カンヌ映画祭2020の開催は秋?*監督週間&批評家週間は中止が決定2020年04月18日 14:24

   世界は変わってしまった、ベネチア、サンセバスチャン各映画祭はどうなる?

 

   

413日、マクロン大統領の封鎖措置延期を受け(511日まで)、音楽祭、映画祭などいかなるイベントも7月中旬まで開催することができなくなりました。目下の死者数15,000人以上ですから、ある程度予想されたことながら現実となりました。カンヌ映画祭併催の「監督週間」と「批評家週間」は中止が決定、肝心のコンペティション部門他、「ある視点」や短編、クラシック各部門は未定ですが、いつものような開催はできないことがはっきりしました。映画祭代表ディレクターのティエリー・フレモー氏はぎりぎりまでタオルを投げることに抵抗しています。「フィガロ」紙に「秋開催」をほのめかしていますが、秋はベネチア(93日~12日)、トロント(910日~20日)、サンセバスチャン(918日~26日)などが控えていますから、その兼ね合いはどうなるのでしょうか。

 

      

  (カンヌのマークがペイントされているメイン会場パレ・デ・フェスティバル前を

   愛犬と散歩する女性、318日)

 

416日にフレモー氏が「フィガロ」のインタビューに応じ、「マスク着用で(映画祭会場の)階段を昇ることを含めて、いろんなフォーマットを考えているところです」と、秋9月開催に望みをつないでいるようですが、準備期間を考慮すると10月さえ厳しいのではないでしょうか。ベネチア映画祭との連携を視野に入れているようですが、イタリアの現状をみれば、こちらの開催もあやしくなっている。「コロナ危機が始まって以来、私たちはロカルノやサンセバスチャン、ドーヴィルなどを招待してやるプランも考えていた」と、唯の思い付きでないことを強調している。ドーヴィルはノルマンディ海岸の女王と謳われるリゾート地でアジア映画祭、アメリカ映画祭が開催されている。

 

★他の映画祭が採用を決定しているオンラインは考えておらず、映画は映画館で観るというカンヌ本来のポリシーに揺らぎはないと断言しています。そうでないとNetflixオリジナル作品などを排除している理由がなくなってしまうからでしょう。しかしながら「専門家たちの売買契約はデジタル・バージョンで622日から26日まで行いたい」との意向を示した。さらに6月末までコンペティション部門の作品選考を続行することがアナウンスされている。とにかく映画産業も生き残らなければならないから今後も模索は続くことでしょう。ペストの例を持ち出すまでもなく、ウイルスが世界を変えてしまったのは初めてではありません。ウイルスは根絶できない、ならば共存していくしか人類は生き延びることはできない。

 

★フランスの写真週刊誌「パリ・マッチ」が、ジョークでノミネーションをツイートした。先ず以前からカンヌ映画祭でプレミアが囁かれていたフェス・アンダーソンのThe French Dispatchがノミネート、ソフィア・コッポラのアドベンチャー・コメディOn the Rocks、ナンニ・モレッティの3家族が繰りひろげるコメディTre piani、ポール・バーホーベンのBenedettaなどが続いた。予告編が解禁されているアンダーソンのThe French Dispatch」を除くと、監督常連のビル・マーレイやティルダ・スウィントンなどが出演しているようだ。

 

415日は本来ならコンペティション部門のノミネーション発表があるはずでした。一寸先は闇を実感させられることです。メイン会場となるパレ・デ・フェスティバルは、320日以来、ロックダウンで行き場を失ったホームレスの臨時宿泊先になっている。

 

       

 (ホームレスの臨時宿泊所になったカンヌ映画祭メイン会場パレ・デ・フェスティバル)