ビクトル・エリセの新作「Cerrar los ojos」、カンヌ映画祭でプレミア2023年04月26日 17:20

 エリセの新作「Cerrar los ojos」がカンヌ・プルミェールにノミネート

        

              

    (今年のメインビジュアルはカトリーヌ・ドヌーヴ、1968年の『別離』から)

 

★カンヌの季節が巡ってきました。第76回となるカンヌは昨年に続いて5月開催です(516日~27日)。今年はスペイン語映画はコンペティション部門には見当たりません。しかし2021年に新設された「カンヌ・プルミェール」部門にビクトル・エリセCerrar los ojos」が選ばれました。このセクションには前年ロドリゴ・ソロゴジェンの『ザ・ビースト』が出品されていました。本作については昨年アウトラインを紹介しています。日本からは北野武6年ぶりとなる本能寺の変をテーマにした『首(KUBI)』(秋公開予定)が選ばれているように、コンペティション枠には漏れたが、そうかといって新人枠の「ある視点」部門にも該当しない、しかしどうしても落とせないベテラン監督の作品が選ばれるということです。エリセ82歳、北野76歳、老いても元気なのが嬉しい。

    

      

        (撮影中のエリセ監督、ホセ・コロナド、マノロ・ソロ)

 

★ノミネート発表は現在も進行中らしく、424日に追加作品の発表がありました。なかにカンヌ・プルミェール部門に、『触手』以来沈黙していたメキシコのアマ・エスカランテの「Perdidos en la noche」と『約束の地』が公開されたアルゼンチンのリサンドロ・アロンソの「Eureka」が含まれていました。

       

★「ある視点」には、アルゼンチンのロドリゴ・モレノ1972)の「Los delincuentes / The Delinquents」(アルゼンチン・ブラジル・ルクセンブルク・チリ)、カンヌは初参加ですがベルリン映画祭他での受賞歴をもつ中堅監督、脚本家。2006年の「El custodio」はベルリンFFでアルフレッド・バウアーを受賞、サンセバスチャン映画祭ホライズンズ・ラティノ部門スペシャルメンション、他ボゴタ、ハバナ、グアダラハラ、リマ各映画祭で監督賞を受賞している。もう一人がチリのフェリペ・ガルベス(サンティアゴ1983)の長編デビュー作「Los colonos / Les colons / The Settlers」(チリ・アルゼンチン・オランダ・フランス・デンマーク)の2作です。短編「Rapaz」(18)は、カンヌ映画祭併催の「批評家週間」に正式出品されている。他に「Silencio en la sala」(09)、既に短編で実績を残している若手監督、フィルム編集者である。

   

             

     

 (上段ロドリゴ・モレノ、下段フェリペ・ガルベス)

 

★短編部門には、ペドロ・アルモドバルの短編「Strange Way of Life / Extraña forma de vida」(スペイン、30分)が選ばれています。アルモドバルの映画に出ることが夢だったというチリ出身のペドロ・パスカルとイーサン・ホーク主演のネオウエスタン、監督2作目となる英語劇。制作は監督自身の制作会社エル・デセオとファッションブランドのサンローラン・プロダクション、ということで衣装デザインはアンソニー・ヴァカレロによるサンローランが手掛ける。映画界に乗り出したようです。

 

★撮影監督はホセ・ルイス・アルカイネでアルメリアの砂漠で撮影されました。音楽は14作も監督とタッグを組んでいるアルベルト・イグレシアス、アルモドバル映画の常連さんが担当します。お互いに愛し合っている7人の男性が出てくる奇妙なウエスタンだそうです。タイトル「奇妙な生き方」はポルトガルのファドの女王アマリア・ロドリゲスの「Uma estranha forma de vida」から採られている。

     

        

           (イーサン・ホーク、監督、ペドロ・パスカル)

 

★纏まった情報が入手でき次第、追加作品も含めて別途アップを予定しています。エリセ監督の新作は昨年ご紹介していますが、キャストも出揃いましたので、改めて加筆します。何しろ30年ぶりの長編4作目ですから公開を期待してアップしたい。『ミツバチのささやき』の少女、アナ・トレントもクレジットされています。

Cerrar los ojos」の紹介記事は、コチラ20220715