フリエタ・セラノが助演女優賞にノミネート*ゴヤ賞2020 ⑩ ― 2020年01月07日 18:13
パコ・カベサスの「Adiós」から2人がノミネート
(候補者がマドリードに参集したゴヤの夕べ、「Adiós」クルーのモナ・マルティネス、
ナタリア・デ・モリーナ、新人女優賞ノミネートのピラール・ゴメス、2019年12月17日)
★ゴールデン・グローブ賞の結果発表があり、スペイン各紙も写真入りで大きく報道していました。外国語映画部門にノミネートされていたアルモドバルの「Dolor y gloria」は、カンヌ同様ポン・ジュノの『パラサイト 半地下の家族』(1月10日公開)に敗れました。監督もガラ当日に馳せつけましたが残念でした。しかし本番のアカデミー賞が残っておりますが(まだノミネートが確定していない)最近ではこのカテゴリーは一致する傾向にあるからダメかな。またドラマ部門の男優賞ノミネートのバンデラスは、今度は『ジョーカー』のホアキン・フェニックスに敗れました。
(ガラに駆けつけたアルモドバル監督、2020年1月5日)
★気を取り直して。「Dolor y gloria」にかつてのアルモドバル映画の常連フリエタ・セラノがノミネートされました。1980年のデビュー作『ペピ、ルシ、ボンと他のフツーの女たち』以来、1983年『バチ当たり修道院の最期』、1986年『マタドール』、1988年『神経衰弱ぎりぎりの女たち』から1989年の『アタメ』まで出演している。今回は久々のアルモドバル映画の出演となります。アメナバルの『戦争のさなかで』の中でサラマンカ市長夫人を演じたナタリエ・ポサ、パコ・カベサス(セビーリャ1976)のスリラー「Adiós」(未紹介)から、モナ・マルティネス、ナタリア・デ・モリーナが揃ってノミネートされていますが、予想は難しい。
◎最優秀賞助演女優賞
ナタリア・デ・モリーナ 映画「Adiós」 監督パコ・カベサス
〇ナタリア・デ・モリーナ(ハエン近郊のリナレス1990)は、非常に強い星のもとに生まれた女優。作品は未紹介ですが、セビーリャを舞台にしたドラッグ絡みの殺人劇のようです。主演はマリオ・カサスだが、運悪くアキがなくついてなかった。映画の評価が分かれていることも損しているようです。ゴヤ賞関連では、ダビ・トゥルエバの『「ぼくの戦争」を探して』でデビューするや2014新人女優賞、フアン・ミゲル・デル・カスティジョの「Techo y comida」のシングルマザー役で2016主演女優賞と立て続けにゴヤ胸像を手にしたシンデレラガール。他にパコ・レオンの『KIKI~愛のトライ&エラー』(16)、カルロス・ベルムトの『シークレット・ボイス』(18)、イサベル・コイシェの『エリサ&マルセラ』(19)では男装姿をお披露目した。当ブログでは何回も登場してもらっている。独身にアディオスして音楽プロデューサーのヘスス・アモレスがパートナーです。
*「Techo y comida」&主なキャリア紹介は、コチラ⇒2016年01月16日
(マリオ・カサスと、映画「Adiós」から)
(涙が止まらなかった主演女優賞受賞のナタリア・デ・モリーナ、ゴヤ賞2016)
モナ・マルティネス 映画「Adiós」 監督パコ・カベサス
〇モナ・マルティネス(マラガ)は、2002年当時係争中だった事件をTVミニシリーズ化して話題になったベニト・サンブラノの「Padre coraje」でデビュー、ゴヤ賞受賞歴はない。サンブラノ監督が「Intemperie」で脚色賞他にノミネートされているが、本作にも出演している。「Adiós」が初ノミネーションだが、フェロス賞助演女優賞にもノミネートされている。他に当ブログ紹介作品としてアンドレア・ハウリエタの「Ana de día」(18)やロドリゴ・ソロゴジェンの「El reino」出演がある。作品についてはナタリア・デ・モリーナの項を参照、主人公の7歳になる娘の死が中心にあり、涙なしには見られない作品とか。
(モナ・マルティネスとマリオ・カサス、映画「Adiós」から)
フリエタ・セラノ 映画「Dolor y gloria」 監督ペドロ・アルモドバル
〇フリエタ・セラノ(バルセロナ1933)は、1964年TVシリーズでデビュー。ゴヤ賞関連では受賞は一度もなく、『神経衰弱ぎりぎりの女たち』とグラシア・ケレヘタの「Cuando vuelvas a mi lado」(99)で2回助演にノミネートされている。上記のアルモドバル作品以外ではハイメ・デ・アルミニャンの「Mi querida señorita」(72)、TVシリーズ「Teatro de siempre」(1967~71)でフォトグラマ・デ・プラタ賞を受賞している。また『マタドール』ではファンタスポルト2005の国際ファンタジア映画賞、2014年第6回ガウディ賞栄誉賞、マラガ映画祭特別賞の一つ銀のビスナガ「シウダ・デル・パライソ」を2015年に受賞している。デビュー以来生涯現役を続けているが、86歳という年齢から最後のチャンスかもしれない。
(バンデラス扮する主人公サルバドールの母親役、映画から)
(ガウディ栄誉賞のトロフィーを手にしたセラノ、第6回ガウディ賞2014授賞式)
ナタリエ・ポサ 映画「Mientras dure la guerra」(『戦争のさなかで』)
監督アレハンドロ・アメナバル
〇ナタリエ・ポサ(マドリード1972)は、ゴヤ賞関連ではノミネートに終わることが多かったが、2018年リノ・エスカレラの「No sé decir adiós」で主演女優賞を受賞している。本作はスペイン映画祭2019で『さよならが言えなくて』の邦題で上映された。他では脇役だが、アルモドバルの『ジュリエッタ』、セスク・ゲイの『しあわせな人生の選択』などの公開作品に出演している。
*キャリア紹介は、コチラ⇒2017年06月25日
(芯の強いサラマンカ市長夫人に扮したナタリエ・ポサ、映画から)
(主演女優賞のトロフィーを手にしたナタリエ・ポサ、ゴヤ賞2018授賞式)
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