ピラール・パロメロの「Los destellos」*サンセバスチャン映画祭2024 ⑤2024年07月30日 13:46

   ピラール・パロメロの「Los destellos―セクション・オフィシアル

   

  

 

★セクション・オフィシアルの3作目は、ピラール・パロメロ(サラゴサ1980)のLos destellos」、長編3作目になります。第1作が『スクールガールズ』(「Las niñasSSIFF 2020メイド・イン・スペイン部門)、第2作が「La maternal」(SSIFF 2022セクション・オフィシアル)、主役のカルラ・キレスが銀貝賞の主演賞を受賞している。前2作を手掛けたバレリー・デルピエールが今回もプロデュースしています。監督のキャリア&フィルモグラフィーは、以下に紹介しています。

『スクールガールズ』の作品紹介は、コチラ2020年03月16

La maternal」の作品紹介は、コチラ2022年0801

   

      

                         (ピラール・パロメロ監督) 

 

Los destellos / Glimmers

製作:Mod Producciones / Misent Producciones S.L. / Inicia Films / Crea SGR /

     協賛ICEC / IVAC / ICAA / RTVE / Movistar/ A Punt Media

監督:ピラール・パロメロ

脚本:ピラール・パロメロ、エイデル・ロドリゲス(原作バスク語Bihorz handiegia

音楽:ビセンテ・オルティス・ヒメノ

撮影:ダニエラ・カヒアス

編集:ソフィア・エスクデ

キャスティング:エバ・レイラ、ヨランダ・セラノ

美術:モニカ・ベルヌイ

衣装デザイン:アランチャ・エスケロ

メイクアップ:カルメン・アルブエス≂ミロ

製作者:フェルナンド・ボバイラ、シモン・デ・サンティアゴ、バレリー・デルピエール

 

データ:製作国スペイン、2024年、スペイン語、ドラマ、101分、撮影地カタルーニャ州タラゴナのオルタ・デ・サント・ジョアン、202310月クランクイン、公開:スペイン104

映画祭・受賞歴:第72回サンセバスチャン映画祭2024セクション・オフィシアル

 

キャスト:パトリシア・ロペス・アルナイス(イサベル)、アントニオ・デ・ラ・トーレ(元夫ラモン)、マリナ・ゲロラ(娘マダレン)、フリアン・ロペス、他

 

ストーリー:イサベルの人生は、娘のマダレンに定期的に訪れて病弱な父親ラモンの介護をするよう頼まれたとき、思いがけない展開を遂げます。別れてから見知らぬ人と見なして会わなかった。15年後イサベルは自分が克服しようとしている恨みの感情を再燃させますが、勤勉さと冷淡さで淡々と使命を果たそうとします。しかしラモンの傷つきやすい瞬間に出合うことで、自分たちに何が起こったのかを別の視点で見ることができるようになります。エイデル・ロドリゲスの短編(スペイン語題 Un corazón demaciado grande)にインスピレーションを得ています。

    

   

      (パロメロ監督とパトリシア・ロペス・アルナイス、タラゴナ、2023年10月)

 

★主役イサベル役のパトリシア・ロペス・アルナイスは、1981年バスク州ビトリア生れ、女優。当ブログ紹介はダビ・ペレス・サニュドのバスク映画「Ane / Ane Is Missing」(20)、ゴヤ賞2021主演女優賞、他フェロス賞、ホセ・マリア・フォルケ賞、サンジョルディ賞などを受賞した。代表作はエスティバリス・ウレソラ・ソラグレンの『ミツバチと私』という邦題で公開された「20.000 especies de abejas」、マラガ映画祭2023助演女優賞、フェロス賞2024助演女優賞を受賞している。東京国際映画祭2021上映の『ザ・ドーター』、ネットフリックス配信のTVシリーズ『インティミダ』でもフェロス賞2023 TV 部門で助演女優賞を受賞するなどその演技力は折紙付きです。

Ane / Ane Is Missing」の紹介記事は、コチラ20210127

20.000 especies de abejas」の紹介記事は、コチラ20230303

『ザ・ドーター』の作品紹介は、コチラ20211016同年1107

   

   

                   (Los destellos」のフレームから)

 

★ラモン役のアントニオ・デ・ラ・トーレは、1968年マラガ生れの俳優、ジャーナリスト。多くの監督に愛されて、出演本数はシリアスドラマ、スリラー、コメディなど既に130作を超えている。ウルグアイの元大統領ホセ・ムヒカに扮した、アルバロ・ブレッヒナーの『12年の長い夜』(18)でキャリア&フィルモグラフィー紹介をしています。最近当ブログの登場頻度が減りましたが、パロメロ映画に出演するとは意外でした。マラガ―スール賞2015、「El reino」でゴヤ賞2019主演男優賞ほか、フェロス賞、プラチナ賞、フォルケ賞など受賞歴多数。

12年の長い夜』でのキャリア紹介は、コチラ20180827

    

     

                    (イサベルとラモン、フレームから)

 

★娘マダレン役のマリナ・ゲロラは本作でデビューしたようです。フリアン・ロペス1978年クエンカ生れの俳優、脚本家、クリエイターと多才、コメディアニメーションのTVシリーズ「Muchachada nui」(071052話)には、製作と出演を兼ねている。映画ではボルハ・コベアガのコメディ「Fe de etarras」(18)、アルモドバルの『ペイン・アンド・グローリー』(19)など。

   

      

           (左から、フリアン・ロペス、デ・ラ・トーレ、マリナ・ゲロラ)

 

バレリー・デルピエールほど新人監督の発掘に寄与している製作者はそう多くありません。その多くがヒット作を飛ばしている。例えばカルラ・シモンのデビュー作『悲しみに、こんにちは』、パロメロのデビュー作『スクールガールズ』、エスティバリス・ウレソラ・ソラグレンのデビュー作『ミツバチと私』、ダビ・イルンダインのデビュー作「B」や「Uno para todos」などが挙げられる。撮影監督ダニエラ・カヒアス、フィルム編集者ソフィア・エスクデ、衣装デザイナーのアランチャ・エスケロ、美術のモニカ・ベルヌイなどとチームを組んで多くの新人監督を育てている。女性プロデューサーとしては、今年の映画国民賞を受賞したマリア・サモラの活躍も特筆に値するでしょうか。映画国民賞の授与式はサンセバスチャンFFが決まりですから、サモラも期間中に登場するはずです。

   

        

                (SSIFFノミネーションに出席した際のフォトコール)

 

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