カルロヴィ・ヴァリ映画祭2019にホナス・トゥルエバの新作2019年06月03日 16:20

  ホナス・トゥルエバの「La virgen de agosto」がカルロヴィ・ヴァリ映画祭へ

 

      

   

★第54回カルロヴィ・ヴァリ映画祭2019628日~76日)のセクション・オフィシアルにホナス・トゥルエバの新作La virgen de agostoがノミネートされました。当ブログではフェルナンド・トゥルエバを父親にもつ新鋭ということで、Los exiliados románticos15)とLa Reconquista16)を紹介しております。後者は後にNetflix 『再会』という邦題で配信されました。英語題「The Reunion」の直訳がそのまま採用されました。オリジナルの「La Reconquista」にはもう少し深い意味が込められていたのですが、作品紹介記事もあらかた表層的で活かされませんでした。  

Los exiliados románticos」の作品紹介は、コチラ20150423

La Reconquista」(『再会』)の作品紹介は、コチラ20160811

 

      

         (新作La virgen de agosto」のイチャソ・アラナ

 

カルロヴィ・ヴァリ映画祭ノミネーションのLa virgen de agosto」は、昨年の盛夏、暑さにうだるマドリードの数ヵ所、サン・カジェタノ、サン・ロレンソ、ラ・パロマなどで撮影開始、それなりにメディアに宣伝してもらっていました。特にナバラ・ニュースでは、主人公エバを演じたイチャソ・アラナ1985)がナバラ州タファリャ出身ということもあって詳細を報じていた。前作『再会』で主役を演じたイチャソ・アラナを今回も起用、本作で脚本を監督と共同執筆、脚本家デビューも果たした。本人談によると、演劇では脚本も演出も既に体験済みだそうですが、映画の脚本は全く別の経験で、チャンスをくれたトゥルエバ監督に感謝している。日記体で語られる映画のようです。

   

   

 (ホナス・トゥルエバとイチャソ・アラナ

 

 

La virgen de agosto(「The August Virgin」)

製作:Los Ilusos Films

監督:ホナス・トゥルエバ

脚本:ホナス・トゥルエバ、イチャソ・アラナ

撮影:サンティアゴ・ラカ(『再会』、カルラ・シモン『悲しみに、こんにちは』他)

編集:マルタ・ベラスコ(『再会』、カルロス・ベルムト『シークレット・ヴォイス』他)

美術:ミゲル・アンヘル・レボリョ(『再会』)

プロダクション・マネージメント:ペレ・カポティリョ

助監督:ロレナ・エルナンデス・ツデラ(『再会』)

 

データ・映画祭:製作国スペイン、スペイン語、2019年、ドラマ、撮影地マドリードのサン・カジェタノ、サン・ロレンソ、ラ・パロマなど。第54回カルロヴィ・ヴァリ映画祭コンペティション部門出品、スペイン公開2019816日決定、配給BTeam Pictures

 

キャスト:イチャソ・アラナ(エバ)、ビト・サンス(アゴス)、ジョー・マンホン Joe Manjón(ジョー)、イサベル・ストフェル(オルカ)、ルイス・エラス(ルイス)、ミケレ・ウロス(ソフィア)、フランセスコ・カリル(フランセスコ)、ソレア・モレンテ(自身)他

 

プロット:間もなく33歳になろうとしているエバは、自分の人生が期待したようにいかないことを知っていた。エバには他のやり方で物事を感じる必要があり、それには暑いマドリードの夏をチャンスの時と考えた。8月にマドリードに留まる決心は、信仰の行為「信徳」なのだ。盛夏のマドリードは「ロメリア」の季節、昼も夜もフィエスタや夏祭りが盛りだくさんだから、出会いや偶然が待っている。もう青春時代は過ぎてしまったけれど、8月の満月の夜には何かが起きるだろう。エバにはまだ時間があるんだし、好運が訪れることだろう。         (文責:管理人)                            

★ホナス・トゥルエバによると「ここ数年前から夏が来ると、暑いマドリードを避けて友人や家族は避暑に出かけてしまう。しかし私はここに残ることを選択し、本作の構想を温めてきた」。「気の置けないチームだけで撮りたいと思っていた」ということですが、スタッフ、キャスト欄を見れば一目瞭然、前作『再会』のスタッフメンバーが多くを占めている。「旧知の友人あるいは新しい人々に出会うと、会話は別のリズムやトーンが生まれ、すべてが変わって特別な魔法にかかる」と監督。

 

★共演者のビト・サンスは、モノクロで撮った第2作目Los ilusos13)出演をきっかけに、先述の「Los exiliados románticos」、監督の父親フェルナンド・トゥルエバのLa reina de España16)や叔父ダビ・トゥルエバCasi 4018)などトゥルエバ一家の作品の他、エミリオ・マルティネス=ラサロMi amor perdido18)、マテオ・ヒル『熱力学の法則』18 Netflix)では主役を演じている。

マテオ・ヒルの『熱力学の法則』作品紹介は、コチラ20180402

 

      

       (「Los ilusos」のビト・サンスとフランセスコ・カリル)

 

★「Los ilusos」には、ビト・サンスの他、イサベル・ストフェルミケレ・ウロスも共演した。トゥールーズ・シネエスパーニャでは作品賞に当たる「金のバイオレット」を受賞した。『再会』の主人公オルモに扮したトゥルエバ常連の一人フランセスコ・カリルも男優賞を受賞するなど、海外でも評価された作品である。ミケレ・ウロスはイチャソ・アラナと同郷のナバラ出身、彼女は今回共演できることを喜んでいる。

 

      

     (新作「La virgen de agosto」のイチャソ・アラナとルイス・エラス)

 

         

        (前作『再会』のイチャソ・アラナとフランセスコ・カリル)

   

追加情報:ラテンビート2019で『8月のエバ』の邦題で上映が決定しました。