監督賞ノミネーション*ゴヤ賞2019 ⑧2019年02月02日 19:17

         予測がつかない監督賞、ハビエル・フェセル、ロドリゴ・ソロゴジェン・・・・

 

      

★今年は作品賞の予測がつかないから、それに連動して監督賞もつかない。確実なのは『エブリバディ・ノウズ』のアスガー・ファルハディは受賞しないということぐらいです。観客に一番人気なのは、つまり興行成績バツグンなのはハビエル・フェセルの「Campeones」だが、観客に投票権があるわけではない。ロドリゴ・ソロゴジェンの「El reino」は、批評家の評価はすこぶる高いが観客の反応はどうか。第91回アカデミー賞短編部門に「Madre」が踏みとどまって脚光を浴びているが、それとこれとは別でしょうか。この短編は昨年のゴヤ賞受賞作品、昨年ご紹介しているが、これはよくできている。ソロゴジェンの才能は半端でないことは確かです。ノミネーション数の多寡では推しはかれないが、第11回ガウディ賞を攫った「Entre dos aguas」のイサキ・ラクエスタはちょっと厳しいかもしれない。

★ノミネート監督&作品は以下の通りです。

 

アスガー・ファルハディ『エブリバディ・ノウズ』ノミネーション8

イラン出身のオスカー監督、アカデミー外国語映画賞受賞の『別離』と『セールスマン』は、本邦でも話題になった。家庭の秘密やもめ事を深く掘り下げていく手法は、イランに止まらず万国共通のテーマ。脚本の一部をアルモドバルに渡して意見を訊いた。「こんなストーリーなんだが、スペイン人には受け入れられるかね?」―「実にスペイン的だよ。もしあなたが作らないなら、私が作ってもいいよ」が返事だった。「そうでなかったら、撮らなかったかもしれない」とファルハディ監督。ペネロペ・クルス、ハビエル・バルデム、リカルド・ダリン、バルバラ・レニー、エドゥアルド・フェルナンデス、インマ・クエスタ、これだけの大物俳優を集めて映画を作れるスペイン監督は、良し悪しを抜きにして見当たらない。今夏6月劇場公開が予定されている。

ノミネーションは、作品・監督・脚本・オリジナル歌曲・主演女優・主演男優・助演男優・編集賞の8カテゴリー。

紹介記事は、コチラ201805081017

 

       

    

(アスガー・ファルハディ、2018912日、本作のプレミア上映、マドリードのカジャオ)

 

 

ロドリゴ・ソロゴジェン 「El reino」ノミネーション13

権力に執着する登場人物たちが繰りひろげる卑劣なストーリーに、観客のアドレナリンはドクドク流れるでしょう。フェロス賞2019では、作品賞の他、ソロゴジェンの監督・脚本賞、アントニオ・デ・ラ・トーレの主演男優賞、ルイス・サエラの助演男優賞の5冠、フォルケ賞ではデ・ラ・トーレが男優賞を受賞している。キャストはジョセップ・マリア・ポウ、バルバラ・レニー、アナ・ワヘネル(助演女優賞)、フランシスコ・レイェス(新人男優賞)、ナチョ・フレスネダ他。

ノミネーションは、作品・監督・脚本・オリジナル作曲・主演男優・助演男優・助演女優・新人男優・撮影・編集・録音・特殊効果・プロダクション賞の13カテゴリー。

紹介記事は、コチラ2018年03月26日0725

  

  

 

     

201774日、撮影中のロドリゴ・ソロゴジェン、共同脚本家のイサベル・ペーニャ)

 

 

ハビエル・フェセル 「Campeones」ノミネーション11

古くからのファンなら『ミラクル・ぺティント』や『モルタデロとフィレモン』の監督作品。『カミーノ』のいざこざに疲れたか、再びコメディに戻ってきた。主役のハビエル・グティエレス以外は知的障害のある新人が殆どです。アカデミー賞外国語映画賞スペイン代表作品(落選)の他、フォルケ賞2019の作品賞とCine y Educación en Valoresのダブル受賞、フェロス賞ではコメディ部門の作品賞を受賞した。キャストはハビエル・グティエレス(主演男優)、フアン・マルガジョ(助演男優)、フラン・フエンテス、グロリア・ラモス(新人女優)、ヘスス・ビダル(新人男優)、ヘスス・ラゴ、ホセ・デ・ルナ

ノミネーションは、作品・監督・脚本・オリジナル歌曲・主演男優・助演男優・新人男優・新人女優・プロダクション・編集・録音賞の11カテゴリー。

紹介記事は、コチラ20180612

    

   

 

   

          (出演者フラン・フエンテス、グロリア・ラモス、ヘスス・ラゴ、

           ホセ・デ・ルナに指示を与えるハビエル・フェセル監督)

 

 

イサキ・ラクエスタ 「Entre dos aguas」ノミネーション2

1975年ジローナ生れ。サンセバスチャン映画祭2018の「金貝賞」受賞作品、更に先週開催されたガウディ賞の作品賞(カタルーニャ語以外)、監督賞、主演男優賞を含む7冠を達成した。2006年の『時間の伝説』から12年後がロマのゴメス兄弟によって語られる。イサ・カンポ(夫人)とカタルーニャ語で撮った前作は、邦題『記憶の行方』でNetflix配信された。

ノミネーションは、作品賞と監督賞の2カテゴリー。

監督キャリア&作品紹介記事は、コチラ2018072520160429

     

    

 

    

    (左から、イスラエル・ゴメス、ラクエスタ監督、フランシスコ・ホセ・ゴメス)

 

 

★作品賞は「Campeones」と「El reino」に分かれ、主演女優賞は『エブリバディ・ノウズ』のペネロペ・クルスと「Viaje al cuarto de una madre」のロラ・ドゥエニャス、『日曜日の憂鬱』のスシ・サンチェスとまさに混戦状態、助演女優賞は「Viaje al cuarto de una madre」のアンナ・カスティーリョの確率が高い。全員一致は主演男優賞のアントニオ・デ・ラ・トーレとイベロアメリカ映画賞の『ROMA/ローマ』くらいか。授賞式は22日(1950~)、傍若無人ぶりが売りのシルビア・アブリルアンドレウ・ブエナフエンテ夫婦の総合司会で間もなく開幕されます。

 

    

 (ゴヤ胸像を真ん中に準備OKのシルビア・アブリル&アンドレウ・ブエナフエンテ夫妻)