パブロ・ララインの新作はダイアナ・スペンサーのビオピック2020年07月12日 12:31

        短編コレクションHOMEMADEホームメード』をプロデュース       

 

        

    

★新型コロナウイルスの拡大でサンチャゴの自宅に監禁状態だったパブロ・ラライン1976)の辞書に休暇という単語はありません。43歳になる彼はサンティアゴに監禁中も、弟のフアン・デ・ディオスと設立した制作会社「ファブラFábula」製作の17人の監督からなる短編コレクションHOMEMADEホームメード』をプロデュースしておりました。彼自身も初めてというコメディ「ラスト・コール」に挑戦、ベテランのメルセデス・モランとハイメ・バデルを起用しました。監督1人当たり45分から11分ぐらいで、自宅にある撮影機材や携帯電話を利用してソーシャルディスタンスを守っての撮影です。つまり全作が2020年前半コロナの時代に撮影されました。収益はコロナ禍への支援に充てられる。コロナが否応なく世界を変えつつあることを感じさせます。Netflix 630日から配信が始まっています。

 

      

    (メルセデス・モランとハイメ・バデル、ララインの「ラスト・コール」から)

 

★企画はザ・アパートメントCEOロレンツォ・ミエリとパブロ・ララインの呼びかけで始まった。企画に賛同して出品したシネアストの面々は、『レ・ミゼラブル』に登場した少年が飛ばしたドローンでロックダウンの街を撮影したラジ・リ(仏)、世界で最も孤独な二人の老人、ローマ教皇とイギリス女王の恋の行方を人形劇で描いたパオロ・ソレンティーノ(ローマ)、デヴィッド・マッケンジー(グラスゴー)、レイチェル・モリソン(ロサンゼルス)、『存在のない子供たち』のナディーン・ラバキーハーレド・ムザンナル(ベイルート)、『カセット・テープ・ダイアリーズ』のグリンダ・チャーダ(ロンドン)、『ヴィクトリア』のゼバスチャン・シッパー(ベルリン)、ジョニー・マー(メキシコ)、アナ・リリ・アミールポアー(ロサンゼルス)、ルンガーノ・ニョニ(リスボン)、『ダークナイト』の女優マギー・ギレンホール(バーモント)、ヴァンパイアー・サガ『トワイライト』主演のクリステン・スチュワート(ロサンゼルス)、『ナチュラルウーマン』のセバスティアン・レリオ(サンティアゴ)、日本からは河瀨直美(奈良)などがが参加している。監督18人による17作品、なお()内は撮影地。

 

      

      (ローマ教皇と英国女王、笑い続けたソレンティーノの人形劇から)

 

 

       プリンセス・オブ・ダイアナが離婚を決意したクリスマス休暇の3日間

 

★さて本題、パブロ・ララインが短編コレクションと同時に準備していたのが長編Spencerである。旧姓ダイアナ・スペンサー、プリンセス・オブ・ウェールズのビオピックですが、ラライン映画ではダイアナの死は語られないダイアナ妃があるクリスマス休暇をノーフォークのサンドリンガム邸で王室の人々と過ごした3日間に限られる。「この人たちとはこれ以上一緒に暮らすことはできないと気づいた」3日間、これがチャールズ皇太子との最後のクリスマスとなる。別居が公式に発表されるのは1992129日だからその前年あたりと思われる。もっとも二人の関係悪化は1984年の次男ヘンリー誕生あたりと言われているのでもっと以前かもしれない。

 

★誰がダイアナ妃に扮するのか、オリバー・ヒルシュビーゲルの『ダイアナ』のナオミ・ワッツでも、ドラマシリーズ『ザ・クラウン』のエマ・コリンでもなかった。上記のHOMEMADEホームメード』で監督デビューも果たしたクリステン・スチュワート(ロス1990)を予想した人はいなかったでしょう。イギリスのダイアナ・ファンは、「なんでチリの監督でハリウッド女優なの!」と、いたくオカンムリなのですが、ゴシップの絶えないクリステン起用は大方にとって驚きだったでしょう。くっついたり離れたりしていたステラ・マックスとは完全に切れたらしく、去年の秋頃から新恋人として脚本家のディラン・マイヤーとのツーショットが目立つようになっている。上記の短編コレクションの脚本にも彼女は参加していて、ボイス出演までもしているのです。どうやら今度は本気らしい。

 

     

                  (二人のダイアナ) 

 

★美貌だけが売りの女優でないことは、『WASPネットワーク』でオリヴィエ・アサイヤス監督のキャリア紹介をしたおりに、クリステンが『アクトレス 女たちの舞台』14)で好演、翌年のセザール賞を受賞したことを記事にしたばかりです。アサイヤスとはサイコスリラー『パーソナル・ショッパー』にも出演しています。ヴァンパイアー・サガ『トワイライト』の成功で名声と莫大な資産を両手にしました。評判はイマイチだった『スノーホワイト』、ウディ・アレンの『カフェ・ソサエティ』、昨年は『チャーリーズ・エンジェル』(リメイク版)にも声が掛かった。

 

★周囲を驚かせたクリステン起用についてラライン監督は、「成功させるには映画の核に、とても重要な何かが必要なのです、それは神秘的な何かです。クリステンにはそれがある。私たちが求めていたのは、とても謎めいていて壊れやすいが強さも兼ね備えた女優でした。それらの要素を持ち合わせている女優として私たちはクリステンを思い起こしました。彼女が台本にどのように反応したか、どのように登場人物に近づいて行ったかが重要なのです。彼女なら不信と不穏な何かを同時にやり遂げるだろうと思います。自然に湧き出る強さです」と期待をにじませる。

 

★ララインにとって、クリステンは現時点での「最高の演技者の一人」なのでしょう。過去には、ナタリー・ポートマンにジャッキー・ケネディを演じさせベネチア映画祭に持って行くことができた。果たしてクリステンをダイアナ・スペンサーに化けさせられるか、その力量が試される。おとぎ話を読んで、やがて訪れてくるだろう王子さまを夢見ていた女性たち、歴史的な女性神話に興味をもつ多くの観客の心を掴むことができるでしょうか。

 

     

   (ナタリー・ポートマンと監督、第73回ベネチア映画祭2016のフォトコールから)

 

★スティーヴン・キング自らが自作 Liseys Story を脚色したTVシリーズ『リーシーの物語』(8話、米国・チリ合作、翻訳あり)をニューヨークで撮影中、終了次第ヨーロッパに渡って、来年早々にクランクインの予定だそうです。IMDb情報では、脚本を『イースタン・プロミス』を手掛けたスティーヴン・ナイトが執筆、製作者はラライン・ブラザーズの他、『つぐない』でアカデミー賞作品賞ノミネートのポール・ウェブスターなどがクレジットされているだけです。キャストはクリステン・スチュワート以外未発表、コロナの影響をうける可能性もゼロではないからカンヌに間に合うかどうか。監督自身も「撮影前に作品の説明はできません。なぜなら映画製作は思わぬリスクと背中合わせだからです。私の最大の喜びは映画を撮ること、アイデアが明確になり作品として完成されていく過程です。もし言ってよければ、こうして仕事を続けられるのは特権であり喜びです」と。

 

       

        (弟フアン・デ・ディオスと監督、ラライン・ブラザーズ)


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