2017年のスペイン映画は過去5年間の最低を記録2017年12月31日 17:12

           映画業界は、最低でも落ち込んでいません!

 

2017年の「スペイン映画は、過去5年間の最低を記録」と嬉しくない数字が発表になりました(1216日)。年の瀬が迫るとこういう総括的な記事が増えてくる。2017年はOcho apellidos vascos2014年、5600万ユーロ)や昨年のフアン・アントニオ・バヨナの『怪物はささやく』(国内374万ドル、海外4357万ドル、トータル4730万ドル)のようなビッグネームのヒット作がなかったから、ある程度予想されたことでした。それでも200万ユーロ以上を売り上げた映画が13作もあったというから、観客の好みの分散化が起きているのかもしれません。1217日調べで9560万ユーロ、まだ大晦日までに2週間あるから1億ユーロに近づけるかもしれない。

    

     

     (アレックス・デ・ラ・イグレシアの「Perfectos desconocidos」から)

 

1年でも暑い夏が終わり、映画館に足を運ぶようになる書き入れ時の9月から10月にかけてが振るわなかった。カタルーニャ独立問題を抱えたスペイン第二の都市バルセロナが名指しで戦犯になっている。というのは新人二人のハビ(カルボ&アンブロッシ)のミュージカル『ホーリー・キャンプ!』の公開と独立「Yes No」選挙が重なり、市民は映画どころではなかったからだそうです。しかし1110日にイサベル・コイシェのLa libreria121日にアレックス・デ・ラ・イグレシアの新作Perfectos desconocidosが公開されて好転の兆しが見えてきた。ゴヤ賞ドキュメンタリー賞にノミネートされているグスタボ・サルメロンのMuchos hijos, un mono y un castilloも気を吐いているようです。サルメロン監督の母親が主人公、サルメロン一家はかなりユニークな家族のようで、これは授賞式までにアップしたい。多分受賞する確率が高い。

 

     

    (ハビエル・カルボとハビエル・アンブロッシ、サンセバスチャン映画祭2017

 

    

      (Muchos hijos, un mono y un castillo」の母親フリア・サルメロン

 

★ゴヤ賞のアニメーション映画はアップしませんでしたが、有力候補というか受賞確実と言われているのが、エンリケ・ガトとダビ・アロンソのTadeo Jones 2: El secreto del rey Midas、今年の出世頭第1位の1790万€とほぼ5分の1を売り上げている。第2位がゴヤ賞ノミネーション0のアレックス・デ・ラ・イグレシアのPerfectos desconocidos1110万€、第3位が同じく0のカルロス・テロンTherónのコメディEs por tu bien960万€、第4位セルヒオ・G・サンチェスのデビュー作El secreto de Marrowbone720万€・・・と続き、彼は新人監督賞にノミネートされています。大体上位10本まではゴヤ賞と縁が薄く、ましてや作品賞受賞は稀れ、昨年の『怪物はささやく』はバヨナが監督賞こそ受賞しましたが、作品賞はラウル・アレバロのデビュー作『物静かな男の復讐』でした。

 

       

      (アニメーションTadeo Jones 2: El secreto del rey Midas」から

 

     

   (ホセ・コロナド、ハビエル・カマラ、ロベルト・アラモ、Es por tu bien」から

 

★海外というかハリウッド映画を含む全公開作品のトップは、ディズニー不朽の名作をビル・コンドンが実写化した『美女と野獣』の2200万ユーロでした。エマ・ワトソンは頑張りましたが、130分は付添いの大人には長すぎました。ゴヤ賞にノミネーションされた作品のうち、Apache Filmsが製作を手掛けた、パコ・プラサのVerónica(売上353万€)、ビクトル・ガルシア・レオンのコメディSelfie(製作資金1万€!)、『ホーリー・キャンプ!』(売上270万€)、アグスティン・ディアス・ヤネスのOro(製作資金800万€)など、まだ正確な数字が出ていないものを含めて成果が表れている。大当たりしなくても小額当選金が積み重なれば、宝くじのように悪くないということらしい。

 

     

  (新人男優賞ノミネート自撮りするサンティアゴ・アルベル、Selfie」から) 

 

★来年2018年の目玉は、『プリズン211』や『エル・ニーニョ』の監督ダニエル・モンソンがYucatánを発表する。他に『ゴースト・スクール』や『SPY TIME-スパイ・タイム』でお馴染みのハビエル・ルイス・カルデラのSuperlópezも目玉のようです。「映画は映画館で」という映画鑑賞の形態も変化しつつあり、みんなが同一作品を見る時代ではなくなった。