クラウディア・ピント*モントリオール国祭映画祭②2013年09月05日 17:48

★クラウディア・ピントのデビュー作“La distancia más larga”(2013、ベネズエラ/スペイン、英題“The Longest Distance”)が、ラテンアメリカ映画にシフトした「グラウベル・ローシャ賞」を受賞しました。そう、ブラジルのニューシネマ「シネマ・ノーヴォ」の旗手ローシャの名前を冠した賞です。受賞が分かった時点でカラカスは大騒ぎのようです。ノミネートの段階でもしかしたらと期待していた作品でしたので嬉しい。もう予告編だけでも舞台となるグラン・サバナの景色、滝の美しさにドキドキします。

★60代のマルティナ(カルメ・エリアス)がスペインからベネズエラ南西部にあるグラン・サバナ(生れ故郷)に人生最後の旅にやってくる。ここロライマ山(2800m)の麓には彼女のかつての幸福が詰まっていたからである。ところが予期せぬ孫ルーカス(オマール・モヤ)の訪問で次第に最初の計画が狂っていく。家族の出会いとすれ違い、過去の自分に向き合うことになる。

★マルティナを演じるカルメ・エリアスは「ラテンビート2009」の目玉だった『カミーノ』の母役をした人。それ以前にもアルモドバルの『私の秘密の花』に出てましたが。スペインの大女優エリアスがグラン・サバナに撮影に来るという新聞報道もされた。神秘的な雰囲気がこのマルティナ役にはぴったりです。

★オマール・モヤは初出演、脇役のアウレック・ワイート(1990、カラカス生れ)も映画は初出演だがキャリアのある俳優らしい。暗い過去を持つミステリアスなカジェモ役にうってつけ、公開されたら若い女性ファンはほっとかないと思います。

★スペイン語映画が大好きなテーマの一つがこの<移動>です。それは“Puerto padre”のダニエルのような未来に向かう旅であったり、マルティナのような死出の旅であったりするが移動に変わりない。メキシコのレイガーダスの第1作『ハポン』も最新作『闇の後の光』も主人公は移動する。自分を未知の世界に連れていくことはそれだけでドラマですから。
(写真:グラン・サバナ、遠くにロライマ山が見える)

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