トロント映画祭2015*ホナス・キュアロンFIPRESCIを受賞 ― 2015年09月25日 22:47
父親は『ゼロ・グラビティ』のアルフォンソ・キュアロン
★年々注目を集めるようになった「トロント映画祭TIFF」も40回を数えた。米国の隣りということで地の利もいいので集客力も凄い。審査員を設定せず、つまり観客賞が最高賞です。ここでの受賞はオスカーにも繋がるから一石二鳥というわけです。2008年以来の受賞作7作のうち6作がノミネートされ、内3作がオスカー像を手にした。例えば、2008年の『スラムドッグ$ミリオネア』、2010年の『英国王のスピーチ』、2013年の『それでも夜は明ける』の3作です。これらのデータから、1994年以来TIFFディレクターとCEOを兼ねるピアーズ・ハンドリングは、「国際映画祭として重要性が増し関心を示してもらえることに誇りに感じています」と。さて今年の受賞作“Room”は果たしてどうでしょうか。
(キュアロン父子、『ゼロ・グラビティ』のころの写真)
★スペイン語映画の目ぼしいサプライズは、ホナス・キュアロンの長編第2作“Desierto”がFIPRESCI国際映画批評家連盟賞を受賞したことです。1981年、アルフォンソ・キュアロンを父にメキシコ・シティに生れる。監督、脚本家、プロデューサー、フィルム編集、俳優と何でもこなす。長編デビュー作は“Año uña”(2007)、このときの主演女優Eireann Harperと同じ年に結婚している。『ゼロ・グラビティ』の脚本を父と共同執筆、本作には父も製作者の一人に名を連ねている。親の七光りは大いに利用すべしです。
データ:メキシコ=フランス合作、スペイン語・英語、2015年、製作(Esperanto Kino / Itaca Films 他)、94分、トロント映画祭(9月13日)がワールド・プレミア、ロンドン映画祭(10月14日)正式出品が決定している。
★物語はメキシコから米国へ徒歩での国境越え、いわゆる不法移民がテーマ、主役にガエル・ガルシア・ベルナルを迎えることができた。不法移民のテーマは過去にもあるし多分未来にも途絶えることなく選ばれると思います。それぞれ切り口は異なっても過去のことではなく、目下進行中のテーマだからです。急遽会場に駆けつけたガエル・ガルシア・ベルナル、「1時間前に到着したばかりで、まだふらふらです。しかしここに来られて最高です。この映画はこれからも息長く記憶に残るだろうと思います。移民問題は熟知してる人、それほどでもない人の違いはあっても、皆が知っている焦眉の急だからです。経済的あるいは治安の悪さと理由はいろいろですが、好き好んで国境越えをしているわけではない」とコメント。「どうか移民たちが生活できますように!」と立ち去り際に叫んでいた由。重いテーマですね。
(当日駆けつけてきたGG・ベルナルと喜びのスピーチをする J・キュアロン監督)
★その他、ベネチア映画祭監督賞受賞作品、パブロ・トラペロの“El clan”「ザ・クラン」が審査員特別メンションを受賞、いわゆる佳作です。この映画についてはベネチア映画祭で記事にしています。
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