ダニー・デヴィートにドノスティア賞*サンセバスチャン映画祭2018 ⑭2018年08月30日 09:51

          今年のドノスティア賞受賞者が3人になりました?

 

★「ホライズンズ・ラティノ」のご紹介中ですがドノスティア賞に、アメリカの俳優、監督、プロデューサーのダニー・デヴィートとイギリス女優のジュディ・デンチ受賞の発表がありました。もう一人女性が受賞するのではないかと予想していましたが、820日にデヴィート受賞の発表があり「男性優先?」と気分を害していましたら、28日にデンチ受賞のアナウンスがありました。既に是枝裕和監督の受賞が決まっているので、今年は3人のようです。デヴィートもデンチも日本語版ウイキペディアで充分と思いますが、発表順に先ずはデヴィートから簡単にご紹介しておきます。

 

     

ダニー・デヴィートDanny DeVitoは、1944年ニュージャージー州ネプチューン・シティ生れ、イタリア系アメリカ人、俳優、監督、プロデューサー。1975年ミロス・フォアマンの『カッコーの巣の上で』で映画デビュー、TVシリーズ「Taxi」(197883)のルイ・デ・パルマ役でエミー賞(助演男優賞)受賞。1987年ブラックコメディ『鬼ママを殺せ』で監督デビュー、自身も出演して共演者アン・ラムジーと揃ってゴールデン・グローブ賞の男優賞、女優賞にノミネートされ、ラムジーはオスカー賞助演女優賞にもノミネートされた。本邦未公開だが「どうしてなんだ?」とファンから苦情がでた映画。

   

       

       (アン・ラムジーとダニー・デヴィート、『鬼ママを殺せ』から)

 

★監督・製作を手掛け、親友マイケル・ダグラスが主演した『ローズ家の戦争』89)、ジャック・ニコルソン主演の『ホッファ』92)は、ベルリン映画祭のコンペティション部門に正式出品された。ティム・バートンの『バットマン・リターンズ』のペンギン役、またファンタジー映画『ビッグ・フィッシュ』03)にも出演した。いずれも何度もテレビ放映されている。代表作の一つが『マチルダ』96、監督・出演・製作)、イギリスの作家ロアルド・ダールの『マチルダは小さな天才』に材をとったファンタジー・コメディ。赤ん坊にして既に読み書きができたという天才少女マチルダを�りとばす横暴な父親ハリー役を演じた。

 

    

 (マチルダ役のマーラ・ウィルソンと、子供と並ぶと身長147センチには見えない?)

 

★現在は製作や声優の仕事が多いようです。2012年の3Dアニメーション『ロラックスおじさんの秘密の種』のロラックスおじさん役でボイス出演、日本版では志村けんが吹替に初挑戦して話題になった。ドノスティア賞の授賞式922日、映画祭メイン会場のクールサルで手渡される。翌日3000人が収容できるベロドロモ・アントニオ・エロルサで、カレイ・カークパトリックの新作アニメーションSmollfootが上映される。従ってボイス出演です。

Smollfoot」の紹介記事は、コチラ20180819

 

 

 

★次回にジュディ・デンチをアップします。


ジュディ・デンチにドノスティア賞*サンセバスチャン映画祭2018 ⑮2018年08月31日 19:00

        伝説的な英国女優ジュディ・デンチ、ドノスティア賞受賞

     

★ベネチア映画祭がいよいよ開幕(29日)、審査委員長ギレルモ・デル・トロも元気な姿を現しました。金獅子賞を競うコンペティション部門21作中に女性監督作品はたったの1、既に女性監督数30%に及ばんというにしては少なすぎるのではないかと、ひと頃のMeToo運動を思い出して溜息をついていましたら、EWA(欧州女性オーディオビジュアル・ネットワーク、現会長イサベル・コイシェ)がベネチア映画祭のディレクター、アルベルト・バルベラに抗議の書簡を送ったニュースに接しました。1作では全体の5%にも満たないから、不公平感は否めません。サンセバスチャン映画祭も「ドノスティア賞に男性2人はどうかな」と思っていた矢先、前述したように去る28日にジュディ・デンチ受賞の報がありました。

オーストラリアのジェニファー・ケントの「The Nightingale」、世界三大映画祭初参加作品、スペインのメディアでは話題になっています。

 

       

ジュディ・デンチは、1934年ヨークシャー州ヨーク生れ、女優。クエーカー教徒の家庭で育つ。ロンドンの「セントラル・スクール・オブ・スピーチ・アンド・ドラマ」に入学、1957年『ハムレット』のオフィーリア役で初舞台ということから、その優等生ぶりが分かる。1961年ストラトフォード・アポン・エイヴォンを拠点にする劇団「ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー」に入団、1977年『マクベス』でローレンス・オリヴィエ賞ドラマ主演女優賞受賞を皮切りに5度、ミュージカル主演女優賞とドラマ助演女優賞を1度ずつ、1999年にはトニー賞ドラマ主演女優賞を受賞している。

