ヴィゴ・モーテンセンにドノスティア栄誉賞*サンセバスチャン映画祭2020 ②2020年07月08日 16:57

         ヴィゴ・モーテンセンにドノスティア栄誉賞の発表

 

      

 

★去る622日、第68回サンセバスチャン映画祭2020918日~26日)の栄誉賞ドノスティア賞の発表がありました。開催自体を危惧してアップしないでおきましたが、どうやら動き出しました。栄誉賞受書者は、最近では複数(2人か3人)が多いので、もう一人くらい選ばれるのではないでしょうか。アメリカの俳優ヴィゴ・モーテンセンは、ピーター・ジャクソン『ロード・オブ・ザ・リング』三部作(0103)のアラゴルン役で多くのファンを獲得しました。アメリカ映画は日本語版ウイキペディアに詳しいので紹介要りませんので、スペイン語映画を中心にアップいたします。当ブログではリサンドロ・アロンソ『約束の地』14)の劇場公開に合わせて作品&キャリアを紹介しております。

『約束の地』の記事は、コチラ20150701

 

       

     (リサンドロ・アロンソの『約束の地』の原題「Jauja」から)

 

★本映画祭で初監督作品Falling(カナダ=イギリス合作)が上映されます。サンダンス映画祭2020のクロージング作品、カンヌ映画祭2020のコンペティションにも選ばれました。ベテランのランス・ヘンリクセンと彼自身が親子を演じたほか、脚本も自ら執筆した。父と息子の確執、受け入れ、許しが語られるようです。102日スペイン公開も予定されています。

     

    

       

   (監督デビュー作Falling」で親子を演じた、ランス・ヘンリクセンとヴィゴ

 

ヴィゴ・モーテンセン1958年ニューヨークのマンハッタン生れ、俳優、脚本家、詩人、写真家、画家、ミュージシャン、出版社パーシヴァル・プレス(Perseval Presse2002年設立)経営者、今年Falling」で監督デビューも果たした。父親はデンマーク人の農業経営者、母親は米国人(ヴィゴ11歳のとき離婚、共同親権)、父親の仕事の関係で特に幼少年期にはベネズエラ、アルゼンチンで育ったことからスペイン語が堪能、父親の母語デンマーク語、加えて母親がノルウェー語ができたのでノルウェー語、ほかスウェーデン語、フランス語、イタリア語もできる。

 

    

 

1985年、ピーター・ウィアー『刑事ジョン・ブック/目撃者』のアーミッシュ役でスクリーンに本格デビューした。米アカデミー賞主演男優賞ノミネート3回、デヴィッド・クローネンバーグ『イースタン・プロミス』07)、マット・ロス『はじまりへの旅』16)、ピーター・ファレリー『グリーンブック』18)がある。クローネンバーグとは『ヒストリー・オブ・バイオレンス』05)や『危険なメソッド』11)でもタッグを組んでいる。

 

     

          (クローネンバーグの『イースタン・プロミス』から)

 

★スペイン語映画ではアグスティン・ディアス・ヤネス『アラトリステ』06)のディエゴ・アラトリステ役、アルゼンチン映画では、双子の兄弟を演じたアナ・ピターバーグ『偽りの人生』12)、上記のリサンドロ・アロンソの『約束の地』(14、アルゼンチン、デンマーク合作)のグンナー・ディネセン大尉役など。

    

    

      

 (ディエゴ・アラトリステ役のヴィゴ・モーテンセン)

 

★他にショーン・ペーンの初監督作品『インディアン・ランナー』91)、ブライアン・デ・パルマ『カリートの道』93)、ジェーン・カンピオン『ある貴婦人の肖像』96)、リドリー・スコットG.I. ジェーン』97)、エド・ハリスの監督2作目となるウエスタン『アパルーサの決闘』08)、コーマック・マッカーシーのベストセラー小説をジョン・ヒルコートが映画化した『ザ・ロード』09)、ブラジル仏合作のウォルター・サレス『オン・ザ・ロード』12)、アルベール・カミュの短編の映画化、監督のダヴィド・オールホッフェンが、ヴィゴを念頭において台本を執筆したという『涙するまで、生きる』14)などなど数えきれない。モーテンセンのような経歴の持主はそうザラにはいないのではないか。

 

        

       (フランス映画『涙するまで、生きる』のポスター

 

★私生活では、12年前から『アラトリステ』で共演したアリアドナ・ヒルとマドリードのダウンタウンに在住している。現在のパートナーに映画同様永遠の愛を捧げているとか。お互い再婚同士、当時アリアドナはダビ・トゥルエバと結婚しており2人の子供もいた。ヴィゴの一人息子ヘンリーはドキュメンタリー作家。またサッカー・ファンでもあり、『約束の地』の脚本家で詩人のファビアン・カサスとクラブチーム「サンロレンソ・デ・アルマグロ」の熱狂的なサポーターである。カサスの詩集を自分が経営するパーシヴァル・プレスから出版したのが縁ということです。

 

     

      (ヴィゴの息子ヘンリー、ヴィゴ・モーテンセン、アリアドナ・ヒル、

   『グリーンブック』で主演男優賞にノミネートされた米アカデミー賞2019の授賞式)