雨のオープニング*サンセバスチャン映画祭2023 ⑱ ― 2023年09月25日 10:29
雨の中でもファンサービスを怠らない招待客
★9月22日(金)、満席とはなりませんでしたが第71回サンセバスチャン映画祭2023が開幕しました。あいにくの小雨が降りそそぐなか、ペルラク部門オープニング作品「The Zone of Interest」のジョナサン・グレイザー監督、アルフォンソ・ロハ、ペルラク部門「May December / Secretos de un Escándalo」のトッド・ヘインズ監督、セクション・オフィシアルの審査委員長クレール・ドニ監督、スペイン勢では2023年の映画国民賞を受賞するカルラ・シモン、セクション・オフィシアル「They Shot the Piano Player」のフェルナンド・トゥルエバ、開幕式でプレゼンターを予定されているカジェタナ・ギジェン≂クエルボ、などが次々に宿泊ホテルであるマリア・クリスティナに吸い込まれていきました。北スペインは既に秋の気配が濃厚です。
★今宵のガラの総合司会は、既にご紹介したように女優のエバ・アチェと俳優のゴルカ・オチョア、前者がスペイン語、後者がバスク語で進行しました。イベントのシナリオはボブ・ポップ、演出はミレイア・ガビロンドでした。
(総合司会のエバ・アチェとゴルカ・オチョア)
★オープニング・ガラのハイライトは、宮崎駿監督のドノスティア栄誉賞の授与式でありましたが、監督は東京からオープニング作品に選ばれた『君たちはどう生きるか』を楽しんでいただきたい、また栄誉賞受賞に感謝の辞を述べるだけに終わった。本祭の総ディレクターであるホセ・ルイス・レボルディノスは、「ミヤザキのビデオを録画しなかったのは監督の強い要望であった」と観客に伝えた。
(舞台のスクリーンに映し出された感謝の辞を淡々と述べる監督)
★イギリスの俳優ドミニク・ウェストによって今年のFIPRESCI賞が「Fallen Leaves」のアキ・カウリスマキ監督に授与された。こちらも本人は登場せず制作会社アバロンの総ディレクター、製作者のステファン・シュミッツが代理で受けとった。プレゼンターはリタ・ディ・サント。
(FIPRESCI賞を代理で受けとったステファン・シュミッツ)
★他にニューディレクターズ部門の作品賞には50,000ユーロ、ネスト部門には10,000ユーロ、サバルテギ-タバカレア部門には20,000ユーロの副賞が授与されることがアナウンスされた。それぞれノミネートされている作品の紹介があった。ニューディレクターズはアネ・ガバライン、ケパ・エラスティ、ソフィア・オテロなどが担当した。
(ケパ・エラスティ、ソフィア・オテロ、アネ・ガバライン)
★オリソンテス・ラティノス部門に自らも監督デビューした、アルゼンチンのドロレス・フォンシが登場、ガストロノミア部門、オリソンテス・ラティノス部門の作品紹介をした。レッドカーペットにはパートナーのサンティアゴ・ミトレがエスコートしていた。
(ドロレス・フォンシ)
★ボブ・ポップとゴヤ賞2023の新人賞を受賞したテルモ・イルレタが揃って車椅子で登場、ジネミラ部門、メイド・イン・スペイン部門、などの作品紹介をした。
(テルモ・イルレタ、ボブ・ポップ)
★ウィットに富んだプレゼンターとして本祭には欠かせないカエタナ・ギジェルモ≂クエルボが登場、ペルラク部門の作品紹介で会場を沸かせていた。セクション・オフィシアル、審査委員長クレール・ドニ監督以下の審査員(ヴィッキー・ルエンゴ、ファン・ビンビン、ブリジット・ラコンブ、クリスティアン・ペツォールト、クリスティナ・ガジェゴ、ロバート・ラントス)の紹介があった。
(クレール・ドニ監督)
(セクション・オフィシアルの審査員7名、フォトコールから)
★歌手のマリア・ベラサルテがルイス・エドゥアルド・アウテ(新型コロナ感染で2020年没)の ‘Al alba’ を熱唱した。サンセバスチャン映画祭の元総ディレクターであったマヌエル・ぺレス・エストレメラ(1944~2023)のようなシネアストの点鬼簿が次々にスクリーンショットされた。彼はサンセバスチャン映画祭のみならず、TVE、ICAAなどのディレクターでもあり、9月6日に鬼籍入りしたばかりでした。大した盛り上がりもなく粛々と推移したオープニングでした。
(カエタナ・ギジェルモ≂クエルボ)
(マリア・ベラサルテ)
(ホセ・ルイス・レボルディノス)
(左から、ゴルカ・オチョア、ギジェルモ≂クエルボ、ボブ・ポップ、エバ・アチェ)
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