セクション・オフィシアル作品紹介*サンセバスチャン映画祭2024 ⑧2024年08月08日 17:58

        72回セクション・オフィシアル作品16作 ②

 

10)「Conclave / Conclave」(『コンクラーベ』)ドイツ

監督エドワード・ベルガー(ウォルフスブルク1970)監督、脚本家、TVシリーズの製作者、英語読みでバーガーとも表記される。ドイツのブラウンシュバイク美術大学で学んだ後、ニューヨーク大学ティッシュ芸術学校で監督業を学んでおり、現在ベルリンを拠点にしている。2022年の『西部戦線異状なし』がアカデミー賞2023国際長編映画賞を含む7冠を制した。ほか『ぼくらの家路』(14)、「All My Loving」はベルリン映画祭2019にノミネートされている。

データ:製作国イギリス、米国、2024年、英語、スリラー、120分。原作ロバート・ハリス、ピーター・ストラウガンの同名小説の映画化。音楽フォルカー・ベルテルマン、撮影ステファン・フォンテーヌ、編集ニック・エマーソン、美術ロベルタ・フェデリコ、プロダクションデザインはスージー・デイヴィス

映画祭・受賞歴:トロント映画祭2024プレミア、SSIFFセクション・オフィシアルにノミネート

 

キャスト:レイフ・ファインズ(ローレンス枢機卿)、スタンリー・トゥッチ(ベリーニ枢機卿)、ジョン・リスゴー(トレンブレイ枢機卿)、イザベラ・ロッセリーニ(シスター・アグネス)、セルジオ・カステリット(テデスコ枢機卿)ほか多数

ストーリー:コンクラーベは、亡くなった教皇の後継者である新教皇を選ぶ、世界でも最も秘密主義に満ちた古くからのイベントの一つである。ローレンス枢機卿は、最愛のローマ教皇の予期せぬ死後、この秘密のプロセスを主導する任務を負うことになる。カトリック教会の強力な指導者が世界中から集まり、バチカンの広間に閉じ込められると、ローレンスは教会の土台を揺るがしかねない秘密を発見し、同時に自分が複雑な陰謀の中に捕らわれていることに気づく。

   

  

 

11)「Bound in Heaven」中国 デビュー作

監督シン・フオXin Huo(北京1980、ローラ・フオ)、脚本家、監督。脚本家としてスタート、チャン・ヤンの『こころの湯』(99、公開2001)、スティーブン・チョウの『カンフーハッスル』(04、公開2005)、張一白の『好奇心は猫を殺す』(06DVD 2010)、ソイ・チェンの『モンキー・マジック孫悟空誕生』(14、公開2015)の脚本を手掛けている。本作が監督デビュー作。

データ:製作国中国、2024年、中国語、ドラマ、105分、脚本ユウ・パン、Li Xiuwenの小説 Bundled to Heavenをベースに映画化された。

映画祭・受賞歴トロント映画祭2024でプレミア、SSIFFセクション・オフィシアルにノミネート

 

キャスト:ニー・ニーNi Ni、ユー・ジョウYou Zhou、ファン・リャオFan Liao

ストーリー:末期の病を患い心が石のようだった男と暴力に疲れ果てた女性が恋に落ちる感動的な物語が語られる。予期せぬ出来事のあとの遁走を交錯させながら、破壊的な死と束の間のきらめきのなかを生きのびる愛の物語。

   

     

 

12)「Hebi no michi / Serpens Path」(『蛇の道』)日本

監督キヨシ・クロサワ 黒沢清(神戸1955)、監督、脚本家、作家、東京芸術大学大学院映像研究科映画専攻教授。代表作『CURE』、『カリスマ』(カンヌFF併催監督週間)、『ニンゲン合格』(ベルリンFFフォーラム)、『大いなる幻影』(ベネチアFFコンペティション)、『回路』(カンヌ「ある視点」)、『アカルイミライ』(カンヌFFコンペティション)、『トウキョウソナタ』が「ある視点」審査員賞、サバルテギ-ペルラス部門上映、同じく『岸辺の旅』で監督賞を受賞、2020年の『スパイの妻』がベネチアの監督(銀獅子)賞を受賞、ペルラス部門でも上映された。

データ:製作国日本=フランス=ベルギー=ルクセンブルク合作、2024年、フランス語・日本語、クライム・サスペンス、113分、1998年に製作した自作の舞台をパリに移したセルフリメイク、ただしかなり違いがあります。日本では既に劇場公開されています。

 

キャスト:柴咲コウ(新島小夜子)、ダミアン・ボナール(アルベール・バシュレ)、マチュー・アマルリック(ティボー・ラヴァル)、グレゴワール・コラン(ピエール・ゲラン)、西島秀俊(吉村)、青木崇高(新島宗一郎)ほか

ストーリー:パリの場末、フリーランス・レポーターのアルベールは、幼い娘を惨殺され、復讐を固く誓う。新島小夜子というパリ在住の心療内科医が犯人捜しの協力を申し出る。小夜子の協力のお蔭で、二人はアルベールの娘の死に隠されていた真実に近づいていくが、謎に包まれた財団や人身密売の関りが明らかになるにつれ捻じれた事件に巻き込まれていく。

  

 

      

13)「Hard Truths」イギリス

監督マイク・リー(サルフォード1943)は、イギリスの監督、脚本家、舞台演出家。劇作家としてキャリアをスタートさせ、1980年代から映画を手掛ける。『ネイキッド』カンヌFF1993監督賞受賞、1996年『秘密と嘘』がパルムドール、本祭ペルラス部門上映、『人生は、時々晴れ』(02)、『ヴェラ・ドレイク』でベネチアFF2004金獅子賞受賞、『ハッピー・ゴー・ラッキー』(08)、『ターナー、光に愛を求めて』はカンヌFF2014コンペ部門に正式出品。

 

データ:製作国イギリス=スペイン、2024年、英語、コメディドラマ、97分、撮影地ロンドン、2023年クランクイン。脚本マイク・リー、撮影ディック・ポープ、音楽ゲイリー・ヤーション、編集タニア・レディン、プロダクションデザインはスージー・デイヴィス、メイン製作者ジョージナ・ロウ

映画祭・受賞歴:トロントFF2024スペシャル・プレゼンテーションでプレミア、SSIFFセクション・オフィシアルにノミネート

 

キャスト:マリアンヌ・ジャン=バティスト(パンジー)、ミシェル・オースティン(妹シャンテル)、デビッド・ウェバー、アニ・ネルソン、トゥウェイン・バレット、ソフィア・ブラウン、ほか

ストーリー:パンジーにとって人生は常に闘いである。心も身体も痛みがある。世間にかかわる方法は、容赦ない怒りを通して、例えば家族、歯医者、主治医、スーパーのレジ係・・・などと対決する。夫カートリーは大分前から彼女の扱いが分からない、息子モーゼスは自分の世界にどっぷり浸かり会話はゼロ、唯一の理解者は妹シャンテルだけである。幸福の可能性、人間の絆の限界についての探求であり、現代の家族生活についての厳しいが思いやりのある親密な研究でもある。

   

 

   

  

    (左から、エドワード・ベルガー、シン・フオ、黒沢清、マイク・リー)


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