オスカー賞2016*スペイン代表映画の候補3作品2015年09月09日 17:36

          バスク映画『Flowers / フラワーズ』が驚きの候補に

 


★アカデミー賞のガラは来年228日、まだラテンビートも始まらないのにオスカー賞の話は早すぎますが、昨年のラテンビートと東京国際映画祭で共催上映されたホセ・マリ・ゴエナガ & ジョン・ガラーニョのFlowers / フラワーズ』が一つに選ばれました。2014年作と少し古いですがスペイン公開が遅かったので選ばれたのでしょう。他はガルシア・ケレヘタのFelices 1402015Happy 140”)とカルロス・ベルムトのMagical girl2014)の2作です。3作とも既にご紹介しています。

 

Magical girlは、年初には夏公開とアナウンスされましたが、今もって未定です。配給元(ビターズ・エンド)との打ち合せかと思いますが、7月にベルムト監督は来日したようです。話題にもなりませんでしたが、「どうかお蔵入りになりませんように」と祈るばかりです()。今回選ばれなくても公開時には改めて記事にいたします。監督はもともとの出発がコミックのデッサンを描いていた。大変なマンガ好き、子供の頃は映画などに興味なかったそうです。映画のストーリーは、日本のテレビアニメ「マジカル・ガール Yukiko」が好きな病弱な美少女をめぐる奇妙なミステリーです。サンセバスチャン映画祭2014金貝賞監督賞(銀貝賞)ダブル受賞の映画です。監督、キャストは以下で紹介しています。バルバラ・レニーがゴヤ賞主演女優賞を受賞など、他にも盛りだくさんな受賞歴です。


Magical girl”の記事は、コチラ⇒20149162015年0121

バルバラ・レニーの記事は、コチラ⇒2015年0327

 


 (左から金貝賞受賞の製作者ペドロ・エルナンデス、銀貝監督賞受賞のカルロス・ベルムト

 

 

Felices 140のガルシア・ケレヘタは、現在スペイン映画アカデミーの副会長の一人。エンリケ・ゴンサレス・マチョ前会長がゴヤ賞授賞式後に任期半ばで突如辞任を表明、改選されてアントニオ・レシネスが会長、彼女とバルセロナ派のプロデューサーエドモン・ロチが副会長に就任した。本作はマリベル・ベルドゥを主役にしたシリアス・コメディ、興行成績もよく選ばれる可能性が高いか。今年は決定打がなく3作のうちどれが選ばれてもプレセレクションには残れない気がします。

Felices 140”の記事は、コチラ⇒2015年01月07/同04月03

 


          
          (本作撮影中のマリベル・ベルドゥとケレヘタ監督)

 

 

Flowers / フラワーズ』は、サンセバスチャン2014で「初のバスク語映画がコンペティションに」と話題になった作品。ゴヤ賞2015の作品賞にもノミネートされ、無冠でしたが画期的な出来事でした。作品も良かったから、スペイン映画界にとっても大きな収穫でした。以下のように何回か記事にいたしましたが、セルバンテス文化センターのニューズレターによると、共同監督のデビュー作80 egunean2010、英題“Por 80 Days”)が上映されるようです。残念ながら「バスク語スペイン語字幕」ということですが、映像の力で楽しめるのではないかと思います。『フラワーズ』で名演技を見せたイジアル・アイツプルが主演の一人アスンに扮し、もう一人マイテには本作でデビューしたマリアスン・パゴアゴが扮しました。当ブログで紹介した簡単なストーリーを再録すると、大体こんなオハナシです。


     

80 egunean:少女だった遠い昔、親友だったアスンとマイテの二人はひょんなことから50年ぶりに邂逅する。アスンは農場をやっているフアン・マリと結婚するため引っ越して以来田舎暮らしをしていた。両親と距離を置きたい娘は離婚を機にカリフォルニアに移り住んでいる。レズビアンのマイテはピアニストとして世界を飛び回ってキャリアを積んでいたが既に引退して故郷サンセバスチャンに戻ってきた。別々の人生を歩んだ二人も既に70歳、不思議な運命の糸に手繰り寄せられて再び遭遇する。この偶然の再会はアスンに微妙な変化をもたらすことになる、自分の結婚生活は果たして幸せだったのだろうか。マイテにサンタ・クララ島への旅を誘われると、アスンは自分探しの旅に出る決心をする。

 


    (アスン役のアイツプルとマイテ役のパゴアゴ、映画から

 

★受賞歴:「トゥールーズ・シネ・エスパニャ2011で二人揃って女優賞を受賞した。年輪を重ねた知性豊かな二人の女性のナチュラルな演技が観客賞にも繋がった。

 


       (左から、ジョン・ガラーニョ監督とホセ・マリ・ゴエナガ監督)

 

上映作品80日間』 (80 egunean) とシネフォーラム

日時:20151018日(金曜日) 1900

場所:セルバンテス文化センター地下1階「オーディトリアム」

入場無料、予約不要、先着順、バスク語スペイン語字幕入り

講師アインゲル・アロス/ホセ・マリ・ゴエナガ監督のビデオでの挨拶

 

Flowers / フラワーズ』の記事は、コチラ⇒2014年092211月092015年0116