パコ・レオンの第3作ロマンティック・コメディ”Kiki, el amor se hace”2016年06月05日 12:12

              41日封切り、早くも観客数100万人突破!

 

  

★今年期待できるスペイン映画としてアップしましたパコ・レオンKiki, el amor se haceが期待通りの快進撃、セックス絡みのコメディ大好きなスペイン人の心を掴みました。「数は多いが面白い映画は少ない」とスペイン人は文句を言うけれど、これはどこの国にも言えること、とにかく封切り8週間調べで観客数100万人の壁を突破した。やはり「クチコミ」効果のおかげ、5月末には1,012,597人、興行成績約592万ユーロは、一向に改善の萌しが見えない国庫にとっても歓迎すべきことです。しかし34日公開、アルゼンチン=西=仏合作の犯罪サスペンス、ダニエル・カルパルソロのCien años de perdón1,073,397人は超えられていない。カルパルソロは『インベーダー・ミッション』が公開されている監督。ルイス・トサール、ラウル・アレバロ、ホセ・コロナドなど、日本でもお馴染みになった演技派が出演しています。

Kiki, el amor se hace”の記事は、コチラ⇒2016224

Cien años de perdón”の記事は、コチラ⇒2016221

 

      

2014年の大ヒット作、「危機のスペイン映画界の救世主」とまで言われたエミリオ・マルティネス=ラサロのOcho apellidos vascosは、リピーターを含めてトータル約1000万人が見た。いわゆる映画祭向きのコメディではなかったので、中々海外での上映に至らなかったが2015年にはスペイン語圏諸国やその他でも公開された。批評家の評価は真っ二つに割れたが、その映画界への貢献度は無視できず、ゴヤ賞の新人男優・助演男優・助演女優の3賞を受賞した。「二匹目のドジョウ」を狙った続編カタルーニャ編Ocho apellidos catalanesも、2015年の興行成績ベストワンの450万人、ほかはすべて100万台、第4位のアメナバルの“Regression”は封切り1週目こそ上々のすべり出しだったが、142万と期待にそえなかった。これで2015年が如何に低調だったかが分かります。日本公開のニュースは未だでしょうか。

 

        一風変わったセクシュアル趣味の面々が織りなす合唱劇

 

パコ・レオンといっても日本での知名度はイマイチだが、スペインでは人気シリーズのテレドラ出演で、まず知らない人はいないと思います。1974年セビーリャ生れの俳優・監督・脚本家。日本ではホアキン・オリストレルの寓話『地中海式 人生のレシピ』(09)出演だけかもしれない。オーストラリア映画、ジョッシュ・ローソンThe Little Death14)が土台になっている。ローソン監督も俳優との二足の草鞋派、テレビの人気俳優ということも似通っている。プロットか変わった性的趣向をもつ5組のカップルが織りなすコメディ。このリメイク版というか別バージョンというわけで、レオン版も世間並みではないセックスの愛好家5組の夫婦10人と、そこへ絡んでくるオトコとオンナが入り乱れる。ノーマルとアブノーマルの境は、社会や時代により異なると思うが、ここでは一種のparafilia(語源はギリシャ語、性的倒錯?)に悩む人々が登場する。

 

★スペイン版のKiki, el amor se hace にはどんな夫婦が登場するかというと、1組目はレオン監督自身とアナ・Katzのカップルにベレン・クエスタが舞い込んでくる。2組目はゴヤ賞2016主演女優賞のナタリア・デ・モリーナ(『Living is Easy with Eyes Closed』)とアレックス・ガルシアのカップル(harpaxofilia)。3組目はカンデラ・ペーニャ(『時間切れの愛』『チル・アウト!』)とルイス・ベルメホ(『マジカル・ガール』)のカップル(dacrifilia)、4組目はルイス・カジェホ、とマリ・パス・サヤゴのカップル(somnofilia)、最後がダビ・モラとアレクサンドラ・ヒメネスのカップル(elifilia)、そこへフェルナンド・ソト、ベレン・ロペス、セルヒオ・トリゴ、ミゲル・エランなどと賑やかです。

 

   

  (記者会見に出席した面々、左からカンデラ・ペーニャ、マリ・パス・サヤゴ、ダビ・モラ、

    ベレン・クエスタ、監督、ナタリア・デ・モリーナ、アレックス・ガルシア

 

★〈-filia〉というのは、「・・の病的愛好」というような意味で、harpaxofilia の語源はギリシャ語の〈harpax〉からきており、「盗難・強奪」という意味、性的に興奮すると物を盗むことに喜びを感じる。dacrifiliaは最中に涙が止まらなくなる症状、somnofiliaは最中に興奮すると突然眠り込んでしまう、いわゆる「眠れる森の美女」症候群、elifiliaは予め作り上げたものにオブセッションをもっているタイプらしい。にわか調べで正確ではないかもしれない。

 

★製作の経緯は、監督によると「最初(製作会社)Vertigo Filmsが企画を持ってきた。テレシンコ・フィルムも加わるということなので乗った」ようです。しかし「プロデューサーからはいちいちうるさい注文はなく、自由に作らせてくれた」と。「すべてのファンに満足してもらうのは不可能、人それぞれに限界があり、特にセックスに関してはそれが顕著なのです。私の作品は厚かましい面もあるが悪趣味ではない。背後には人間性や正当な根拠を描いている」とも。「映画には思ったほどセックスシーはなく(期待し過ぎないほうがいい?)、平凡で下品にならないように心がけた」、これが100万人突破の秘密かもしれない。

 

   

                (ナタリア・デ・モリーナとアレックス・ガルシアのカップル)

 

 

        (パコ・レオンとアナ・Katzのカップルにベレン・クエスタが割り込んで)

 

 

                   (ルイス・バジェホとカンデラ・ペーニャのカップル)

 

★前の2Carmina o revienta12)とCarmina y amen14)は、レオンの家族、母親カルミナ・バリオスと妹マリア・レオンが主役だったが、第3作には敢えて起用しなかった。

 

 

                  (孟母でなく猛母カルミナ・バリオスと孝行息子のパコ)


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