ユーモアは控えめだが視聴者参加の授賞式*ゴヤ賞2023 ⑩ ― 2023年01月18日 15:37
総合司会者にアントニオ・デ・ラ・トーレとクララ・ラゴ

★ガラまで1ヵ月前になる1月11日、総合司会者アントニオ・デ・ラ・トーレとクララ・ラゴ、スペイン映画アカデミー会長フェルナンド・メンデス=レイテ出席のもと、第37回ゴヤ賞2023の詳細の一部が明らかになりました。4年ぶりとなるセビーリャ開催の今回は、メンデス=レイテ会長が初めて指揮するゴヤ賞授賞式になります。前回は総合司会者なしで催行されましたが、今年はマラゲーニョとマドリレーニャの俳優が担います。ここ何年かはコメディアンが抜擢されていましたが、司会者に人を笑わせる才能は必要ないということで、今回は俳優が選ばれました。ということでユーモアは控えめになります。アカデミー会長からは「ガラの司会は大きな挑戦です。忘れられない夕べを過ごすために二人が最善を尽くすことは分かっています」というコメントがありました。

(メンデス=レイテ会長、アントニオ・デ・ラ・トーレ、クララ・ラゴ、1月11日)
★アントニオ・デ・ラ・トーレ(マラガ1968)は、「私たち二人はコメディアンではないので、おどけるつもりはありません。しかし節度をもって司会を務めます」と、二人がガラを進行する同僚であることを強調した。アカデミーから電話で要請を受けたおり、彼らは「私たちに『あなた方を信頼しています』と言いました」と、続けて「過去の事例に拘りたくないし、そうする必要があるなら他の人に電話をかけたでしょう」と語った。14回というノミネートの山を積みあげつづけたベテランは、ロドリゴ・ソロゴジェンの「El reino」(18)でやっと主演男優賞のトロフィーを抱きしめた。「ゴヤに一番嫌われた男」とも言われたが宿願を果たした。実に長い道程でした。コンビを組むクララ・ラゴとは、ダニエル・サンチェス・アレバロの『マルティナの住む街』(11)で父娘を演じ、アル中のダメ親父に扮した。今回はその埋め合わせができるでしょうか。


(マリサ・パレデスから主演男優賞のトロフィーを受け取るデ・ラ・トーレ、ゴヤ賞2019ガラ)
★長時間が毎年問題になり、受賞者スピーチの持ち時間を制限したりしましたが、今回は2時間30分は超えないと大幅な短縮がアナウンスされました。ほかに今年は新しい試みが導入されます。視聴者が「La porra de los Goya」(ゴヤ賞の鉄槌?)を通して、28カテゴリーの受賞者が誰になるかを言い当てる大衆参加型のガラになるようです。蓋を開けてみないことにはよく分かりませんが、視聴者を繋ぎとめるインタラクティブなゲームになるようです。クララ・ラゴによるとゴヤ賞ガラは「スペイン映画の祭典というだけでなく大衆のフィエスタでもある」からです。「映画は、それを観てくれる観客がいなければ意味がありません」と、観客との交わりを強調しました。
★クララ・ラゴ(マドリード1990)は、エレガントなベストドレッサーとして毎回レッドカーペットの人気者ですが、ゴヤ賞はまだ受賞がありません。イマノル・ウリベの『キャロルの初恋』でゴヤ賞2003新人女優賞にノミネートされましたが、この年は混戦の年であどけない12歳の少女は弾き飛ばされました。2004年に第1回ラテンビート映画祭のゲストとして来日したときには、すらりと背が伸びて別人のようで、「撮影後は学業に専念している」ということでした。演技だけで子役出身が生き残るのは難しい。エミリオ・マルティネス=ラサロの大ヒット作「Ocho apellidos vascos」を含めて主演作は20作ぐらいあると思いますがノミネートさえありません。字幕入りで観られる映画は玉石混交ですが、公開を含めてDVDやNetflix 配信を加えると10作くらいあるでしょうか。司会を機に飛躍の年にして欲しい。

(ベストドレッサーに選ばれたクララ・ラゴ、ゴヤ賞2020ガラ)
★ガラの制作プロダクションは、スペインの主要なテレビ・コンテンツの一つである Gestmusic(バニジェイ・イベリア)が引き受け、ティネット・ルビラとアンヘル・クストディオの演出、フェルナンド・ぺレスの脚本グループがコーディネートします。彼はパコ・レオンの『KIKI 愛のトライ&エラー』(16)の脚本を手掛けています。他に祭典にはメキシコのシンガーソングライターのナタリア・ラフォルカデ(!)、マラガ出身のミュージシャンパブロ・ロペス、フラメンコ歌手イスラエル・フェルナンデスなどの出演が明らかになりました。
*アントニオ・デ・ラ・トーレのキャリア&フィルモグラフィーは、コチラ⇒2018年08月27日
*クララ・ラゴのキャリア&フィルモグラフィーは、コチラ⇒2014年03月27日
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