第11回D'Aバルセロナ映画祭20212021年04月17日 18:02

      オープニング作品はアルベール・デュポンテルの辛口コメディ

 

        

D'Aバルセロナ映画祭の正式名はFestival internacional de Cinema dAutor de Barcelonaと長たらしいので当ブログでは略してD'Aバルセロナ映画祭として紹介しています(副賞は1万ユーロ)。バルセロナで11年前から始まった作家性に富んだインディペンデント映画祭で、映画とTVシリーズを配信するFilmin(月額7.99ユーロ)が主な母体ですが、バルセロナ現代文化センターCCCB、カタルーニャ・フィルモテカ(フィルムライブラリー)他で上映されます。特に今年はコンペティション以外はコロナ禍で多くがFilminで配信されるようです。ドキュメンタリーを含む長編62作、短編26作です。日本や台湾、韓国を含めたアジア作品も上映されますが、欧米が主力、半分ほどがスペイン映画です。今年は429日~513まで、その後マドリードで57日~13日限定で12作品上映が予定されていますが、あくまで予定は未定です。

     

     

            (映画祭の準備が進むバルセロナ市街)

 

★オープニング作品はギャスパー・ノエやジャン=ピエール・ジュネの映画でお馴染みの俳優で監督のアルベール・デュポンテルAdios, idiotas(原題「Adieu les cons」、英題「Bye Bye Morons」)、いずれも「さよなら、おバカさん」でしょうか。今年のフランスのアカデミー賞と言われるセザール賞7部門(作品・監督・脚本・撮影など)制覇した辛口コメディです。監督自身が脚本も書き主役を演じています。共演はヴィルジニー・エフィラ、訳あって別れたとき15歳だった息子を探すクレージーなロードムービーのようですが、本邦でも多分公開されるでしょう。今年のセザール賞ガラは衣装賞のプレゼンターを務めた女優コリンヌ・マジエロが、映画は「必要不可欠でない」という理由で映画館を閉鎖した政府に「文化なしに未来はない」とヌードの抗議をしたことでフランスじゅうが騒然となった。ワクチン接種が予定通り進まないマクロン政権、コロナ収束の道のりは各国とも厳しい。

   


      

        

     (アルベール・デュポンテルとヴィルジニー・エフィラ、映画から)

 

★クロージング作品は、イタリアのスザンナ・ニッキアレッリMiss Marx(原題「Miss Eleanor Marx」)、カール・マルクスの娘エリノアにロモラ・ガライが扮した。第77回ベネチア映画祭2020の話題作でしたが、賞には絡めませんでした。ということで開幕閉幕とも新作ではありません。日本からは河瀨直美の『朝が来る』、諏訪敦彦の『風の電話』、西川美和の『すばらしき世界』(英題「Under the Open Sky」で上映)などがアナウンスされていますが、それぞれ他の映画祭で既にエントリーされた作品です。

   

   

 (エリノア役のロモラ・ガライ、ニッキアレッリ監督の「Miss Marx」から)

 

★スペイン語映画では、アルゼンチンのソル・ベルエソ・ピチョン=リビエレMamá, mamá mamá(才能部門)、本作はサンセバスチャン映画祭2020で簡単にご紹介している。地元バルセロナからはマルク・フェレールのコメディ¡Corten!(監督部門、21、ワールドプレミア)、ボルハ・デ・ラ・ベガのデビュー作Mía y Moi(才能部門、21,スペイン)がノミネートされています。本作には『悲しみに、こんにちは』で母親を演じたブルナ・クシ、『アルツォの巨人』の主人公を演じたエネコ・サガルドイなどが出演しており、タイトル「ミアとモイ」は姉弟の名前です。他にオンラインで上映されたラテンビート2020の目玉だったダビ・マルティン・ロス・サントス『マリアの旅』が特別上映されるようです。

Mamá, mamá mamá」の紹介記事は、コチラ20200907

『マリアの旅』の作品紹介は、コチラ20201027同年1129

    

      

            (「Mamá, mamá mamá」のポスター)

 

     

   (姉役ブルナ・クシ、弟役リカルド・ゴメス、彼の恋人役エネコ・サガルドイ、

    「Mía y Moi」から)

 

2019年中に完成していた作品がコロナ禍で公開が2020年に延期されたり、2020年作品が今年にずれ込んだりしています。今年はなんとか開催できても来年はどうなるのでしょうか。文化は必要不可欠ではないとして切り捨てられるのでしょうか。今年のベルリン映画祭も史上初のリモート開催、スクリーンはどんどん遠のくばかりです。