ナオミ・ワッツにドノスティア栄誉賞*サンセバスチャンFF26 ⑭2026年09月08日 18:07

       インディーズ映画と大作での実績をもつ女優にして起業家のナオミ・ワッツ

 

     

 

★去る831日、二人目となるドノスティア栄誉賞ナオミ・ワッツの発表がありました。2001年、デヴィッド・リンチのミステリー『マルホランド・ドライブ』で国際的な名声を得た女優の道程は、必ずしも順風満帆ではありませんでした。「十年以上もオーディションに落ち続け、自分自身さえ見失っていた私を見つけてくれた・・・彼のお蔭で有名になりました」と、監督没後(20251月)に追悼している。既に30歳を超えており、当時のハリウッドでは「女優の40歳は90歳の老婆」と言われていた時代でした。しかし、ベティ・エルムスとダイアン・セルウィン役の忘れがたい二役で、映画界で最も魅力的な才能の一人としての地位を確立、ナショナル・ボード・オブ・レビュー、全米映画批評家協会などの最優秀女優賞を手にしました。2006年、監督の最後となる長編『インランド・エンパイア』でウサギのボイス出演をしている。

   

      

          (撮影中のナオミ・ワッツとデヴィッド・リンチ)

 

ナオミ・ワッツは、1968年イギリスのケント州ジョアハム生れ、女優、モデル、演技以外でもプロデューサーのキャリアを磨き、起業家として女性の健康に関する活動をしている。イギリス生れだが、父親没後、14歳で母方の祖母の故郷オーストラリアに家族で移住した。演技はシドニーの演技学校で学んでいる。1991年、ジョン・デュイガンのティーン・ロマンス「Flirting」にニコール・キッドマンと出演した。スコット・コフィ―の短編「Ellie Parker」(0116分)を監督と初プロデュース、主演もした。本作はサンダンスFFで上映され、その後2005年に長編映画化された。2004年オーストラリア映画協会のグローバル・アチーブメント賞を受賞している。

  

★出演作はTVシリーズを含めると3桁に及ぶ。その確かな演技力は多くの監督に愛されている。2003アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ21グラム』でアカデミー賞主演女優賞初ノミネートほか、ボストン、フロリダ、ロサンゼルスなどの映画批評家協会賞を受賞、ショーン・ペンやベニチオ・デル・トロと共演、2005年、ピーター・ジャクソンの『キング・コング』では、アメリカSFファンタジー・ホラー映画アカデミーの主演女優賞やロンドン映画批評家協会の年間女優賞を受賞、同年マーク・フォースターのサイコスリラー『ステイ』でユアン・マクレガーと共演した。デヴィッド・クローネンバーグの『イースタン・プロミス』(07)では、ヴィゴ・モーテンセンやヴァンサン・カッセルと共演している。

 

        

         (ショーン・ペンとナオミ・ワッツ、『21グラム』から)

 

   

        (ポスター)

 

       

              (『キング・コング』から)

 

ミヒャエル・ハネケが『ファニーゲーム』(97)をセルフリメイクした『ファニーゲームU.S.A.』(08)で再びモーテンセンと共演した。ロドリゴ・ガルシアの『愛する人』(09)は、トロントFFでプレミア、本祭のクロージング作品で、その後国際映画祭巡りをした作品。同年トム・ティクヴァの『ザ・バンク堕ちた虚像』ではクライヴ・オーウェンと、ダグ・リーマンがブレイム事件を描いた実録ポリティカル・サスペンス『フェア・ゲーム』(10)では、3度目の共演となるショーン・ペンと夫婦役を演じた。クリント・イーストウッドの『J・エドガー』(11)でレオナルド・ディカプリオと、そして翌年、J.A.バヨナ『インポッシブル』2度目となるオスカー賞主演女優賞にノミネートされた。2004年のスマトラ沖地震による未曾有のツナミを生き延びた家族を描いた実話の映画化、ユアン・マクレガーと夫婦役を演じた。スペインのシネマ・ライターズ・サークル賞2013主演女優賞、パームスプリングFF功績賞、サンタバーバラFFモンテシート賞ほか受賞歴多数、スペインでの世界興行売上ナンバーワンは、いまだに破られていない。

