ロドリゴ・プラの新作『もうひとりのトム』*東京国際映画祭20212021年10月21日 11:25

        ロドリゴ・プラ&ラウラ・サントゥリョの新作「The Other Tom

 

     

              (スペイン語版のポスター)

 

★東京国際映画祭 TIFF コンペティション部門に、ロドリゴ・プララウラ・サントゥリョ夫妻デュオ監督のThe Other TomEl otro Tom)が『もうひとりのトム』の邦題でノミネートされました。第78回ベネチア映画祭2021オリゾンティ部門正式出品作品です。プラ監督は前作『モンスター・ウィズ・サウザン・ヘッズ』TIFF 2015で上映された折に、プロデューサーのサンディノ・サラビア・ビナイと来日してQ&Aに出席しております。彼は新作でも製作者の一人として参加しています。前作はラウラ・サントゥリョの同名小説の映画化、自身も脚本を手掛けています。二人ともウルグアイ出身ですが、主にメキシコで映画製作に携わっております。新作もサントゥリョの同名小説の映画化、今回、監督デビューを果たしました。

 

     

 (ロドリゴ・プラ、ラウラ・サントゥリョ、ベネチア映画祭2021フォトコール)

  

 

 『もうひとりのトム』The Other Tom El otro Tom

製作:BHD Films / Buenaventura

監督・脚本:ロドリゴ・プラ、ラウラ・サントゥリョ

原作:ラウラ・サントゥリョの The Other Tom

撮影:オデイ・サバレタ

編集:ミゲル・シュアードフィンガー

美術:アナ・べリード

製作者:アレハンドロ・デ・イカサ、ロドリゴ・プラ、ラウラ・サントゥリョ、サンディノ・サラビア・ビナイ、他

 

データ:製作国メキシコ=米国、英語・スペイン語、2021年、ドラマ、111分、撮影地テキサス州パラ・イソ、撮影期間8週間

映画祭・受賞歴:トロント映画祭2021コンテンポラリー・ワールド・シネマ部門、ベネチア映画祭2021オリゾンティ部門、ワルシャワ映画祭監督賞受賞、東京国際映画祭コンペティション部門、各正式出品作品

 

キャスト:フリア・チャベス(エレナ)、イスラエル・ロドリゲス・ベルトレッリ(息子トム)、リア・ミラー(バルバラ医師)、ホルヘ・カストロ(体育教師)、ソフィア・プリエト(カルラ)、ミシェル・フローレス(救急看護師)、マリシア・ドミンゲス(リタ)、フランコ・リコ(バルの男)、マリナ・カルバレナ(サビナ先生)、グロリア・カルデン(学校の保健婦)、アレハンドラ・ドサル(精神科医)、ハコ・ロドリゲス(トムの代理人)、他多数

 

ストーリー:テキサス州エル・パソで社会福祉に頼っているシングルマザーのエレナと息子トムの物語。トムは落ち着きのない多動性のため学校では <問題児> の烙印をおされている。父親の不在が二人の関係を一層複雑にしている。精神科医はトムを多動性障害ADHDと診断して薬を処方する。しかし母親のエレナは、その強い副作用を怖れて投薬治療を拒み、ゴミ箱に捨ててしまう。魂のこもった目とウェーブのかかった長い髪の子どもが怪我をしたことで、エレナは窮地に追い込まれる。観客は <もうひとり> のトムを目にすることができるでしょうか。

 

       

               (トムを演じたイスラエル・ロドリゲス、フレームから)

 

           

        (母エレナを演じたフリア・チャベス、フレームから)

 

★今年のTIFFでは、コンペティション部門とワールド・フォーカス部門(『箱』)でメキシコ=米国合作映画が2本上映されます。しかし監督は本作が両監督ともウルグアイ、『箱』のロレンソ・ビガスがベネズエラと、自国では映画製作のできない南米の出身者です。2作ともカンヌではなくベネチアでワールドプレミアされたのも意味深いことと思います。このコロナ禍のなかでも『もうひとりのトム』のクルーは、『モンスター・ウィズ・サウザン・ヘッズ』以来6年ぶりとなるベネチアに大挙してやってきました。中南米諸国のシネアストはベネチアを目指しているようです。

 

       

 (左から、製作者アレハンドロ・デ・イカサ、同ガブリエラ・マルドナド、デュオ監督、

    美術アナ・べリード、撮影オデイ・サバレタ、ベネチアFF 2021 フォトコール)

 

★前作『モンスター・ウィズ・サウザン・ヘッズ』はラウラ・サントゥリョの同名小説の映画化、実態が見えない官民の医療制度のもとで、一般の人々が押しつぶされていくメキシコ社会の脆弱性と闘う母子を描いていました。新作も作家の同名小説にもとづいており、医学や教育を <よく知っている> と思われている専門家のアドバイスの危険性を本能的に察知して抵抗する若い母親とその息子を描いています。粗末な家での母と息子が共有する優しい穏やかな時間、トムは本当に ADHD なのかどうか。落ち着きのない騒々しい子供は学校や教師から歓迎されない、鎮静化する必要があります。ホワイトでない、つまりヒスパニックであること、父親不在の家庭、夜遅くまで残業しなければならない母親、エル・パソを流れるリオグランデ川の向こうはメキシコです。

 

     

       (フリア・チャベスとイスラエル・ロドリゲス、フレームから)

 

『モンスター・ウィズ・サウザン・ヘッズ』(Un monstruo de mil cabezas)の作品紹介と監督フィルモグラフィーは、チラ20151103

   

    

              (英語版のポスター)

 

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