 

1957年から舞台と併行してTVシリーズにも出演、映画界入りは、クライトン・チャールズの「The Third Secret」(64)、タッグを組んだ監督には例えば、ジェイムズ・アイヴォリー『眺めのいい部屋』86、英国アカデミー賞BAFTA助演女優賞受賞)、ジョン・マッデンQueen Victoria 至上の恋』97BAFTA主演女優賞、ゴールデン・グローブ賞主演女優賞ほか受賞歴多数)、マッデンとは続いてエリザベスⅠ世役でアカデミー賞、BAFTAの助演女優賞を受賞した『恋におちたシェイクスピア』99)にも出演した。

 

                    

                                (マッデン監督の『Queen Victoria 至上の恋』から)

   

       

     (エリザベスⅠ世に扮した『恋におちたシェイクスピア』から)

 

ラッセ・ハルストレム『ショコラ』00)は、ジョアン・ハリスの同名小説の映画化、主演のジュリエット・ビノシュともどもアカデミー賞以下ゴールデン・グローブ賞にもノミネートされたが叶わなかったが、デンチが全米映画俳優組合賞助演女優賞を受賞した。2001年、晩年アルツハイマーになった小説家アイリス・マードックのビオピック、リチャード・エアー『アイリス』で主役を演じ、BAFTA主演女優賞を受賞した。スティーヴン・フリアーズ『ヘンダーソン夫人の贈り物』05)で主役を演じた。本作はイギリス初のヌード・レビューを興行した富豪の未亡人ローラ・ヘンダーソン夫人の実話に基づいて映画化された。2006年リチャード・エアーの『あるスキャンダルの覚え書き』06)、この2作でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされている。

 

     

            (『ヘンダーソン夫人の贈り物』のポスター)

 

★しかし、一番デンチを有名にしたのは、なんといっても「007シリーズ」の女性初となる3代目「M」役でしょうか。1995年のマーティン・キャンベルの007ゴールデンアイ』から2012年のサム・メンデス007スカイフォール』まで17年間、7作に出演して大いに知名度を上げた。

 

     

  (6代目ボンド役ダニエル・クレイグと、最後のM役となる『007 スカイフォール』から)

 

20122月、加齢黄斑変性症による視力低下で台本が読みづらくなっていることを公表した。しかし2013年にはスティーヴン・フリアーズのイギリス映画『あなたを抱きしめる日まで』に出演、アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞、BAFTAの主演女優賞にノミネートされ、女性映画批評家協会賞他を受賞した。本作は第70回ベネチア映画祭に正式出品され、クィア獅子賞、脚本賞を受賞したこともあって吹替版でテレビ放映された。さらに2017にはVictoria & Abdulで再びヴィクトリア女王に扮している。同年ケネス・ブラナー『オリエント急行殺人事件』にもロシアのドラゴミロフ公爵夫人役で相変わらず現役続行中です。

   

         

    (息子探しの旅を共にするジャーナリスト役のスティーヴ・クーガンとデンチ。

     『あなたを抱きしめる日まで』から)

 

授賞式は925日、サンセバスチャン映画祭には初めての参加ということです。デンチが主役を演じる、サー・トレバー・ナンの新作スリラーRed Joanの上映がある。ジェニー・ルーニーのベストセラー「Red Joan」(2013年刊)の同名小説の映画化。実在したメリタ・ノーウッドの人生に触発されて書かれた小説。舞台は1930年代半ば、ケンブリッジ大学の学生ジョーン・スタンレーはソビエトと共産党の信奉者だった。間もなくイギリスの公務員に雇われるが、やがてKGBにスパイとしてリクルートされる。半世紀以上に渡ってKGBに仕え、英国をスパイし続けていたことを晩年になって暴露する。若いころをソフィー・クックソン、現在をデンチが演じる。本作はトロント映画祭2018「ガラ」部門で97日に上映される予定。順次スペイン、ロシア、イギリス、オランダで公開される。

      

     

    

                       (ジュディ・デンチ、「Red Joan」から)

 

★ナン監督とは初顔合わせでしょうか。ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーやブロードウェイの仕事が中心だから、映画は4作しか撮っていない。1986年の第2作『レディ・ジェーン/愛と運命のふたり』(未公開、ビデオ発売)と、公開された1996年の第3作目『十二夜』が、SSIFFのコンペティション部門に正式出品された。第4作目になる本作で22年ぶりにフィルムに戻ってきたから、復帰を願っていたファンは待ち遠しいことでしょう。