 

      

     

           (『インポッシブル』スペイン語版ポスター)

 

★何作かを掛け持ちで出演しているから選ぶのに迷うが、2013年、オリヴァー・ヒルシュピーゲルの『ダイアナ』では、ウェールズ公妃ダイアナの最後の2年間を演じたが、脚本が雑で低評価だった。2014年、アレハンドロ・G・イニャリトゥがアカデミー賞作品賞以下、数々の映画賞を受賞した『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』に脇役で出演、ノア・バームバックのコメディ『ヤング・アダルト・ニューヨーク』で、ベン・スティラーやアダム・ドライバーと共演、2015年、ジャン=マルク・ヴァレの遺作となったドラマ『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』にジェイク・ジレンホークと共演、2017年、コリン・トレヴォロウの『ザ・ブック・オブ・ヘンリー』に主演、Netflixで配信された。2019年、サンダンスFFでプレミアされ高評価だった、ジュリアス・オナーの社会派サスペンス『ルース・エドガー』ではティム・ロスと夫婦役を演じた。

 

2020年、オーストラリアが製作した、グレンディン・イヴィンの『ペンギンが教えてくれたこと』に主演、2016年にキャメロン・ブルーム他が上梓したノンフィクションの映画化、Netflixで配信されている。2021年、フィリップ・ノイスのスリラー『デスパレート・ラン』に主演・製作、2024年、オドレイ・ディヴァン(ディワン)の『エマニュエル』は、エマニュエル・アルサンの同名小説の映画化、製作はフランスだが言語は英語、本祭セクション・オフィシアルのオープニングを飾った。当ブログで作品紹介をしています。

『エマニュエル』の紹介記事は、コチラ20240701

 

2025年、Dare I Say It: Everything I Wish Id Know About Menopause がニューヨーク・タイムズのベストセラーのリスト入りしている。ドノスティア栄誉賞の授与式は、919日メイン会場のクルサール・ホールで行われ、その後、ベン・シリニアンの長編デビュー作「The Housewife」が上映されることになっています。ワッツが主役の主婦を演じます。

  

 

 The Housewife / La esposa perfecta(仮題「主婦」)

データ:製作国アメリカ合衆国、2026年、歴史ドラマ、102分、撮影地カナダのモントリオール、チューリッヒFF、トロントFF、サンセバスチャンFF、各映画祭上映

監督:ベン・シリニアン、脚本アリッサ・ヒル

キャスト:ナオミ・ワッツ、タイ・シェリダン、ルーク・エヴァンス(ラッセル)、マイケル・インペリオリ(アンソニー)、レナ・オリン、デビ・マザール、他

ストーリー:ニューヨーク、1964年、若いジャーナリストがクイーンズ地区にナチス将校と思われる男が秘密裏に暮らしていることを嗅ぎつける。彼が目指す容疑者の魅力的な妻と親しくなり、ジャーナリスティックな完璧さで追い詰めていくと、捜査は意外な展開を迎える。実話に基づいています。

 

  

             (ナオミ・ワッツ、フレームから)

 

     

監督紹介ベンジャミン・シリニアン、カナダのケベック州モントリオール生れ、監督、脚本家、俳優、クイーンズ大学で映画製作を学んでいる。短編「Lost in Motion」(124分、監督、共同脚本)は、カナダ国立バレエ団のプリンシパルダンサー兼振付師、作曲家ギヨーム・コーテをフィーチャーしている。トロントFFでプレミアされた。「Lost in Motion 2」(134分、監督、共同脚本)は、コーテの妻ヘザー・オグデン出演、第二次世界大戦中にフランス南部で孤児になったユダヤ人の少年と少女のラブストーリー「Josef et Aimee」(1517分、監督、共同脚本)は、フランス語のファンタジードラマ。共同脚本家は3作ともレスリー・ゴットリーブ。

 

   

             (ベン・シリニアン監督)

  

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