ほぼ決まりの主演男優賞*ゴヤ賞2020 ⑨ ― 2020年01月06日 17:16
アントニオ・バンデラスVSカラ・エレハルデ
(左から、バンデラス、アントニオ・デ・ラ・トーレ、エレハルデ、ルイス・トサール)
★アルモドバルVSアメナバルという監督対決が、そのまま主演男優賞アントニオ・バンデラスVSカラ・エレハルデにもちこまれている。前者は海外での受賞歴に比してゴヤ賞は、ゴヤ賞2015栄誉賞を受賞しただけである。ハリウッド時代が長いこともあり、帰国後主演したアルモドバルの『私が、生きる肌』(11)でもノミネーションに終わっている。「Dolor y gloria」がカンヌ映画祭2019にノミネートされ、バンデラスは男優賞を受賞している。後者はスペイン映画史上最高額の5600万ユーロという破格の興行収益を上げたエミリオ・マルティネス=ラサロのコメディ「Ocho apellidos vascos」で2度目の助演男優賞を受賞している。
★アントニオ・デ・ラ・トーレは昨年、ロドリゴ・ソロゴジェンの「El reino」で宿願の主演男優賞を受賞しており、今回体重を15キロ増やして臨んだ「La trinchera infinita」ではあるが、連続受賞はないと予想します。残るルイス・トサールも長い下積み生活を乗りこえて、2004年イシアル・ボリャインの『テイク・マイ・アイズ』、続く2010年ダニエル・モンソンの『プリズン211』のマラ・マードレ役で主演男優賞を受賞している。今回パコ・プラサのスリラー「Quien a hierro mata」がメイン・カテゴリーにノミネートされていないこともあり、若干分が悪いのではないか。
◎最優秀主演男優賞
アントニオ・バンデラス 「Dolor y gloria」 監督ペドロ・アルモドバル
〇アントニオ・バンデラス(マラガ1960)俳優、監督、製作者。ゴヤ賞2015栄誉賞のほか、1年に1人選ばれる国民賞の映画部門、スペイン映画国民賞を2017年に受賞している。ゴヤ賞以上に格上の映画賞である。キャリアについては以下の記事にワープして下さい。
*ゴヤ栄誉賞受賞についての記事は、コチラ⇒2014年11月05日/2015年02月15日
*スペイン映画国民賞についての記事は、コチラ⇒2017年09月28日
(映画「Dolor y gloria」から)
(カンヌ映画祭2019男優賞のトロフィーを手にしたバンデラス)
アントニオ・デ・ラ・トーレ 「La trinchera infinita」 監督アイトル・アレギ、他
〇アントニオ・デ・ラ・トーレ(マラガ1968)は俳優、ジャーナリスト。ゴヤ賞関連ではダニエル・サンチェス・アレバロの長編デビュー作『漆黒のような深い青』(06)で助演男優賞を受賞して以来、毎年のように主演か助演にノミネートされるが縁遠く、昨年やっとロドリゴ・ソロゴジェンの「El reino」で主演男優賞を受賞した。今回の「La trinchera infinita」では、フォルケ賞とフェロス賞にノミネートされているが、多分ないと予想します。
*主なキャリア紹介は、コチラ⇒2018年08月27日
(映画「La trinchera infinita」から)
(主演男優賞のトロフィーを手にしたデ・ラ・トーレ、ゴヤ賞2019ガラ)
カラ・エレハルデ 「Mientras dure la guerra」(『戦争のさなかで』) 監督アレハンドロ・アメナバル
〇カラ・エレハルデ(バスク州ビトリア1960)は、俳優、脚本家、監督。ゴヤ賞絡みでは、イシアル・ボリャインの『ザ・ウォーター・ウォー』(『雨さえも―ボリビアの熱い一日』)でゴヤ賞2011助演男優賞を受賞、エミリオ・マルティネス=ラサロのコメディ「Ocho apellidos vascos」(14)で、2度目の助演男優賞を受賞している。脇役が多いので主演男優賞は初ノミネートです。
*主なキャリア紹介は、コチラ⇒2015年01月28日
(ミゲル・デ・ウナムノを演じたエレハルデ)
(助演男優賞のトロフィーを手にしたエレハルデ、ゴヤ賞2015ガラ)
ルイス・トサール 「Quien a hierro mata」 監督パコ・プラサ
〇ルイス・トサール(ルゴ1971)、ゴヤ賞関連では上述の他、イシアル・ボリャインの『花嫁のきた村』(99)で新人男優賞ノミネートを皮切りに、フェルナンド・レオン・デ・アラノアの『月曜日にひなたぼっこ』(02)で助演男優賞受賞、ボリャインの『ザ・ウォーター・ウォー』(10)、ジャウマ・バラゲロの『スリーピングタイト~』(11)、ダニー・デ・ラ・トーレの『暴走車ランナウェイ・カー』(15)の3作が主演男優賞にノミネートされており、シリアス・ドラマ、ホラー、スリラー、コメディと何でもこなすカメレオン俳優らしく比較的恵まれている。今回の映画はガリシアを舞台にしたスリラー仕立ての復讐劇、というわけで英題は「Eye for an Eye」です。他に彼が主演したアリッツ・モレノの『列車旅行のすすめ』や、ベニト・サンブラノ&レモン兄弟の「Intemperie」もノミネーションされているので、3グループをぐるぐる駆け回らなくてはならない。2015年からチリ出身の女優マリア・ルイサ・マジョールがパートナー、マラ・マードレも昨年2児の父親になった。
*最近のキャリア紹介は、コチラ⇒2019年12月17日
(介護士に扮したルイス・トサール、映画「Quien a hierro mata」から)
(『プリズン211』で2度目の主演男優賞のトロフィーを手にしたトサール、ゴヤ賞2010)
★2020年のフェロス賞(1月16日)には4人揃ってノミネートされ、ホセ・マリア・フォルケ賞(1月11日)にはルイス・トサール以外ノミネートされています。一人に集中するのかバラけるのか、間もなくです。
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://aribaba39.asablo.jp/blog/2020/01/06/9198885/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。