ノーチェックの冒険ファンタジー「Irati」5部門ノミネート*ゴヤ賞2023 ⑥2022年12月22日 17:24

          バスク語映画「Irati」の5部門ノミネートにびっくり

 

        

 

パウル・ウルキホ・アリホのアドベンチャー・ファンタジーIrati」が、脚色・オリジナル作曲・オリジナル歌曲・衣装デザイン・特殊効果賞の5カテゴリーにノミネートされた。シッチェス映画祭2022でプレミアされ、観客賞特殊効果賞受賞作品、バスク語映画がノミネートされるのは珍しくなくなったが、エンターテインメントのファンタジーがノミネートされたことに驚きを隠せない。キャストはエネコ・サガルドイ(『アルツォの巨人』)、イツィアル・イトーニョやナゴレ・アランブル(『フラワーズ』)、イニィゴ・アランブル、ラモン・アギーレなど、バスクを代表する俳優が出演している。

 

 Irati

製作:Bainet Zinema / Ikusgarri Films / Kilima Media / Irati Zinema

      協賛ICAA / RTVE / Triodos Bank

監督・脚本:パウル・ウルキホ・アリホ

音楽:アランサス・カジェハマイテ・アロイタハウレギ Mursego

撮影:ゴルカ・ゴメス・アンドリュー

編集:エレナ・ルイス

衣装デザイン:ネレア・トリホス

プロダクション・デザイン:ミケル・セラーノ

美術:ゴルカ・アルノソ、イサスクン・ウルキホ、他

特殊効果:ジョン・セラーノ、(ビジュアル効果)ダビ・エラス、他

製作者:イニャキ・ブルチャガ、パウル・ウルキホ・アリホ、フアンホ・ランダ、(エグゼクティブ)ジョネ・ミレン・ゴエナガ、他

カラーはゴヤ賞にノミネートされた人。

 

データ:製作国スペイン=フランス、2022年、バスク語、アドベンチャー、ファンタジー、114分、撮影地アラゴン州ウエスカのロアーレ城、アラバ、ギプスコア、ナバラなど、2021年秋クランクイン。ロアーレ城は保存の良いロマネスク様式の城砦で他作品でも使用されている。

映画祭・受賞歴:シッチェス映画祭2022観客賞・特殊効果賞・メイクアップ賞受賞、第33回サンセバスチャン・ファンタスティック・ホラー映画週間観客賞、テネリフェ・イスラ・カラベラFF 観客賞・特殊効果賞など受賞。公開スペイン2023224

 

キャスト:エネコ・サガルドイ(エネコ)、エドゥルネ・アスカラテ(イラティ)、イツィアル・イトーニョ(マリ)、ラモン・アギーレ(ビリラ)、イニィゴ・アランブル(エネコ X)、イニィゴ・アランバリ、ナゴレ・アランブル(オネカ)、他多数

 

ストーリー:舞台は8世紀のバスク地方、スペイン北部でキリスト教が異教の文化に優位にたったとき、ピレネー山脈を越えようとしていたカール大帝軍の攻撃に直面した、ロンセスバジェス谷のリーダーは古代の女神に助けを求めます。命を捧げるという血の契約によって敵を打ち負かしますが、新しい時代には村の住民を守り導くことを息子のエネコに約束させる前でした。数年後、エネコは使命をはたす約束に直面しています。彼はカール大帝の膨大な宝物のかたわらに異教徒の方法で埋葬されている父親の遺体を取り戻します。自身のキリスト教信仰にもかかわらず、この地域の謎めいた異教の女性イラティの助けが必要になってくる。二人の若者は、「名前をもつすべてが存在する」奇妙で荒れ果てた奥深い森の中に入り込んでいく。カール大帝のロンセスバジェスの戦いに着想を得た冒険ファンタジー。

    


                    (フレームから)

 

