短編のベテラン、フアンホ・ヒメネスの新作*カンヌ映画祭2016 ④2016年05月14日 08:54

     ベテラン短編作家の“Timecode”がパルムドールに挑戦

 

★「短編」部門のもう1作が、フアンホ・ヒメネスの新作Timecodeです。「短編は長編映画の跳躍台と考えている人が多いが、私はそう思っていない。短編を作ることが好きなんです」と短編に拘るヒメネス監督。今回は自身が教鞭をとるレウス映画学校ECIRの学生が撮影に参加している。今年の応募作品は5008作、昨年より458作多い。2014年が3450だったから年を追うごとに競争が激化していることが分かる。また「シネフォンダシオン」部門には2300の応募があり、うち短編18作(アニメーション4作)がノミネーションされた。

ECIREscuela de Cine de Reus)レウス映画学校、レウスはカタルーニャ州タラゴナ県にあるワイン生産で有名な都市。ガウディの生れ故郷でもあり、モデルニズムの町として観光地にもなっている。 

        

        (学生を指導しながらの撮影風景、左側が監督、右側がルナ)

 

   Timecode2016

製作:Nadir Films

監督・脚本・製作:フアンホ・ヒメネス

脚本(共同):ペレ・アルティミラ

データ:スペイン、スペイン語、2016年、短編15分、カンヌ映画祭2016短編部門正式出品

 キャストラリ・アイクアデ Ayquadé(監視員ルナ)、ニコラス・リッキーニ Ricchini(監視員  ディエゴ)

解説:駐車場の監視員ルナとディエゴの二人は昼夜交替で勤務している。一人が昼間、もう一人は夜間。パーキングは秘密と発見に満ちている場所だ。痩せて小柄なルナが男性用に縫製された制服を着ると、彼女の体は服のなかで泳いでしまう。アップされたメーキングからは〈事件〉が見えてくる。 

   

       (モニター装置を見つめるルナ役のラリ・アイクアデ、映画から)

 

監督キャリア&フィルモグラフィー

フアンホ・ヒメネスJuanjo Giménez (Jiménez) は、1963年バルセロナ生れ、監督、脚本家、製作者、編集者。1994Hora de cerrarで短編デビュー、同年製作会社〈Salto de Eje〉を設立(2006年に〈Nadir Films〉に再編成)。1995年のEspecial con luzは各映画祭で評価され、スペイン国営テレビによって放映された。1996Ella está enfadada、翌年のLibre Indirectoはモンペリエ映画祭のショート・フィルム賞、ジローナ映画祭の脚本賞を受賞した。以上が主な短編作品。

 

★他に長編映画Nos hacemos falta (Tilt)2001)はモントリオール映画祭で上映された。ドキュメンタリーEsquivar y pegar10)とContact proof14)の2作品を撮っており、前者はサンセバスチャン映画祭の「メイド・イン・スペイン賞」にノミネートされた。長編は以上の3作だけで、「ショート・フィルムのスペシャリスト」と言われている。

 

     

    (“Nos hacemos falta (Tilt)”のポスターを背にしたフアンホ・ヒメネス監督)