティオ(ヘアー)
プロダクション・マネジメント:ララ・テヘラ(主任)、ラウラ・ガルシア
製作者:ペドロ・エルナンデス・サントス(Aquí y Allí Films)、アレックス・ラフエンテ(BTeam Pictures)、ロベルト・ブトラゲーニョ、アマデオ・エルナンデス・ブエノ、アルバロ・ポルタネット・エルナンデス、(エグゼクティブ)ララ・ぺレス=カミナ、アニア・ジョーンズ
データ:製作国スペイン、スペイン語、2022年、スリラードラマ、115分、撮影地マドリード、カタルーニャ州、2021年5月~7月、ICAA 2020の選考委員会の最高評価を受け製作資金を得る。配給 BTeam Pictures、国際販売フィルム・ファクトリー、スペイン公開11月4日
映画祭・受賞歴:トロント映画祭2022コンテンポラリー・ワールド・シネマ部門でワールドプレミア9月13日、オースティン・ファンタスティック・フェスト9月23日、BFIロンドン映画祭10月5日、シッチェス映画祭(カタルーニャ国際ファンタスティックFF)10月7日、東京国際映画祭コンペティション部門正式出品10月26日
キャスト:ナチョ・サンチェス(フリアン)、ゾーイ・スタイン(ディアナ)、カタリナ・ソペラナ、ビセンタ・ンドンゴ、イグナシオ・イサシ(スンマ医師)、ミケル・インスア、ハビエル・ラゴ、アンヘラ・ボア、ジョアン・アマルゴス、パトリック・マルティノ、アルバロ・サンス・ロドリゲス(クリスティアン)、アルベルト・オーセル(ラウル)、アランチャ・サンブラノ(外傷学の医師)、チェマ・モロ(警官)、アイツィベル・ガルメンディア(サンドラ)ほか多数
(ディアナとフリアン)
ストーリー:フリアンはビデオゲーム会社のデザイナーで、ゲーマーが好むモンスターやクリーチャーを作成している。内気なフリアンは或る暗い秘密に悩まされているのだが、彼の人生にディアナが現れたことで一筋の光を目にする。現代の愛と私たちのなかに住んでいる本物のモンスターについての神秘的な物語、フリアンのトラウマは恐ろしい強迫観念として現れる。
愛し、愛されることの重要性
★カルロス・ベルムト(本名Carlos López del Rey):1980年マドリード生れ、監督、脚本家、撮影監督、漫画家、製作者。マドリードの美術学校でイラストレーションを学び、日刊紙エル・ムンドのイラストレーターとしてスタートした。2006年、最初のコミック”El banyan rojo” が、バルセロナ国際コミックフェアで評価された。長編映画デビューはミステリーコメディ「Diamondo flash」(11)、第2作がサンセバスチャン映画祭2014の金貝賞受賞の『マジカル・ガール』、監督賞とのダブル受賞となった。第3作『シークレット・ヴォイス』(原題「Quién te cantará」)もサンセバスチャンFF2018コンペティション部門にノミネートされたが、フェロス・シネマルディア賞受賞に止まった。翌年のフェロス賞ではポスター賞を受賞している。
(金貝賞のトロフィーを手にしたカルロス・ベルムト、SSIFF 2014ガラ)
★4作目となる『マンティコア』はSSIFFにはノミネートされなかった。「現実に私たちのなかに棲んでいる本物のモンスターについての物語です。地下鉄やパン屋の行列のなかに紛れ込んでいます。また愛し愛されることの重要性が語られます」とベルムト。ホラー映画が初めてサンセバスチャン映画祭セクション・オフィシアルにノミネートされたことで話題を集めたパコ・プラサの「La abuela」(21)の脚本を執筆している。数々の受賞歴のある短編映画3作、短編ビデオ1作、コミック3作、うち2012年刊行された”Cosmic Dragon” は、鳥山明の『ドラゴンボール』のオマージュとして描かれた。
★スタッフ紹介:メインプロデューサーのペドロ・エルナンデス・サントスは、アントニオ・メンデス・エスパルサの「Aquí y Allí」(邦題『ヒア・アンド・ゼア』)を製作するために立ち上げた「Aquí y Allí Films」の代表者。『マジカル・ガール』以下の3作をプロデュースしている。「非の打ち所がなく容赦ないカルロス・ベルムトのような監督の映画をプロデュースすることは常に喜びですが、本当に贅沢なことです」とエルナンデス・サントス。
★ BTeam Pictures のプロデューサーアレックス・ラフエンテは、イサキ・ラクエスタの『二筋の川』、ピラール・パロメロのデビュー作『スクール・ガールズ』や新作「La maternal」を手掛けている。「カルロス・ベルムトの視点で語られる本作は、最初の瞬間から私たちの心を動かす」とラフエンテ。撮影監督のアラナ・メヒア・ゴンサレスは、カルラ・シモンやルシア・A・イグレシアスなど受賞歴のある短編を十数本手掛けてきたが、今回本作で長編デビューを果たした。続いてSSIFF 2022のドゥニャ・アヤソ賞を受賞したロシオ・メサの「Secaderos / Tobacco Barns」も担当、この後も多くの監督からオファーを受け引っ張り凧です。他、スタッフは概ねバルセロナ派で固めている。
★キャスト紹介:フリアン役のナチョ・サンチェスは、1992年アビラ生れ、舞台出身の演技派、2018年、演劇界の最高賞と言われるマックス賞を弱冠25歳で受賞している。ホルヘ・カントスの短編「Take Away」(16)や「Solo sobrevivirán los utopistas」(18)他、フアン・フランシスコ・ビルエガの「Domesticado」(18)、TVシリーズに出演したのち、2019年ダニエル・サンチェス・アレバロの『SEVENTEENセブンティーン』で長編映画にデビューした。つづいてアチェロ・マニャスの「Un mundo normal」(20)に出演、直近のTVシリーズとしては「Doctor Portuondo」(21、6話30分)にキューバの名優ホルヘ・ぺルゴリアと共演している。
*ナチョ・サンチェスの紹介記事は、コチラ⇒2019年09月21日
(マックス賞授賞式、2018年)
★ディアナ役のゾーイ・スタインは、本作が長編映画デビューとなる。2011年、パウ・テシドルの短編ファンタジー・ホラー「Leyenda」で10歳の少女役でデビューする。カタルーニャ語のTVムービー、ラモン・パラドのコメディ「Amics per sempre」(17)に出演、TVシリーズでは2019~21年の「Merli. Sapere Aude」(16話50分)に5話出演、「La caza.Monteperdido」(24話70分)に8話出演、2023年から第1シーズンが始まるスリラー「La chica invisible」(8話)には主役フリアに抜擢され、ダニエル・グラオと父娘を演じる。最初ディアナ役にはクララ・ヘイルズがアナウンスされていたが変更されたようです。
(フレームから)
★タイトルに使われた「マンティコア」は、スフィンクスと同じように伝説上の生き物、人間のような顔、ライオンのような胴体、有毒な針をもつサソリのような尾があり、ペルシャ語で〈人喰い〉を意味する人面獣マルティコラスからきている。アリストテレスの『動物誌』にはマルティコラスと正しくあったのを写本でマンティコラスと誤記され、それをプリニウスが『博物誌』に採用したため誤記のまま後世に広まった。ラテン語マンティコラmanticora、邦題『マンティコア』は英名manticoreのカナ表記。
(ベルムト監督が描いたマンティコラ)
追加情報:『マンティコア―怪物―』の邦題で、2024年4月19日公開。
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