第6回イベロアメリカ・プラチナ賞2019*結果発表2019年05月17日 15:59

        予想通りアルフォンソ・キュアロンの『ROMA/ローマ』が大賞5冠を独占!

 

      

★開催したばかりのカンヌ映画祭はしばらくお休みして、去る512日に結果発表があった第6回イベロアメリカ・プラチナ賞授賞式のご報告。今回は偶数回なのでスペイン開催のはずですが、今回も昨年に引き続いてメキシコのカンクン近郊のリゾート地シカレ・リビエラ・マヤで行われました。気温が高く赤絨毯を踏んだシネアスト、セレブたちは汗ダクダクだったとか。総合司会は今回で2回目となるスペインのサンティアゴ・セグラTVシリーズ女優賞を受賞したメキシコのセシリア・スアレスでした。

 

      

        (総合司会者のセシリア・スアレスとサンティアゴ・セグラ)

 

★もう受賞作品はやる前から決まっていたようなもので、予想通りアルフォンソ・キュアロンの『ROMA/ローマ』が大賞5冠を独占し、サプライズ零%のガラ、作品賞・監督賞・脚本賞・撮影賞・録音賞の5カテゴリーです。メキシコ開催の授賞式でしたが、受賞が100%分かっていたにもかかわらず御大は姿を現しませんでした。どんな理由があったにせよ白けます。外野から「メキシコには住んでないよ」の声あり。2月にあった米アカデミー賞で外国語映画賞・監督賞・撮影賞の3冠を受賞していましたが、格が違うということでしょう。因みに外国語映画賞は来年から国際映画賞と名称が変わりますが、ルール変更はないそうです。

 

             

           (第6回イベロアメリカ・プラチナ賞の受賞者一同)

 

 

17カテゴリーの受賞作品・受賞者名は以下の通りです。

 

作品賞(フィクション)

Roma(『ROMA/ローマ』20181214日よりNetflix配信)メキシコ

 

    

       (製作者ガブリエラ・ロドリゲスと共同製作者ニコラス・セリス)

 

監督賞

アルフォンソ・キュアロン(『ROMA/ローマ』)

 

オペラ・プリマ初監督作品賞

Las herederas(『相続人』)パラグアイ、監督マルセロ・マルティネシ

 

     

             (右端がマルセロ・マルティネシ監督)

 

女優賞

アナ・ブルン(『相続人』) 

 

     

               (喜びが爆発したアナ・ブルン)

 

男優賞

アントニオ・デ・ラ・トーレ (「El Reino」)スペイン、監督ロドリゴ・ソロゴジェン

 

     

 

脚本賞

アルフォンソ・キュアロン (『ROMA/ローマ』)

 

 

 

撮影賞

アルフォンソ・キュアロン (『ROMA/ローマ』)

 

編集賞

アルベルト・デ・カンポ (「El Reino」)

 


 

美術賞

アンヘリカ・ぺレア (「Pájaros de verano」『夏の鳥』)コロンビア、

          監督クリスティナ・ガジェゴチロ・ゲーラ

       

 

   

オリジナル音楽賞

アルベルト・イグレシアス (「Yuli」)スペイン、監督イシアル・ボリャイン

 

    

 

録音賞

セルヒオ・ディアススキップ・リーヴセイホセ・アントニオ・ガルシア

クレイグ・ヘニガン(『ROMA/ローマ』)

 

    

            (『ROMA/ローマ』のキャスト&スタッフ一同)

 

作品賞(アニメーション)

Un día más con vida(『アナザー・デイ・オブ・ライフ』)スペイン、

 監督ラウル・デ・ラ・フエンテダミアン・ネノウ

 

   

 

作品賞(ドキュメンタリー)

El silencio de otrosスペイン、監督ロバート・バハルアルムデナ・カラセド

 

     

 

価値あるシネマ教育プラチナ賞

Campeonesスペイン、監督ハビエル・フェセル

 

  

 

TVミニシリーズ賞

Arde Madridスペイン

 

     

  (インマ・クエスタ、パコ・レオン、製作者アンナ・R・コスタ、アンナ・カスティーリョ)

 

TVシリーズ女優賞

セシリア・スアレス (「La casa de las flores」『ハウス・オブ・フラワーズ』

     2018810日よりNetflix 配信)メキシコ、ブラックコメディ、制作マノロ・カーロ

 

     

 

TVシリーズ男優賞

ディエゴ・ルナ (「Narcos: México」『ナルコス:メキシコ編』

     20181116日よりNetflix 配信)米国の犯罪ドラマ、製作総指揮カルロ・ベルナルド他

 

     

 

プラチナ栄誉賞

ラファエル(スペインのシンガーソングライター、俳優)

 

  

                                                  (喉もご披露したラファエル)

 

   

 

   

 (左から、プラチナ賞ディレクターのエンリケ・セレソ、栄誉賞受賞者ラファエル、

  総ディレクターのミゲル・アンヘル・ベンサル、アドリアン・ソラル)

       

★ざっと以上のようでした。第12014年(『グロリアの青春』)と2018年(『ナチュラルウーマン』)の受賞国チリ、2015年(『人生スイッチ』)と2017年(『笑う故郷』)の受賞国アルゼンチンは、ゼロ個と沈黙を強いられました。2016年はコロンビアの『彷徨う大河』、今回コロンビアは『夏の鳥』が美術賞を受賞して面目を施しました。昨年はメキシコ開催でしたがメキシコはゼロ個、今年はTVシリーズを含めると7個でした。録音賞のみがグループ受賞で、他はアルフォンソ・キュアロンの一人勝ちでした。

 

★スペインは作品賞を受賞したことはありませんが、今回は男優賞・オリジナル音楽賞・編集賞・ドキュメンタリー賞・アニメーション賞・価値あるシネマ教育プラチナ賞・TVシリーズ作品賞の7カテゴリー、さらにプラチナ栄誉賞をイベリア半島に運んできましたから、もう言うことなしです。

 

★『ROMA/ローマ』に限ったことではありませんが、Netflixや米国の制作会社の存在感はTVシリーズの受賞作品にみられるように顕著になってきました。映画祭のコンペティション部門にノミネートされたばかりなのに、映画祭が終わると1ヵ月もしないでお茶の間で見られる。その速さには実際驚きます。最初からNetflixオリジナル作品なら分かりますが。