第5回フェロス賞2018*結果発表2018年01月23日 18:14

          カルラ・シモンの『夏、1993』に軍配が上がりました

  

      

122日の夕べ、マドリードのComplejo Magarinosでフェロス賞の授賞式が開催されました。総合司会者はコメディアン俳優のフリアン・ロペス、今年は女性たちのガラとして記憶されるだろうということです。というのはトロフィーはすべて女性によって手渡されたのでした。そういうわけで女性の出席者が目立った授賞式でした。だからカルラ・シモンが受賞したわけではないでしょう。

 

         

             (コメディアン俳優のフリアン・ロペス)

 

先行したフォルケ賞では無冠だった『夏、1993が作品賞(ドラマ部門)、カルラ・シモンの監督賞、脚本賞、更にダビ・ベルダゲルが助演男優賞 と、4賞を獲得しました。ハビエル・カルボ&ハビエル・アンブロッシの『ホーリー・キャンプ!』がコメディ部門の作品賞、ガラ不参加が報道されていたはずなのに二人で仲良く赤絨毯に現れたようです。主演男優・女優賞はフォルケ賞と同じ顔触れになりました。ハビエル・グティエレスはTVシリーズの「Vergüenzaでも主演男優賞を受賞、ゴヤに雪崩れ込みそうです。アイトル・アレギ&ジョン・ガラーニョHandiaは、オリジナル音楽賞(パスカル・ゲーニュ)とポスター賞(イニャキ・ビリュエンダス)の2冠、大賞には及びませんでした。

 

       

          (喜びのスピーチをする監督賞受賞のカルラ・シモン)

 

★ガラ会場に唯一人リラックスして現れたのが、フェロス栄誉賞ベロニカ・フォルケ1955121日、マドリード、62歳)でした。幾つになっても年を取らないと思っていましたが、やはり年相応の顔になりましたでしょうか。父親はホセ・マリア・フォルケ、それで毎回フォルケ賞には姿を見せます。ゴヤ賞主演女優賞を2個、助演を2個、残るは栄誉賞だけでしょう。2005年マラガ映画祭のマラガ賞、2014年にはバジャドリード映画祭の麦の穂栄誉賞を受賞しています。

  

  

           (栄誉賞のトロフィーを手にしたベロニカ・フォルケ)

 

受賞結果は以下の通り:ノミネーション・リスト(初出に監督名、ゴチック体は紹介作品)

作品賞(ドラマ部門)

El autor (監督マヌエル・マルティン・クエンカ)

Handia (同アイトル・アレギ&ジョン・ガラーニョ)

No sé decir adiós (同リノ・エスカランテ)

Verano 1993」『夏、1993 (同カルラ・シモン)

Verónica 『エクリプス』(同パコ・プラサ)

 

 

 (『夏、1993のスタッフと出演者、中央はトロフィー2個を手にしたライア・アルティガス、

   左側はシモン監督、右側は助演男優賞のトロフィーを手にしたダビ・ベルダゲル

    

作品賞(コメディ部門)

Abracadabra (監督パブロ・ベルヘル)

La llamada」『ホーリー・キャンプ!』(同ハビエル・カルボ&ハビエル・アンブロッシ)

Fe de Etarras」『となりのテロリスト』 (同ボルハ・コベアガ)

Muchos hijos, un mono y un castilloドキュメンタリー (同グスタボ・サルメロン)

Selfie (同ビクトル・ガルシア・レオン)

Tierra firme (同カルロス・マルケス=マルセ)

 

     

        (二人のハビことハビエル・カルボハビエル・アンブロッシ

 

     

             (両監督ほかのスタッフと出演者たち)

 

監督賞

アイトル・アレギ&ジョン・ガラーニョ Handia

イサベル・コイシェ La librería

マヌエル・マルティン・クエンカ El autor

カルラ・シモン Verano 1993

パコ・プラサ Verónica

 

主演男優賞

サンティアゴ・アルベル Selfie

ハビエル・カマラ Fe de Etarras

アンドレス・ヘルトルディス Morir」(監督フェルナンド・フランコ)

ハビエル・グティエレス El autor

アントニオ・デ・ラ・トーレ Abracadabra

     

    

主演女優賞

マリアン・アルバレス Morir

ライア・アルティガス Verano 1993

サンドラ・エスカセナ Verónica

ヌリア・プリムス Incierta groria」(監督コラル・クルス&ジョアン・サレス)

ナタリエ・ポサ No sé decir adiós

マリベル・ベルドゥ Abracadabra

  

  

助演男優賞

フアン・ディエゴ No sé decir adiós

ビル・ナイ La librería

ハイメ・オルドーニェスEl bar」『クローズド・バル』(アレックス・デ・ラ・イグレシア) 

