第31回ホセ・マリア・フォルケ賞2025*結果発表 ― 2026年01月07日 13:31
作品賞はアラウダ・ルイス・デ・アスアの「Los domingos」が受賞

★ホセ・マリア・フォルケ賞の授賞式は年明け早々でしたが、第27回から前倒しの12月の半ばに変更され、2021年には1月と12月の2回開催されました。第31回は2025年11月6日にノミネート発表があり、12月13日にマドリードのパラシオ・ムニシパルで開催されました。年内にアップが間にあいませんでしたので、簡単に結果だけアップしておきます。1996年、EGEDA(オーディオビジュアル著作権管理協会)の初代会長を務めた、製作者兼監督のホセ・マリア・フォルケの偉業を讃えて創設された賞、縁の下の力持ちである製作者に与える賞としてスタートを切りました。常に光が当てられる監督賞がないのが特徴ですが、昨今では監督が製作を兼ねることが多くなり垣根が低くなりました。選考母体はEGEDAを中心にマドリード共同体、RTVEが主催、モビスター・プラス+ 他、多くの企業がコラボしています。

(総合司会者のカジェタナ・ギジェン・クエルボとダニエル・グスマン)
★映画部門はカンヌ映画祭の受賞歴を持つオリベル・ラシェの「Sirat」(オスカー賞2026のスペイン代表作品)をおさえて、アラウダ・ルイス・デ・アスアの「Los domingos」が受賞、TVシリーズはハビエル・セルカスのノンフィクション小説をベースに、アルベルト・ロドリゲス&パコ・R・バニョスの「Anatomía de un instante」に軍配が上がりました。かつてはゴヤ賞の前哨戦と称されたフォルケ賞も、カテゴリーが少ないので目安になるかどうか分かりませんが、以下に受賞結果をアップしておきます(*印は当ブログ紹介記事あり)。
*第31回ホセ・マリア・フォルケ賞2025受賞結果*
◎作品賞(フィクション)副賞30.000ユーロ
*プレゼンターは、女優のベレン・クエスタと監督で脚本家のマルセル・バレナ、彼は前年「El 47」で作品賞と映画と価値観教育賞の2冠を制しました。作品賞ノミネートは以下の4作。
「Maspalomas」 監督ホセ・マリ・ゴエナガ&アイトル・アレギ *

「Sirat」 監督オリベル・ラシェ *

「Sorda」 監督エバ・リベルタード *

「Los domingos」 同アラウダ・ルイス・デ・アスア *
製作者:マヌエル・カルボ、マリサ・フェルナンデス・アルメンテロス、サンドラ・エルミダ、他
*受賞作「Los domingos」の作品紹介記事は、コチラ⇒2025年07月27日

(製作者マリサ・フェルナンデス・アルメンテロス)

(アラウダ・ルイス・デ・アスア監督は「批判的な意見に敬意をはらい、
思想の教化やドグマに直面している視聴者の自主性を守りたい」とスピーチした)

(キャスト、監督、製作者たち)

◎長編アニメーション賞 副賞30.000ユーロ
*プレゼンターは、エンリケ・アルセとカルラ・ソフィア・ガスコン
「Bella」 監督マヌエル・H・マルティン、アンパロ・マルティネス・バルコ
「El tesoro de Barracuda」 同アドリアン・ガルシア
「La luz de Aisha」 同シャディ・アディブ Shadi Adib
「Decorado」 同アルベルト・バスケス
製作:Unico / Abano / Glow Animation / Sardinha em Lata
チェロ・ロウレイロ、ヌーノ・ベアト、ホセ・マリア・フェルナンデス・デ・ベガ、他

(熟年夫婦の危機が語られるとスピーチした製作者チェロ・ロウレイロ)

(ネズミに託して現代社会の自由を描いたとスピーチしたバスケス監督)

◎長編ドキュメンタリー賞 副賞6.000ユーロ
*プレゼンターは、パトリシア・ロペス・アルナイスと俳優のカルロス・サントス
「2025. Todos somos Gaza」 監督エルナン・シン
「Eloy de la Iglesia. Adicto al cine」 同ガイスカ・ウレスティ
「Tardes de soledad」 同アルベルト・セラ
「Flores para Antonio」 同エレナ・モリナ、イサキ・ラクエスタ
製作者:アルバ・フローレス、アナ・ビリャ、ブルナ・エルナンド、サラ・モントリウ、
エドゥアルド・ビリャヌエバ、チャーリー・ブホサ・コルテス

