ニューディレクターズ部門13作*サンセバスチャン映画祭2017 ②2017年08月23日 11:45

                スペイン語映画はドキュメンタリーを含む4作品

 

 

    

★スペインでも観光地バルセロナと近郊の都市を標的にしたテロがあり犠牲者が出ました。映画も政治と密接な関係がありますから、今年のサンセバスチャン映画祭が案じられます。ラインナップ13作品のうちアジアからも台湾、中国、韓国から各1作品、フィリピンからは2作品も選ばれてい。スペイン語映画からは、スペイン、コロンビア=アルゼンチン、チリ=スペイン=アルゼンチン、アルゼンチンの4作品です。各作品の内容並びに監督紹介は別途にアップする予定です。

 

★スペイン語映画の4作は、以下の通り:

Alberto García-Alix. La línea de sombra スペイン、ドキュメンタリー、

  監督ニコラス・コンバロ

解説:スペインの写真家アルベルト・ガルシア=アリックス(1956年)の足跡と作品を描いたドキュメンタリー。ニコラス・コンバロは、1979年ラ・コルーニャ生れのアーティスト。

 

 

 

Matar a Jesús コロンビア=アルゼンチン、フィクション、監督ラウラ・モラ

解説・プロット22歳の大学生パウラは大好きだった父親を殺害されてしまった。父親はメデジンの公立大学で政治科学の教授をしていた。離れたところからだが、犯人が猛スピードで走り去るモーターバイクが見えたが、パウラにはどうしてこんなことが起きてしまったのか理解できなかった。事件の2ヵ月後のクリスマスに、父親を殺害した若いヘススと偶然通りですれ違った・・・

ラウラ・モラは、メデジン生れの36歳、監督、脚本家、製作者。2006Brotherhood で短編 デビュー、TVシリーズ『パブロ・エスコバル 悪魔に守られた男』(20122話)を監督する。本作は2002年に父親を殺害された実体験がもとになっている。サンセバスチャン映画祭の総指揮者ホセ・ルイス・レボルディノスが、試写後2時間で即決したという力作。

 

  

 

Princesita チリ=スペイン=アルゼンチン、フィクション、監督マリアリー・リバス

解説・プロット12歳になるタマラは、地の果てチリ南部で暮らしている。タマラはあるカルト的集団のカリスマ的指導者ミゲルを崇拝している。しかし夏、彼女が初潮を迎えたらミゲルとのあいだに聖なる子供をもつというミッションを与えられる。タマラは自分が望んでいたものとはかけ離れた現実に直面していることに気づく。彼女の不服従は少女から女性に成長するなかで暴力に向きを変え、思いもかけないかたちで、自由を獲得するだろう。

マリアリー・リバスの長編第2作、サンセバスチャン映画祭2015Cine En Construcción」参加作品。チリ南部で実際に起きた事件にインスピレーションをうけて製作された。

 

   

 

Tigre アルゼンチン、フィクション

  監督シルビナ・シュニッセルSchnicer・シュリーマンウリセス・ポラ・グアルディオラ

解説・プロット65歳になったリナは、長いあいだ顧みなかった昔の家に、過去を取り戻し、家を建て直し、息子ファクンドとの関係も修復したいと帰ってきた。ここデルタ・デル・ティグレの奥深くにある島の家で息子を育て、人生の多くの時間を過ごしたのだ。息子もデルタを出てしまってずっと会っていない。やがて母と息子は再会するが、すべてが変わってしまったことに気づくだろう。デルタの時はゆっくり流れ、全ての人を包み込みながら混乱させる。スクリーンにさまざまな風景、活発な島の子供たちが現れるのを目にするだろう。

シルビナ・シュニッセル・シュリーマンはブエノスアイレス生れ、ウリセス・ポラ・グアルディオラはカタルーニャ出身だが現在はブエノスアイレスに在住している。共に初監督作品。デルタで4週間撮影したそうだが、次々に現れるデルタの自然も主人公の一人とか。過去にヴィゴ・モーテンセンが一卵性双生児の兄弟に扮したアナ・ピターバーグの『偽りの人生』(12)の舞台も、ここデルタ・デル・ティグレだった。