アルモドバルの新作「The Room Next Door」*スペインサイドのキャスト発表2024年06月18日 18:24

       英語で撮られた最初の長編映画――今年1018日公開予定

   

        

      (撮影中のティルダ・スウィントン、監督、ジュリアン・ムーア) 

   

612日、待たれていたスペイン・サイドのキャストと公開予定日が同時に発表になりました。アルモドバルの長編23作目となる「The Room Next Door」(スペイン題「La habitación de al lado」)は、英語で撮る最初の長編になります。主役の二人、娘との関係で悩んでいる従軍記者マーサを演じるティルダ・スウィントン、その親友の自伝的小説家イングリッドになるジュリアン・ムーア、ほかジョン・タトゥーロ2月に発表になっており、スペイン側キャストのアナウンスが待たれていました。

 

★共演者は、複雑なキャラクターを演じる能力で知られるフアン・ディエゴ・ボット、その抜群の演技力でカリスマ性を発揮してきたラウル・アレバロ、目下人気上昇中のメリナ・マシューズ、映画のみならず舞台テレビでの豊富な経験をもつビクトリア・ルエンゴ4名が参加、いずれもキャリア、知名度、演技力のレベルの高さは申し分ないでしょう。男性陣二人は揃って監督デビューしており、それが吉と出るかどうか興味も尽きない。産業界は興行収入での成功も当てにしているようですが、コロナ禍で映画館への足が遠退いてしまった大衆を再び呼びもどすことができるでしょうか。まだ詳細は見えてきませんが現時点で分かっていることを紹介しておきます。

 

The Room Next Door」(「La habitación de al lado」)

製作:El Deseo  協賛Movistar Plus

監督・脚本:ペドロ・アルモドバル

音楽:アルベルト・イグレシアス

撮影:エドゥアルド・グラウ

編集:テレサ・フォント

製作者:アグスティン・アルモドバル

 

データ:製作国スペイン、2024年、英語、ドラマ、撮影地マドリード、ニューヨーク、配給ワーナー・ブラザース、公開スペイン20241018日予定、ほか米国、イタリア、イギリス、ドイツ、中欧、ポーランドを除く東欧、北欧、ラテンアメリカ諸国、その他が予定されている。公開後のネット配信はMovistar Plus+が独占配信する。

 

キャスト:ティルダ・スウィントン(マーサ)、ジュリアン・ムーア(イングリッド)、ジョン・タトゥーロ、アレッサンドロ・ニヴォラ、フアン・ディエゴ・ボット、ラウル・アレバロ、メリナ・マシューズ、ビクトリア・ルエンゴ、ほか

 

あらすじ:大きな誤解によって常に緊張関係にある母と娘の物語。二人の間には母親マーサの友人であるオートフィクションの小説家イングリッドが、二人の痛みと苦い思いのもとになっている。マーサは戦争の報道記者で、この映画は戦争の際限のない残酷さについて、二人の作家が現実にアプローチして書く全く異なる方法について、恐怖と打ち勝つための最良の味方としての死、友情、性的快楽についてが語られる。また二人の友人は、ニューイングランドの自然保護区のなかに建てられた家で、鳥のさえずりで目覚め、奇妙に甘やかな時を過ごすことも語られる。(製作者の説明の要約)

     

          

        (ジュリアン・ムーア、監督、ティルダ・スウィントン

 

★アルモドバルは、英語映画としてジャン・コクトーの戯曲「人間の声」を映像化した短編『ヒューマン・ボイス』20、30分、日本公開2022年)、イーサン・ホークとペドロ・パスカルがガンマンに扮したウエスタン『ストレンジ・ウェイ・オブ・ライフ』23、31分、日本公開2024年)の2作を撮っているが、短編ながら劇場公開になった。長編映画は今作が初となり、前者に主演したイギリスのティルダ・スウィントンを再びオファーした。オートフィクションの小説家役のジュリアン・ムーアは、「いつも、いつも、いつも、ペドロ・アルモドバルと仕事をしたいと思っていた。それもマドリードでティルダ・スウィントンと一緒だなんて、なんて幸運なの!」と、エモーショナルなコメントをしている。

 

     

    

  (斧を物色するティルダ・スウィントン、『ヒューマン・ボイス』のフレームから)

    

★オートフィクションというのは自伝的小説と翻訳されるが、いわゆる私小説とは違って、作者を主人公にして自分自身の人生を語るが、あくまでもフィクションです。ジュリアン・ムーアは『マップ・トゥ・ザ・スターズ』(カンヌFF2014)、『エデンより彼方に』(ベネチア2002)、『めぐりあう時間たち』(ベルリン2002)と三大映画祭で女優賞を受賞、『アリスのままで』(14)でゴールデングローブ賞とアカデミー賞の主演女優賞を受賞して、貰える賞はすべて手にしている。

   

   

     (ジュリアン・ムーアを配した『アリスのままで』のポスター)

 

★今秋10月公開ということですから間もなくです。スペイン・サイドのキャスト&スタッフ紹介は、もう少し全体像が見えてきてからアップします。今回は過去の紹介記事をアップしておきます。

 

『ヒューマン・ボイス』の紹介記事は、コチラ20200217同年0816

『ストレンジ・ウェイ・オブ・ライフ』の作品紹介は、コチラ20230504

フアン・ディエゴ・ボットのキャリア紹介は、コチラ20220903

ラウル・アレバロのキャリア紹介は、コチラ⇒2016年02月2620170109

ビクトリア(ヴィッキー)・ルエンゴの出演作「Suro」は、コチラ20220801