パウル・ウルキホ・アリホ監督紹介:1984年ビトリア生れ、監督、脚本家、製作者、フィルム編集者。2011年「Jugando con la muerte」(18分ミステリーコメディ)で短編デビュー、2012年「Monsters Do Not Exist」(10分)、2015年「El bosque negro」(15分)はエルチェ・ファンタスティックFF特別賞、トランシルバニア短編審査員賞、ほか受賞。

   

   

               (パウル・ウルキホ・アリホ監督)

 

2017年、コメディタッチのファンタジー・ホラー「Errementari」(98分、バスク語)で長編デビュー、アレックス・デ・ラ・イグレシアカロリナ・バングたちが製作を手掛け、脚本はアシエル・ゲリカエチェバリアが監督と共同執筆、音楽はフランス出身だがバスクに根を下ろして活躍しているパスカル・ゲーニュ、撮影監督に新作と同じゴルカ・ゴメス・アンドリューが参画、キャストは鍛冶屋にカンディド・ウランガ、少女にウマ・ブラカグリアを起用、新作主演のエネコ・サガルドイが悪魔、他にラモン・アギーレイツィアル・イトーニョなどがクレジットされている。また新作で特殊効果賞にノミネートされているジョン・セラーノとダビ・エラスがゴヤ賞2019でもノミネートされていた。邦題『エレメンタリ 鍛冶屋と悪魔と少女』で2018年 Netflix で配信されている。

    

       

             (デビュー作「Errementari」のポスター)

 

キャスト紹介:エネコ役のエネコ・サガルドイ(ビスカヤ1994)は、アイトル・アレギ&ジョン・ガラーニョの実話「Handia」(17『アルツォの巨人』)でゴヤ賞2018新人男優賞、スペイン俳優組合新人賞、シネマ・ライターズ・サークル賞を受賞、ほかTVシリーズ「Patria」(20)に出演、ボルハ・デ・ラ・ベガの「Mia y Moi」(21)、ウルキホ・アリホの長編2作に主演している。イラティ役のエドゥルネ・アスカラテは、TVシリーズ「Gutuberrak」(2018195話)でデビュー、ダビ・ペレス・サニュドの短編「Vatios」(2214分)、今回主役イラティに抜擢された。

   

   

         (エネコ役のエネコ・サガルドイ、フレームから)

 

   

          (イラティ役のエドゥルネ・アスカラテ、同)

 

★マリ役のイツィアル・イトーニョは、TVシリーズ『ペーパー・ハウス』でお馴染みですが、オネカ役のナゴレ・アランブルと、ジョン・ガラーニョ&ホセ・マリ・ゴエナガの『フラワーズ』(14)で共演している。イニィゴ・アランブルは、『アルツォの巨人』、ラモン・アギーレ1986年デビューの大ベテラン、出演作は3桁に達する。TVシリーズ『ペーパー・ハウス』、『エレメンタリ~』、『アルツォの巨人』ではサガルドイの父親役を演じている。バスク語話者は少ないせいか同じ俳優の共演が目立つ。

 

スタッフ紹介:オリジナル作曲・オリジナル歌曲賞にノミネートされている、アランサス・カジェハマイテ・アロイタハウレギは、パブロ・アグエロの「Akelarre」(20)でタッグを組んでゴヤ賞2021のオリジナル作曲賞、イベロアメリカ・プラチナ賞の音楽賞を受賞している。カジェハはアラウダ・ルイス・デ・アスアの「Cinco lobitos」でフェロス賞2023のオリジナル作曲賞にもノミネート、歌手でもあるマイテ・アロイタハウレギは Mursego のほうで知られており、フェルナンド・フランコの「La consagración de la primavera」(22)も手掛けている。衣装デザイン賞ノミネートのネレア・トリホスは、「Akelarre」で受賞、「Errementari」、アナ・ムルガレンのコメディ「García y García」(21)、フェリックス・ビスカレットの「No mires a los ojos」(22)などを手掛けている。 


『フラワーズ』、『アルツォの巨人』、「Akelarre」、「La consagración de la primavera」、「Cinco lobitos」、「García y García」、TVシリーズ「Patria」は、当ブログで作品紹介をしています。

 

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