(俳優、ミュージシャンの故アントニオ・フローレスの一人娘アルバがスピーチ)


(監督、製作者たち、レッドカーペットにて)

◎男優賞 副賞3.000ユーロ
*プレゼンターは、タマル・ノバスとキラ・ミロー
アルベルト・サン・フアン 「La cena」
アルバロ・セルバンテス 「Sorda」 *
マリオ・カサス 「Muy lejos」
ホセ・ラモン・ソロイス 「Maspalomas」 *
*「Maspalomas」の紹介記事は、コチラ⇒2025年07月24日


◎女優賞 副賞3.000ユーロ
*プレゼンターは男優賞と同じ、タマル・ノバス、キラ・ミロー
アンヘラ・セルバンテス 「La furia」 *
ミリアム・カルロ 「Sorda」 *
ノラ・ナバス 「Mi amiga Eva」
パトリシア・ロペス・アルナイス 「Los domingos」 *



(パトリシア・ロペス・アルナイス)
◎短編賞 副賞3.000ユーロ
*プレゼンターは、女優兼モデルのクララ・ガジェと俳優のマヌ・ベガ
「El Cuento de una Noche de Verano」 監督マリア・エレーラ
「Una cabeza en la pared」 同マヌエル・マンリケ
「Angulo muerto」 同クリスティアン・ベテタ
製作:La Dalia Films / Robot Productions / ホセ・ルイス・ランカーニョ、パブロ・ロペス


◎ラテンアメリカ映画賞 副賞6.000ユーロ
*プレゼンターは、ラウラ・ラモス、アグスティン・デリャ・コルテ、アナ・リタ・クララ
「La misteriosa mirada del flamenco」(チリ) 監督ディエゴ・セスペデス *
「La ola」(チリ) 同セバスティアン・レリオ *
「Papeles」(パナマ) 同アルトゥーロ・モンテネグロ
「Belén」(アルゼンチン) 同ドロレス・フォンシ
製作:K&S Films(レティシア・クリスティ、マティアス・モステイリン、ウーゴ・シグマン)

(本作出演のフリエタ・カルディナリがトロフィーを受け取った)

◎映画と価値観教育賞
*プレゼンターは、女優兼監督のアントニア・サン・フアンとマルタ・ニエト
「Sorda」 監督エバ・リベルタード *
製作:ヌリア・ムニョス(Nexus CreaFilms)、ミリアム・ポルテ(Distinto Films)他
*受賞作「Sorda」の紹介記事は、コチラ⇒2025年04月14日


(ミリアム・ガルロ、監督エバ・リベルタード、アルバロ・セルバンテス)
◎観客賞
「El cautivo」 監督アレハンドロ・アメナバル
*プレゼンターは、マリア・ソレダード・サンスとマルコス・リックブール
製作:フェルナンド・ボバイラ、シモン・デ・サンティアゴ、アメナバル、他
『ドン・キホーテ』の著者セルバンテスの若き日を描いた歴史劇、東京国際映画祭で『囚われ人』の邦題で上映されている。


◎TVシリーズ賞(フィクション)副賞6.000ユーロ
*プレゼンターは、ハビエル・カルボ、アナ・ルハス
「Pubertat」 監督レティシア・ドレラ
「Animal」 同ビクトル・ガルシア・レオン
「Poquita Fe」(シーズン2) 同ぺポン・モンテロ、フアン・マイダガン
「Anatomía de un instante」 同アルベルト・ロドリゲス、パコ・R・バニョス *
製作者:ホセ・マヌエル・ロレンソ、フラン・アラウホ、マヌエラ・オコン
*受賞作「Anatomia de un instante」の紹介記事は、コチラ⇒2025年08月01日

(クリエーターのホセ・マヌエル・ロレンソ)

