カンヌ映画祭2014*正式出品アルゼンチン映画2014年05月01日 21:32

★今年のカンヌはスペイン語映画はかなり寂しい。寂しくなかったことなんて最近ありましたっけ。ここ34年は新人監督がエントリーされることが少なく、二匹目のドゼウを狙う大物監督がズラリが傾向としてありますから、1作でも目に入ればいいんじゃないの、ということになります。

 


★そして目に入ったのがアルゼンチンのDamian Szifron(ダミアン・ジフロン? Relatos salvajes (2014、アルゼンチン=西、Wild Tales) です。この映画は、スピールバーグ製作総指揮のTVシリーズ『世にも不思議なアメージング・ストーリー』(198587)が下敷きになっているということです。一話完結のオムニバス・ドラマ、SFあり、サスペンス、ホラー、ファンタジーと多彩でした。こちらアルゼンチン版もコメディ、スリラー、バイオレンスなど6話で構成され、リカルド・ダリン、レオナルド・スバラグリア、ダリオ・グランディネッティ、エリカ・リバス、オスカル・マルティネス、リタ・コルテセ、フリエタ・シルベルベルク(ディエゴ・レルマンの『隠れた瞳』のヒロインを演じた)ほか。監督の読みが分からないが、アルゼンチンは『ワコルダ』に出てきたドイツ人医者のようなナチ逃亡者も反ナチも受け入れたから、他の諸国よりドイツ人といわゆる「ユダヤ」人が多く苗字は頭痛のタネです。

 

   
           (中央が監督、右隣りのダリン以下出演者一同)

★新人監督エントリーが珍しくなったコンペのなかでピカイチなのが本作の監督。1975年ブエノスアイレス生れ、脚本家、監督、エディター、プロデューサー。最近はテレビの仕事が多かった。長編第3作アクション・コメディTiempo de valientes2005On Probation)が、 ビアリッツ映画祭(ラテンアメリカ部門)で観客賞、マラガ映画祭(同左)では主役2人のうちルイス・ルケがベスト男優賞(銀賞)を受賞し、ペニスコラ・コメディ映画祭では、作品賞、監督賞、もう一人の主役ディエゴ・ペレッティが男優賞を受賞しました。


他に第2 El fondo del mar2003Bottom Sea)、テレビのシリーズドラマが多く、映画界復帰が待たれていた。今回はアメリカで活躍中のグスタボ・サンタオラジャが故郷ブエノスアイレスに戻って音楽を担当したことでも話題になっています。彼については説明不要でしょうが、『ブロークバック・マウンテン』と『バベル』で2005年、2006年と連続でアカデミー作曲賞を受賞しています。その他『アモーレス・ペロス』、『21グラム』、『モーターサイクル・ダイアリーズ』、『ビューティフル』エトセトラ。サンタオラジャによれば、ロック、ソウル、アフリカのリズム、ラテンアメリカのポピュラー音楽をミックスさせたとのこと。もう一つの話題は、アルモドバル兄弟の製作会社「エル・デセオ」が共同製作に参画していること。エントリーにはこういう実力者が関係しているかも、なにしろカンヌだからね。(写真は監督とサンタオラジャ)

 


★今年の審査委員長は、ニュージランドのジェーン・カンピオン監督。1993年『ピアノ・レッスン』がパルムドールを受賞している。この年はチェン・カイコーの『さらば、わが愛 覇王別姫』と賞を分け合いました。時々ありますね。昨年はシネファウンデーション&短編映画部門の審査委員長でした。今年は重みが違うから大変です。審査員にはガエル・ガルシア・ベルナルの名前があり、「光陰矢のごとし」を実感しました。カンヌ2000批評家週間でグランプリを受賞した『アモーレス・ペロス』で電撃デビュー、一夜にして「天と地が引っくり返った」と興奮した青年が、審査員なんですね。委員長を含めて女性5人、男性4人です。

 

★次回は「ある視点」の紹介から。まだ受賞発表(525日)には時間がたっぷりありますからゆるゆると。

 

 

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