ダニエル・サンチェス・アレバロの新作「Diecisiete」はNetflixオリジナル作品 ― 2018年10月29日 16:17
6年間の沈黙を破って映画に戻ってきた!
★9月半ばカンタブリアでクランクインしたダニエル・サンチェス・アレバロの新作「Diecisiete」は、スペイン映画としては「Netflixオリジナル作品」4作目になるそうです。1作目は既に配信されているロヘル・グアルの『7年間』(16)、2作目がボルハ・コベアガの『となりのテロリスト』(17)、3作目がイサベル・コイシェの「Elisa y Marcela」で2019年にリリースされる由。コイシェ監督の新作は、1901年スペインで初めて同性婚をしたレスビアン・カップル、エリサ・サンチェスとマルセラ・ガルシアの実話を素材にしている。
*「Elisa y Marcela」の紹介記事は、コチラ⇒2018年02月08日
★「Diecisiete」はまだクランクインしたばかりですが、ストーリーはほぼ固まっているようです。17歳になるエクトル(ビエル・モントロ)が少年センターに入所して2年が経つ。非社交的で他人と関係が結べないエクトルは、動物を利用しての社会復帰のセラピーを受けることになる。そこで彼と同じように内気で不愛想な羊という意味のオベハという牝犬と出会い、変わらぬ繋がりをもてるようになる。しかし数ヵ月後オベハは姿を消す、それは飼い主が見つかったからだ。エクトルはこの現実を受け入れることができない。あと2ヵ月で入所期間が終わるというときオベハを探しにセンターを抜け出す。連絡を受けたエクトルの法廷後見人である兄イスマイル(ナチョ・サンチェス)は、祖母の古い老人施設に潜んでいたエクトルを見つけ出す。しかしオベハと一緒でなければセンターに戻ることを承知しないエクトル、連れ帰らなければならないイスマイル、兄弟は困難に直面する。後2日経つとエクトルは18歳になってしまう、もう少年ではいられない・・・。
(サンチェス・アレバロ監督、ビエル・モントロ、ナチョ・サンチェス、カンタブリアで)
(ビエル・モントロに演技指導をする監督)
★ダニエル・サンチェス・アレバロ映画には欠かせない、アントニオ・デ・ラ・トーレ、キム・グティエレス、ラウル・アレバロなどの常連の姿はない。兄役ナチョ・サンチェスは、今年のマックス・シアター賞受賞者だが長編映画出演は初めて。ネットフリックス配信のTVシリーズ『海のカテドラル』(7話)に罪人役で出演しているようだ。弟役ビエル・モントロはマルティン・オダラの『黒い雪』(アルゼンチン=スペイン合作、17、Netflix配信)でスバラグリアの若い頃を演じている。なんだかNetflixの宣伝をしているような気分になってきた。
(ナチョ・サンチェス、第21回マックス・シアター賞の授賞式にて)
★ダニエル・サンチェス・アレバロ(マドリード、1970)は、2006年『漆黒のような深い青』でデビュー、翌年のゴヤ賞新人監督賞を受賞した。本作は「ラテンビート2007」で上映され、監督も来日した。2009年、主役のデ・ラ・トーレを30キロほど太らせて撮った『デブたち』、2011年、コミージャスを舞台に大人になりきれない3人の従兄弟たちの一夏を描いたコメディ『マルティナの住む街』と話題作が立て続けに上映された。しかし2013年「La gran familia española」を最後に沈黙してしまった。何をしていたのかというと小説を執筆していた。「La isla de Alice」(2015年刊)というタイトルの小説は第64回プラネタ賞の最終選考まで残ったスリラー物、間もなくアメリカでも翻訳書が刊行される。いずれ映画化も視野に入っているようです。小説も悪くないけど、やっぱり映画を撮らなくちゃ。
(8万部を売ったという「La isla de Alice」を手にしたサンチェス・アレバロ)
★「前進するには一歩後退が必要、原点に戻って撮りたい」と監督。製作はホセ・アントニオ・フェレスのAtipica Films、Netflixオリジナル作品、2019年配信。
追記:邦題『SEVENTEEN セブンティーン』で2019年10月18日配信開始
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