第4回イベロアメリカ・フェニックス賞2017*結果発表 ― 2017年12月09日 14:24
最優秀作品賞はセバスティアン・レリオの「Una mujer fantástica」
★昨年はパブロ・ララインの『ネルーダ 大いなる愛の逃亡者』が作品賞以下多数のフェニックスのタマゴを独占しましたが、今年もセバスティアン・レリオの「Una mujer fantástica」が作品賞を受賞、他にセバスティアン・レリオが監督賞、主演のダニエラ・ベガが女優賞と連続でチリ映画が大賞を制しました(12月6日発表)。本作は『ナチュラルウーマン』の邦題で2018年2月公開が決定しています。政治的にも経済的にも各国問題を抱えていますから、単なるフィエスタに終わらせず、この映画賞を機にイベロアメリカ諸国が一堂に会して映画の未来を議論する場にしようと模索しているようでした。受賞作品並びに受賞者は以下の通り、作品賞のみノミネート作品を列挙しました。
*第3回イベロアメリカ・フェニックス賞の記事は、コチラ⇒2016年12月15日
(女性に性転換したマリナ・ビダルを演じたダニエラ・ベガ、映画から)
*映画部門*
◎作品賞(このカテゴリーのみ7作品ノミネーション)
Viejo calavera ボリビア=カタール、2016、監督キロ・ルッソ
*本作の内容・監督紹介記事は、コチラ⇒2016年9月5日
La región salvaje メキシコ=独=仏=デンマーク、2016、監督アマ・エスカランテ
*本作の内容・監督紹介記事は、コチラ⇒2016年9月17日
Verano 1993 『夏、1993』スペイン、2017、監督カルラ・シモン
*本作の主な内容・監督紹介記事は、コチラ⇒2017年2月22日
◎Una mujer fantástica チリ=スペイン=米国、2017、監督セバスティアン・レリオ
*本作の主な内容・監督紹介記事は、コチラ⇒2017年1月26日
(左橋がプレゼンターのディエゴ・ルナ、トロフィーを手にしているのがプロデューサーの
フアン・デ・ディオス・ラライン、右端がヒロインのダニエラ・ベガ)
El ciudadano ilustre 『笑う故郷』アルゼンチン=西、2016、
監督ガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン
*本作の主な内容・監督紹介記事は、コチラ⇒2016年10月13日
O Ornitologo ブラジル=ポルトガル=フランス、2016、監督ジョアン・ペドロ・ロドリゲス
A fábrica de nada ポルトガル、2017、監督ペドロ・ピニュ
*本作の内容・監督紹介記事は、コチラ⇒2017年11月15日
◎監督賞
セバスティアン・レリオ 「Una mujer fantastica」
◎男優賞
オスカル・マルティネス 『笑う故郷』
◎女優賞
ダニエラ・ベガ 「Una mujer fantastica」
*家族の理解もあって自らも10代のころから徐々に性転換していったというダニエラ・ベガ、これからが役者としての正念場を迎えねばならない。
(フェニックスのタマゴを手に喜びのダニエラ)
◎脚本賞
カルラ・シモン 『夏、1993』
◎オリジナル音楽賞
キンカス・モレイラ「La libertad del diablo」 メキシコ、2017、監督エベラルド・ゴンサレス
◎編集賞
クラウディア・オリヴェイラ、エドガー・フェルドマン、ルイサ・Homem 「A fábrica de nada」
◎美術デザイン賞
エウヘニオ・カバリェロ 『怪物はささやく』 監督フアン・アントニオ・バヨナ(米、西)
◎衣装賞
Ro Nascimento 「Joaquim」 監督マルセロ・ゴメス(ブラジル、ポルトガル、スペイン)
◎録音賞
Marc Orts(マーク・オーツ)、オリオル・タラゴ、ピーター・グロソップ 『怪物はささやく』
◎長編ドキュメンタリー賞
La libertad del diablo 監督エベラルド・ゴンサレス
*本作の内容・監督紹介記事は、コチラ⇒2017年2月22日
◎ドキュメンタリー撮影賞
マリア・セッコ 「La libertad del diablo」
(ディエゴ・ケマダ=ディエス『金の鳥籠』でも注目されたウルグアイのマリア・セッコ)
★他にTVシリーズ部門としてドラマ・コメディ・俳優アンサンブルの3カテゴリーがあり、ネットフリックスのオリジナル作品『ナルコス』(クリス・ブランカト、カルロ・ベルナルド、他、コロンビア=米)がドラマ部門と俳優アンサンブルで2賞、「Club de Cuervos」(ガス・アラスラキ、ミケ・ラム、メキシコ)がコメディ部門を受賞、ネットフリックスの存在の大きさを見せつけた夕べとなった。メキシコは合計4賞したこともあって、お茶の間も盛り上がったようでした。
(タマゴを手にした『ナルコス』アンドレス・バイス監督、右側パウリナ・ガルシア)
(喜びに沸いた「Club de Cuervos」のスタッフとキャスト一同)
★その他、特別賞として、キャリア賞(ノルマ・アレアンドロ)、批評家賞(アイザック・レオン・フリアス)、Exhibidoresという 展示者賞にフアン・アントニオ・バヨナ(欠席)の『怪物はささやく』が受賞した。
(アルゼンチンの『オフィシャル・ストーリー』の主演女優ノルマ・アレアンドロ)
★エミリアノ・トレスのデビュー作「El invierno」は、サンセバスチャン映画祭2016の審査員特別賞受賞作品。時間切れで作品紹介はできませんでしたが、サンセバスチャンでもラミロ・シビタは撮影賞を受賞しています。
★ポルトガル映画ジョアン・ペドロ・ロドリゲスの「O Ornitologo」と、ブラジル映画マルセロ・ゴメスの「Joaquim」は当ブログ未紹介作品です。前者はロッテルダム映画祭2016の監督賞受賞を皮切りに国際映画祭の受賞歴多数、サンセバスチャン映画祭2016「サバルテギ」部門でも上映されました。後者はベルリン映画祭2017正式出品です(主要言語がポルトガル語)。
★イベロアメリカ・フェニックス映画賞は参加国が23ヵ国と多いせいか公開時期が各国異なるので、どうしても2016年と2017年が混在が避けられません。大分以前の作品もノミネーションされている印象を受けます。 (クラウディア・オリヴェイラ)
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