アイタナ・サンチェス=ヒホン*メネンデス・ペラーヨ国際大学の講師に2015年09月01日 10:22

           「ラホイ政権は映画や演劇の破綻を命令している」

 

★先日、2015年の「スペイン映画アカデミー金のメダルをフアン・ディエゴと受賞」のニュースをアップしたばかりのアイタナ・サンチェス≂ヒホンですが、夏期講座の老舗でもあるメネンデス・ペラーヨ国際大学UIMPの講師に招かれました。1932年に「サンタンデール夏期国際大学」として創立されたUIMPカンタブリア州の州都サンタンデールにあり、現在は同市出身のメネンデス・ペラーヨの名前を冠した夏期専門大学です。王室の夏の離宮としてマグダレナ半島の先端に建てられたマグダレナ宮殿に本部が置かれ、現在は一般にも開放されています。多くの大学が夏期限定の特別講座を一般公開しますが、料理の美味しい避暑地での夏期講座は、講師陣にも参加者にも人気です。同じ時期にクラシック音楽の「サンタンデール音楽祭」も開催され、他にバレエ、演劇など、1991年に完成した「パラシオ・デ・フェスティバル」で上演されます(1941年の大火で市全体が焼失した)。

メネンデス・ペラーヨ(18561912サンタンデール)、サンタンデールを代表する哲学者、言語学者、歴史家、作家、政治家でもあった。

 


           (マグダレナ半島にあるマグダレナ宮殿の全容

 

★昨年の夏期講座にはアルゼンチンのフアン・ホセ・カンパネラ(『瞳の奥の秘密』の監督)が招かれたように、ラテンアメリカ諸国からも講師が招ばれる。ギリシャ悲劇『メディア』についての講演に先立ち記者会見したサンチェス≂ヒホンは、現ラホイ政権のルイス・デ・ギンドス経済大蔵大臣の「映画や演劇など文化事業にかける消費税21%**を引き下げる考えは全くない」という声明に対して、「現政権は映画や演劇を破綻させる命令を変えていない」と批判、「ポルノ・ビデオがより安い消費税であるのは驚くほかはない」と嘆息した由(825日)。講演テーマを『メディア』に選んだのは、例年7月下旬に開催される「メリダ演劇フェスティバル」で『メディア』に出演したからと思われる。

 

**消費税は20129月に8%から21%に倍以上に引き上げられた。6カ月間の据え置き期間をおいて2013年に導入された。当時はバルデム兄弟を先頭に反対デモ行進がマドリードの大踊りを埋めた。現映画アカデミーの大きな課題となっている。

 


   (アイタナ・サンチェス≂ヒホン、メネンデス・ペラーヨ国際大学の夏期講座にて)

 

★文化事業に携わる異業種とも連携して経済省も交えて会合を重ねているようだが、一度上げた税率を下げるのは難しい。政府側からは「消費税減税は机上の空論」と一蹴され膠着状態が続いている。「責任の欠如と解釈するし、私たちの国にはびこる文化を基本的な財産の一つとは考えない慢性病です。文化を単なる娯楽としてしか捉えておらず、私たちを統治しているのは多くの凡人たち」とサンチェス≂ヒホン。映画やお芝居を観るのはおんな

 

★彼女は「物言う女優」の代表選手の一人、監督のイシアル・ボリャイン、ガルシア・ケレヘタ、イサベル・コイシェなど、スペインでは政治的発言をする女性シネアストは多い。ペネロペ・クルスも夫バルデム一家の影響もあるのか、一児の母になってからは可愛いだけのお姫様役を返上して、教育行政についての発言も目立つ。最新作フリオ・メデムの“Ma ma”も公開された。乳癌に罹った母親役、抗癌剤投与ですっかり髪が抜けたショッキングな姿も。プロデューサーとしてもデビューした。

 

スペイン映画アカデミー「金のメダル」受賞の記事に、サンチェス≂ヒホンの「キャリアとフィルモグラフィー」を紹介しております。コチラ⇒201581

 

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