ラウル・アレバロ、マラガ才能賞授与式*マラガ映画祭2019 ⑤2019年03月22日 22:15

           受賞者ラウル・アレバロは「モストレスのマラガっ子」

 

      

         (マラガ才能賞のトロフィを手にしたラウル・アレバロ

    

★本映画祭もあっという間に終盤を迎えてしまい、セクション・オフィシアルの第1回上映もほぼ済んだようです。今年は作品紹介ができないうちに受賞結果を待つような事態になってしまいましたが、せめて特別賞だけでも受賞者紹介をいたします。先ず2日目317日、セルバンテス劇場で特別賞の二つ目マラガ才能賞―マラガ・オピニオンラウル・アレバロに授与されました。18日には本映画祭の大賞マラガ―スール賞(俳優ハビエル・グティエレス)、21日にはリカルド・フランコ―マラガ映画祭アカデミー賞(脚本家ラファエル・コボス)の授与式が続きました。今回はラウル・アレバロのキャリア&フィルモグラフィーをアップいたします。

ラウル・アレバロ監督デビュー作『物静かな男の復讐』の記事は、コチラ20170109

 

          

          (授賞式前のインタビューを受けたラウル・アレバロ)

 

ラウル・アレバロ Raul Arevalo1979年マドリード市のベッドタウン、モントレス生れ、俳優、監督。本来ならマドリっ子なのですが、友人知己の多くがマラガ出身者、それで仕事もここマラガと縁が深い。それでいつの間にか「モストレスのマラガっ子」と称されるようになった。「人生においてもキャリアにおいても、すべてがマラガに関係がある」と。先輩で親友のアントニオ・デ・ラ・トーレ1968、ゴヤ賞2019主演男優賞受賞)、大先輩のアントニオ・バンデラス1960、マラガ映画祭2017「名誉金のビスナガ」受賞)もマラガ出身者。以下、監督デビュー作『物静かな男の復讐』の作品紹介と内容が重なりますが、クリスティナ・ロタが指導する演劇学校で演技を学んだ。しかし俳優志望ではなく、あくまで目標は監督になることだった。

 

★「私は俳優ですが、私が最も情熱を傾けているのは監督すること」と語るアレバロは、2008年、短編「Un amor」を撮ったあと、念願の長編監督デビュー作Tarde para la ira16『物静かな男の復讐』Netflix、『静かなる復讐』公開)を手掛けるまで8年の歳月を費やした。さいわいベネチア映画祭「オリゾンティ」に正式出品され、出演者のルス・ディアスに女優賞がもたらされた。2017年にはゴヤ賞作品賞、自身は新人監督・脚本賞2冠、マノロ・ソロが助演男優賞を手にした。フォルケ賞ではドラマ部門の作品賞、フェロス賞では作品・監督・脚本賞、ガウディ賞、サン・ジョルディ賞初監督作品賞と次々に受賞、2017年はまさに黄金の年であった。「俳優として学んだことが大いに役立った」と語る。次回作は「急がずに」脚本を練っているところだという。未だ若い、勝負はこれからです。

    

        

    (アントニオ・デ・ラ・トーレ主演のデビュー作『物静かな男の復讐』のポスター)

 

★俳優としては、TVシリーズでデビュー後、2003ホアキン・オリストレルLos abajo firmantesで映画デビュー、2006年、アントニオ・バンデラスEl camino de los ingleses(邦題『夏の雨』)に出演、俳優で出発しながら監督として指揮を執るバンデラスを身近にして、将来の自分に重ね合わせて観察したようです。ダニエル・サンチェス・アレバロAzulOscuroCasiNegro(邦題『漆黒のような深い青』に出演、俳優ユニオン新人賞を受賞した。両作ともラテンビート2007で上映された。後者の共演者がアントニオ・デ・ラ・トーレとキム・グティエレスで、デ・ラ・トーレとは『デブたち』『マルティナの住む街』でも共演している。ホセ・ルイス・クエルダ監督のLos girasoles ciegosで主役を演じ、ハビエル・カマラやマリベル・ベルドゥとわたり合った。アルベルト・ロドリゲス監督の『マーシュランド』では、マドリードから地方に左遷された刑事役を、今回マラガ―スール賞を受賞するハビエル・グティエレスと好演した。脇役が多かったこともあり、映画だけでも出演本数は40作ぐらいになります。以下に主な作品だけ列挙しておきます。現在は2019年公開予定のポロ・メナルゲスの「El pian」の撮影が終わったところの由、アントニオ・デ・ラ・トーレとチェマ・デル・バルコが共演する。

 

   主なフィルモグラフィー&受賞歴

2006AzulOscuroCasiNegro『漆黒のような深い青』ダニエル・サンチェス・アレバロ監督

(ラテンビート2007俳優ユニオン新人賞を受賞

2007Siete mesas de billar francésグラシア・ケレヘタ監督、俳優ユニオン助演男優賞受賞

2008Los girasoles ciegos」ホセ・ルイス・クエルダ監督、

2009Gordos『デブたち』ダニエル・サンチェス・アレバロスペイン映画祭2009

   ゴヤ賞2010助演男優賞受賞

2010Balada triste de trompeta『気狂いピエロの決闘』アレックス・デ・ラ・イグレシア

2010También la lluvia『ザ・ウォーター・ウォー』イシアル・ボリャイン

2011Primos『マルティナの住む街』同上(ラテンビート2011俳優ユニオン助演男優賞受賞

2013Los amantes pasajeros『アイム・ソー・エクサイテッド!』ペドロ・アルモドバル

2014Las ovejas no pierden el tren」仮題「羊は電車を逃さない」

   アルバロ・フェルナンデス・アルメロ、セルバンテス文化センター土曜映画会(英語字幕)

2014La isla mínima『マーシュランド』公開、アルベルト・ロドリゲス監督、

   サン・ジョルディ賞2015スペイン映画男優賞

2016Cien años de perdón『バンクラッシュ』ダニエル・カルパルソロ

2018El aviso」ダニエル・カルパルソロ

2018Mi obra maestra」ガストン・ドゥプラット

 

『物静かな男の復讐』の作品紹介は、コチラ20170109

『マーシュランド』の作品紹介は、コチラ20150124