(ロドリゲス監督、脚本家ラファエル・コボスなど)
◎TVシリーズ賞男優賞 副賞3.000ユーロ
*プレゼンターは、バラバラ・レニーとミキ・エスパルベ
アルバロ・モルテ 「Anatomia de un instante」
ルイス・サエラ 「Animal」
ラウル・シマス 「Poquita Fe」(シーズン2)
ハビエル・カマラ 「Yakarta」


(プレゼンターのバルバラ・レニーからお祝いのキス)

◎TVシリーズ賞女優賞 副賞3.000ユーロ
*プレゼンターは男優賞と同じ、バラバラ・レニーとミキ・エスパルベ
カンデラ・ペーニャ 「Furia」
カロリナ・ジュステ 「La cancion」
イングリッド・ガルシア・ヨンソン 「Superestar」
エスペランサ・ペドレーニョ 「Poquita Fe」(シーズン2)

(受賞者エスペランサ・ペドレーニョ欠席)

◎フォルケ賞金のメダル
エンマ・ルストレス(製作者)
*プレゼンターは、勿論EGEDA会長のエンリケ・セレソ、会長がトロフィを手渡した。家族(共同設立者)が会場から見守るなか、2週間前のインタビューで「きっと泣いてしまう」という予告通り、登壇する前から涙、最後まで止まりませんでした。男性優位の製作現場での苦労を思えば涙も許されるでしょう。「独立系の製作者は、刷新を心がけること、新しい才能に新しいチャンスを与えること」とスピーチした。女性初の受賞者とか。

(「偉大な才能の持主」と賞賛したセレソ会長)

★Vaca Filmsを夫と創設した。代表作品『プリズン211』(ゴヤ賞2010作品賞)、『インベーダー・ミッション』(Invasor 12)、『暴走車ランナウェー・カー』(El desconocido メストレ・マテオ賞2016)、『バンクラッシュ』(Cien años de perdón 16)、『ガン・シティ動乱のバルセロナ』(La sombra de la ley 18)、「Hasta el cielo」(20)、「Quien a hierro mata」(24)など、ダニエル・モンソン、ダニエル・カルパルソロ、ダニ・デ:ラ・トーレ、パコ・プラサなど硬派の作品を手掛けている。




★地味だったフォルケ賞もカテゴリーが増えたりプレゼンターが豪華になったりと、年ごとにショー化して長くなりましたが、視聴率アップは至上命令ですから仕方ありません。TVシリーズ作品賞受賞作「Anatomía de un instante」の製作者ホセ・マヌエル・ロレンソがフランコ時代を知らない若い人たちに、現在手にしている自由をもち続けることの難しさと自由を手放さないための闘いを訴えるために製作したとスピーチしたのが印象的でした。また映画と価値観教育賞のプレゼンターとしてアントニア・サン・フアンが登壇したのに驚かされました。9月初旬に喉頭がんの診断を受け、当日はまだ化学療法を受けていたからです。その後大晦日に自身のインスタグラムで他臓器への転移もなく完治したと公表、「新たな人生を生きたい」という喜びの涙に〈いいね!〉が何万も投稿され、衰えないアントニアの人気の高さを実感したことでした。

(レッドカーペットでインタビューを受けるアントニア・サン・フアン)
★エル・デセオが製作したオリベル・ラシェの「Sirat」は無冠に終わりましたが、プロデューサーのアグスティン・アルモドバルやエステル・ガルシアの二人もレッドカーペットでのインタビューを受けていました。大体インタビューを受けた人が受賞しているので何かの賞に絡むと思っていましたが残念でした。
★今宵会場とお茶の間を楽しませたミュージシャンたち、“Ojos verde” を歌ったルス・ロレンソ、“Más bonita que ninguna” を歌ったシャイラ・ドゥカル、“Nada de nada” を歌ったアマラルとマファルダ・カルデナル、"Toda una vida" をデュエットしたシャネルとニル・モリネル、サウラの『カラスの飼育』でアナ・トレントとコンチ・ぺレスの姉妹がデュエットした "Porque te vas" をクロエ・バードが歌い始めると往年の大歌手ジャネットも登場して二人でデュエット、会場のシニアたちも乗せられて口ずさみ始め大いに盛り上がりました。

(シャネルとルス・ロレンソ)


(ジャネットとクロエ・バード)

(シャネルとニル・モリネル)
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