ベロドロモ部門にアニメとコメディ*サンセバスチャン映画祭2019 ⑥2019年08月04日 18:05

         映画祭の一番人気は巨大スクリーンで楽しむベロドロモ部門!

 

400㎡の巨大スクリーンで上映されるベロドロモ部門は、観客数3000人が一度に楽しめるセクション。プレミア作品より一度はどこかの映画祭でエントリーされたもの、老若男女問わず楽しめる前評判の高いアニメーションなどが選ばれることが多い。第67回サンセバスチャン映画祭SSIFFでは、目下レティシア・ドレラの自作自演、TVシリーズのコメディVida perfecta25分、8話)と、ビクトル・モニゴテエドゥアルド・ゴンデルのアニメーションLa gallena turuleca(スペイン=アルゼンチン合作)がアナウンスされている。

 

★フランスで2018年から始まったTVシリーズドラマのフェスティバル、第2回カンヌ国際シリーズ・フェスティバルCannesSeries45日~10日)に出品され、作品賞に当たるシリーズ賞主演賞(演技賞)の2 冠を制したVida perfectaからご紹介します。主演賞には監督自身を含む3人の女優、レティシア・ドレラアイシャ・ビリャグランセリア・フレイジェイロが揃って受賞した。

 

     

     (シリーズ賞と主演賞のトロフィーを手に、左からアイシャ、レティシア、セリアの3人)

 

    

       

Vida perfecta(「Déjate llevar」、インターナショナル題「Perfect Life」)2019

製作:Corte y Confección de películas / Movistar

監督:レティシア・ドレラ、エレナ・マルティン、ジネスタ・ギンダルGinesta Guindal

脚本:レティシア・ドレラ、マヌエル・ブルケ

撮影:マルク・ゴメス・デル・モラル

データ:製作国スペイン、コメディドラマ、全8話、各25分のシリーズ、撮影バルセロナ。CannesSeries 正式出品(シリーズ賞・演技賞)受賞作品。20191018日より配信開始

 

キャスト:レティシア・ドレラ(マリア)、アイシャ・ビリャグラン(エステル)、セリア・フレイジェイロ(クリスティナ)、フォント・ガルシア(パブロ)、マヌエル・ブルケ(ホセ)、カルメン・マチ(マリアの母)、フェルナンド・コロモ(マリアの父)、ダビ・ベルダゲル(グスタボ)、ペドロ・カサブランク(リカルド)、ジャスミン・ロルダン(ジミー)、イツァル・カストロ、他

 

ストーリー:マリア、エステル、クリスティナ、30代の3人は人生でも最も重要で複雑と思われる危機に直面している。彼女たちは、人生がかつて期待していた幸福とはほど遠いものであったことに気づく。別の選択肢を求めて行動を起こす時である。共に社会が女性たちに伝統的に求めている生き方から離れる決心をするだろう。人生が如何に自分とは無関係な義務を圧しつけていたことに気づくことになる。人生最大の危機に見舞われた3人の女性の動機はそれぞれ異なっているが、30歳を過ぎた女性の支柱がふらつき始めたらどんな混乱が起こるか、私たちは目にすることになる。

  

    

                  (左から、マリア、エステル、クリスティナ、映画から)

 

★ストーリーだけでは特別新鮮さは感じられないが、監督のレティシア・ドレラ(バルセロナ1981)は、マリアをヒロインに、今までもスペイン女性に強制されている<ノーマルな>生き方に疑問を投げかけてきたシネアスト、本作はその延線上にあるようです。第18回マラガ映画祭2015に出品されたRequisitos para ser una persona normal2015)で長編デビュー、監督・脚本・主演と才媛ぶりを発揮して、最優秀新人脚本賞を受賞、翌年のゴヤ賞にもノミネーションされました。フェミニストとして有名ですが、今作ではクリスティナ役を演じるはずだったAina Clotetを妊娠を理由に降板させたことで、両者間のバトルがネット上でも激しく応酬され物議を醸したのでした。ここでは深入りしませんが、上記でスペイン語題を2つ載せたのは、最初のタイトルが「Déjate llevar」だったからです。

 

★ホラー映画が初めてゴヤ賞2018の作品賞にノミネートされたことで話題になった、『エクリプス』の監督パコ・プラサと結婚している。女優として出演したプラサ監督の [REC]3サンジョルディ賞トゥリア賞の女優賞を受賞している。ほかTVシリーズ出演も多く、スペインでも女優のほうが有名かもしれません。

  

   

     (主演女優3人と Movistar+のフィクション部門の長ドミンゴ・コラル、719日)

 

★マリアの母親役にベテランのカルメン・マチ、父親役にベテラン監督のフェルナンド・コロモ、『悲しみに、こんにちは』のダビ・ベルダゲル、デビュー作にも出演したマヌエル・ブルケを布陣するなど、豪華キャストでお茶の間に登場します。