「金のメダル」2018はディエゴ・ガラン*映画批評家、監督2018年06月04日 17:15

    「賞賛に値するきキャリアとスペイン映画に対するたゆまぬ支え」を讃えて

 

★去る426日、スペイン映画アカデミーは「賞賛に値するきキャリアとスペイン映画に対するたゆまぬ支え」を讃えて、2018年の金のメダル」受賞者にディエゴ・ガランDiego Galán Fernándezを選んだ。2010年には同アカデミーによって「アルフォンソ・サンチェス賞」を受賞している。ベルリナーレ、マンハイム、ウエスカ、カンヌ(カメラドール)など、各映画祭の審査員も務めている。 

     

         (2010年「アルフォンソ・サンチェス賞」の授賞式にて)

 

1946年モロッコのタンジール生れ、映画批評家、ジャーナリスト、映画監督、TVドキュメンタリー、サンセバスチャン映画祭のディレクターを2度にわたって(19868919952000)手掛けている。二十歳前に故郷を後にしてマドリードに移り住む。最初から映画を目指していたわけではなく、数社の会計の仕事のかたわらマドリードの演劇グループの俳優としての仕事も両立させていた。しかし映画に出会い、たちまちその魅力の虜となって、映画一筋の人生を歩み始めることになった。

 

      

        (映画批評家、監督、ジャーナリストのディエゴ・ガラン)

 

1966年サン・アントン校の旧友たちとシネ・クラブJAASAJuventudes de Antiguos Alumnos del Colegio San Antn)を立ち上げる。1967年から廃刊になる1971年まで「Nuestro Cine」誌に映画批評を執筆する。その後、スペインでも権威のある週刊誌「Triunfo」(1981年閉刊)、1980年から「エル・パイス」紙での映画批評を執筆していたが、5年後にサンセバスチャン映画祭の顧問、続いてディレクトール就任を機会にエル・パイスの執筆を辞退する。

 

1971年、ペドロ・オレアが監督したTVプログラム「10 melodías vascas」や「Tan lejos, tan cerca」、ホセフィーナ・モリーナの「Durero, la búsqueda de la identidad」などで助監督の経験を積んだ後、1972年「Apunte sobre Ana」で短編デビュー、同年ホセ・ルイス・ボラウ2000年、金のメダル受賞)のプロデュースで「El mundo dentro de tres días」、1976カルメロ・ベルナオラ2002年、金のメダル受賞)の音楽で「Tu amiga Marilyn」、1978アンパロ・ソレル・レアル主演で「Una tarde con Dorita Amor」など、70年代は短編を発表している。しかし短編作家が自分の目的ではないと決心、1978TVシリーズ「Memorias del cine español」(ドキュメンタリー14話)の脚本、監督を手掛けている。

 

★代表的なTVシリーズでは、1992年から翌年にかけて放映された「Queridos cómicos」(ドキュメンタリー22話)、2011年の「Una historia de Zinemaldia」(ドキュメンタリー15話)がある。2005年「Pablo G. del Amo」(ドキュメンタリー)は、サンセバスチャン映画祭のサバルテギ部門で上映された後、一般公開された。パナマで開催された第1回イベロアメリカ・プラチナ賞2014で唯一スペインが受賞したドキュメンタリーCon la pata quebrada13)は、カンヌ映画祭2013に正式出品され、ゴヤ賞ノミネーション、トゥリア賞受賞作。スペイン映画に現れた女性像を総括している。続いて撮ったドキュメンタリーManda huevosは、反対に1930年代から2016年の現代までに登場した男性像を熟考したもの、サンセバスチャン映画祭2016のコンペティション外で上映された。

 

     

    (Con la pata quebrada」のポスターを背にしたディエゴ・ガラン

   

 

     

(第1回イベロアメリカ・プラチナ賞授賞式にて)

 

        

            (Con la pata quebrada」でカンヌ・クラシックの賞状を披露する)  

 

      

 (Manda huevos」の語り手カルメン・マチと、サンセバスチャン映画祭フォトコールにて)

 

代表的な著作書

1978年「18 españoles de posguerra」(フェルナンド・ララとの共著)

1984年「Fernando Fernán Gómez, ese señor tan pelirrojo」(フェルナンド・F=ゴメスについて)

1990年「Diez palabras sobre Berlanga」(ガルシア・ベルランガについて)

1992年「15 mensajes a Fernando Rey」(フェルナンド・レイについて)

2002年「50 años de rodaje」(サンセバスチャン映画祭50年の歩み)

2006年「Pilar Miró, nadie me enseñó a vivir」(ピラール・ミロについて)

 

金のメダル」は1991年から始まったスペインのシネアストに贈られる栄誉賞です。選考母体はスペイン映画アカデミー、対象者は監督、俳優、脚本家、製作者、音楽家、撮影監督などすべて、毎年1人(たまに2人)が4月中にアナウンスされ、授賞式は11月です。第1回の受賞者は、ヨーロッパへ回帰したルイス・ブニュエル映画、『哀しみのトリスターナ』『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』、遺作となった『欲望のあいまいな対象』でお馴染みのフェルナンド・レイ、今作の共演者アンヘラ・モリーナも、2013年度の受賞者です。ほかアナ・ベレン95)、サラ・モンティエル97)、コンチャ・ベラスコ03)、ジェラルディン・チャップリン06)、マリベル・ベルドゥ08)、カルメン・マウラ09)、ロサ・マリア・サルダ10)など受賞者に女優が多かった。

 

★最近の受賞者

2014年 アントン・ガルシア・アブリル(作曲家)

2015年 アイタナ・サンチェス=ヒホン(女優)&フアン・ディエゴ(俳優)

    コチラ201508011120

2016年 サンティアゴ・セグラ(俳優・監督)、コチラ201606111123

2017年 ホセ・サルセド(映画編集者)

2018年 ディエゴ・ガラン・フェルナンデス