マラガ賞にレオナルド・スバラグリア*マラガ映画祭2017 ― 2017年03月13日 09:30
一番の大賞であるマラガ賞に『キリング・ファミリー』のスバラグリア
★コンペティション作品紹介前にマラガ映画祭の主な特別賞を簡単に列挙しておきます。スペイン製作とイベロアメリカ諸国製作の垣根が取り払われたこともあるのか、受賞者にアルゼンチンとペルー出身者が選ばれました。二人とも日本での認知度はあるほうだと思います。まずはマラガ賞からご紹介。
*各賞の性格については、コチラ⇒2014年4月7日
◎マラガ賞 レオナルド・スバラグリア(1970年ブエノスアイレス生れ、俳優)
★特別賞のうち一番の大賞が「マラガ賞」、最近の受賞者は2014年マリベル・ベルドゥ、2015年アントニオ・デ・ラ・トーレ、2016年パス・ベガとスペイン勢が受賞しています。最近はスペインを本拠地にアルゼンチンとスペインを行ったり来たりして活躍しているが、アルゼンチン出身のレオナルド・スバラグリアに贈られるのは珍しい。国内外の受賞歴を誇るリカルド・ダリンでさえもらっていないが、スペイン映画出演ではスバラグリアのほうが多い。最近アドリアン・カエタノの『キリング・ファミリー 殺し合う一家』でキャリア紹介をしておりますが、マラガ賞受賞ですから少しばかり補足して再構成します。16歳でデビュー以来トータルで50作を超えます。節目になった作品、受賞した話題作に絞ってのご紹介になります。
(喜びのレオナルド・スバラグリア)
*キャリア&フィルモグラフィー*
★16歳の1986年に『ナイト・オブ・ペンシルズ』(監督エクトル・オリヴェラ)で長編映画デビューを果たす。本作では軍事独裁政権に抵抗する学生の一人に扮した。その後7年間はテレドラ出演が続き、1993年マルセロ・ピニェイロの「Tango feroz: la leyenda de Tanguito」(スペイン合作)に脇役で出演、その演技が監督の目に止まり、2年後の「Caballos salvajes」(ウエルバ映画祭主演男優賞)や「Cenizas del paraiso」(97)出演につながった。当時はピニェイロの若手お気に入り俳優だった。1998年スペインに渡り活躍の場をスペインにも広げる。テレドラ出演と並行して2000年、ふたたびピニェイロの『炎のレクイエム』にエドゥアルド・ノリエガやパブロ・エチャリと出演、「銀のコンドル賞」にノミネートされるなど大成功を収めた。実話に基づいて書かれた小説の映画化、アルゼンチンでは映画より小説のほうが面白いと評されたが、映画も充分堪能できたのではないか。
(札束を燃やすシーンのノリエガとスバラグリア、『炎のレクイエム』から)
★スペイン映画では、2001年フアン・カルロス・フレスナディジョの『10億分の1の男』がヒット、一気に国際舞台に躍り上がった。翌年のゴヤ賞新人男優賞を受賞、監督も新人監督賞を受賞した。日本でも公開され話題を呼んだサスペンス。しばらくスペイン映画出演が多くなる。例えば2002年ヘラルド・ベラの「Deseo」ではセシリア・ロスやレオノル・ワトリングと共演、2003年にはマリア・リポルの『ユートピア』やビセンテ・アランダの『カルメン』など。その後アルゼンチンに戻り、2004年ルイス・プエンソの『娼婦と鯨』(スペイン合作)にアイタナ・サンチェス=ヒホンと、次いで最後のガローテ刑に処せられた実在のサルバドール・プッチ・アンティックにダニエル・ブリュールを迎えて撮った実話、マヌエル・ウエルガの『サルバドールの朝』(06)では看守役になり、ゴヤ賞助演男優賞にノミネートされた。2007年ゴンサロ・ロペス=ガジェゴの「El rey de la montaña」、2009年ヘラルド・エレロの「El corredor nocturno」、同年マルセロ・ピニェイロのサスペンス群集劇『木曜日の未亡人』では、銀のコンドル賞とスール賞にノミネートされた。
(危険なゲームを強要された男トマスを演じた『10億分の1の男』から)
★2010年以降もアルゼンチンとスペインで活躍、2012年ロドリゴ・コルテスのハリウッド・デビュー作スリラー『レッド・ライト』(米国=西)にロバート・デ・ニーロやシガニー・ウィバーなどの大物俳優と共演、ハリウッド映画に出演したアルゼンチン俳優の一人となった。最近オスカー賞外国語映画賞2015ノミネーションのダミアン・ジフロンの『人生スイッチ』(第3話「エンスト」)他、アナイ・ベルネリのロマンティック・ドラマ「Aire libre」や、マラガ映画祭2017正式出品の『キリング・ファミリー 殺し合う一家』、同正式出品のマルティン・オダラの「Nieve negra」にも出演、ここではリカルド・ダリンと渡り合う。既にアルゼンチンでは公開されており、面白い、いや駄作と観客の評価は真っ二つに分かれている。コメディからサスペンス、シリアスドラマ、イケメンながら汚れ役も厭わない成長株。
(「Nieve negra」のポスターをバックにしたスバラグリア、右側がダリン)
*『キリング・ファミリー』の紹介記事は、コチラ⇒2017年02月20日
*『人生スイッチ』の紹介記事は、コチラ⇒2015年07月29日
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