オリオル・プラ Incierta groria

ダビ・ベルダゲル Verano 1993

アントニオ・デ・ラ・トーレ El autor

 

助演女優賞

アデルファ・カルボ El autor

アンナ・カスティーリョ La llamada」『ホーリー・キャンプ!』

ベレン・クエスタ La llamada

ロラ・ドゥエニャス No sé decir adiós

グラシア・オラヨ La llamada

   

脚本賞

アレハンドロ・エルナンデス&マヌエル・マルティン・クエンカ El autor

ディエゴ・サン・ホセ Fe de Etarras

パブロ・レモン&リノ・エスカランテ No sé decir adiós

カルラ・シモン Verano 1993

フェルナンド・ナバロ&パコ・プラサ Verónica

      

  

オリジナル音楽賞

ホセ・ルイス・ペラレス El autor

カルロス・リエラ&ジョアン・バレント El bar」『クローズド・バル』

パスカル・ゲーニュ Handia

アルフォンソ・デ・ビラリョンガ La librería

エウヘニオ・ミラ Verónica

  

     

    

特別フェロス賞

La vida y nada más」アントニオ・メンデス

    

   

予告編賞

フェルナンド・バリャリノEl autor

ラファ・マルティネスEl bar」『クローズド・バル』

アルベルト・グティエレスLa llamada

ラファ・マルティネスPieles」『あなたに触らせて』 (監督エドゥアルド・カサノバ)

ミゲル・A・トゥルドゥTruduVerano 1993」『夏、1993

ラファ・マルティネス「Verónica

   

    

予告編を専門に手がけていラファ・マルティネスは、2017年にパコ・レオンの『KIKI~愛のトライ&エラー』で受賞しているせいか、今回は3作とも逃しました

 

ポスター賞

セルフィオ・ゴンサレス・クンKuhnEl bar」『クローズド・バル』 

イニャキ・ビリュエンダスHandia 

Cartel teaserLa llamada」『ホーリー・キャンプ!』 

セルフィオ・ゴンサレス・クンKuhnPieles」『あなたに触らせて』

オルガ・オルティスVerano 1993」『夏、1993

    

   

ドキュメンタリー賞

La Chanaが受賞しました(製作:Noon Film S.L. 製作国:スペイン・アイスランド・米国、監督Lucija Stojevic2016年、83分)。アントニア・サンティアゴ・アマドールLa Chanaの伝記映画。1946年バルセロナ生れのロマのフラメンコダンサー、196115歳でデビューした。フェロス賞はゴヤ賞の前哨戦の意味合いがありますが、そちらにはノミネーションされておりません。

  

    

     

作品賞(コメディ部門)とダブル・ノミネーションだったグスタボ・サルメロンMuchos hijos, un mono y un castillo残念でした。

 

 

★ノミネーション・リストをアップしなかったTVシリーズの受賞は以下の通りです。

シリーズ・ドラマ部門

La zonaTemporada 1

 

シリーズ・コメディ部門

VergüenzaTemporada 1

  

                        

 

主演男優賞

ハビエル・グティエレス VergüenzaTemporada 1

主演女優賞

◎マレーナ・アルテリオ VergüenzaTemporada 1

 

     

       (喜びを分かち合うハビエル・グティエレスとマレーナ・アルテリオ)

 

助演男優賞

ミゲル・レリャン VergüenzaTemporada 1

 

助演女優賞

◎エンマ・スアレス 「La zonaTemporada 1

 

 (貫禄の受賞、エンマ・スアレス)

    

★赤絨毯を踏んだシネアストが着用した衣装の品定めでは、ベスト・ドレッサーはパウリナ・エチェバリアでした。薄いピンク色で羽根飾りがついた左右非対称のドレス、ホルヘ・アクーニャのデザイン。ベスト・ドレッサーに選ばれた、左からマカレナ・ガルシア、パウラ・エチェバリア、マリベル・ベルドゥ、アナ・ポルボロサ、ベレン・ルエダ、ウルスラ・コルベロの6人。各デザイナーはスペイン人のようです。

 

  

 

最も話題を提供したのが写真の5人でした。フェロス賞の立ち位置は、米国アカデミー賞の前哨戦といわれるゴールデングローブ賞、今年は3人の例外を除いて全員黒ずくめでした。そこで負けじとばかり黒のスーツにしたのか、それでは味気ないと考えたのか、マラガのアーティストのエルネスト・アルティリョにペインティングしてもらった。賛同したのか皮肉ったのか、どちらでしょうか。

 

       

★左からバルバラ・サンタクルス、Brays Efe、ホルヘ・Suquet、ジェマ・ガラン、アルバ・フローレス。Brays Efe2017TVシリーズ(コメディ部門)で、赤毛で太っちょの冴えない男を演じて主演男優賞を受賞した俳優。こんな強面とは知りませんでした。