『名誉市民』がバジャドリード映画祭「銀の穂」賞を受賞2016年11月15日 11:18

       グランプリ「金の穂」賞はパオロ・ヴィルツィの“La pazza gioia

 

  

          (小麦の穂をあしらった「金の穂」賞のトロフィー)

 

1029日に閉幕したバジャドリード映画祭のグランプリ「金の穂 Espigas de Oro」賞は、パオロ・ヴィルツィの“La pazza gioia”(“Like Crazy”、仏伊合作)でした。この映画祭は、スペインではバジャドリード映画祭より“Semana Internacional de Cine de Valladolid”の頭文字Seminciで親しまれています。春開催のマラガ映画祭のようにスペイン語映画に特化しているわけではなく、第1回が1956年と歴史も古く、今年で61回を数える国際映画祭、バジャドリード市が後援しています。ただどちらかというとヨーロッパが中心の印象があるかもしれませんが、昨年は河瀬直美監督が『あん』で監督賞を受賞しています。今年は『名誉市民』が「銀の穂」賞を受賞したのでアップしました。

 

★東京国際映画祭と同じ10月下旬の映画祭なので、受賞作はほぼどこかの映画祭の受賞作と重なることが多い。スペインではサンセバスチャン映画祭に次ぐ老舗の映画祭ですが、日本ではバルセロナ近郊シッチェスで開催される後発の「ファンタジック映画祭」のほうが有名です。今年の審査委員長は、チリの若手監督、脚本家にして製作者のマティアス・ビセ、スペインの女優、現在は監督にシフトしているシルビア・ムント、他フランス、インド、イタリア、メキシコの6人編成でした。マティアス・ビセは1979年生れの37歳、“La vida de los peces”がゴヤ賞2011イスパノアメリカ映画賞を受賞しています。

 

★「金の穂」賞受賞のパオロ・ヴィルツィLa pazza gioiaは、他に二人の主演女優、ヴァレリア・ブルーニ=テデスキミカエラ・ラマゾッティが女優賞を受賞しました。精神病院に入院している二人の女性の、不思議な絆で結ばれた、常軌を逸した悦楽が語られるようです。いずれ公開されると思います。本作はカンヌ映画祭と並行して開催される「監督週間」に出品された作品です。 

  

 

 

  (左から、ミカエラ・ラマゾッティ、ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ、監督)

 

★当ブログでご紹介したガストン・ドゥプラット&マリアノ・コーン『名誉市民』は、「銀の穂」賞脚本賞2賞、「金」には手が届きませんでしたが善戦しました。ベネチア映画祭で男優賞を手にしたオスカル・マルティネスは受賞ならず残念でした。

 

   

 

★カテゴリーは他の映画祭と同じです。「栄誉賞」ジェラルディン・チャップリンチェマ・プラドに与えられました。前者のご紹介は不要でしょうが、チェマ・プラドは、国際フィルム・アーカイヴ連盟のメンバー、スペインのフィルム・ライブラリー(Filmoteca Española)のディレクターを1989年より26年間務め、今年4月に引退、同時にスペイン映画の回復保存に尽力した全功績に対して「パノラマ賞」を受賞しています。スペイン映画界を陰で支えてきた裏方に「栄誉賞」が渡ったことを喜びたい。

 

   

      (栄誉賞を受賞したジェラルディン・チャップリンとチェマ・プラド)

  

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