ダニ・ロビラ*21世紀のガラン、パパラッチが待ち伏せ2015年07月14日 13:25

                  人気急上昇のダニ・ロビラ

 

★行く先々にパパラッチが待機して人気上昇中なのがダニ・ロビラ、2014年のスペイン映画界の救世主だったエミリオ・マルチネス≂ラサロOcho apellidos vascasの主人公だ。2015年のゴヤ賞授賞式の総合司会者に抜擢されたのも異例なら、共演者の恋人役クララ・ラゴとあっという間にゴールインしたのもファンを驚かせた。彼女には過去に何人も噂になった恋人がいましたからね。目下“Ocho apellidos vascas”の続編Ocho apellidos catalanesが進行中ですが、あいだにマリア・リポルAhora o nuncaに出演、昨年11月から撮影に入っていたが完成、早々と公開された。 


★“Ocho apellidos vascas”の続編は、バスクからカタルーニャに舞台を移しました。監督、脚本家は同じ、登場人物のメンバーは当然のことだがバスク編とほぼ同じ、ほかにアントニオ・レシネスロサ・マリア・サルダなど大物俳優が参加、ストーリーの詳細はまだ明らかになっていない。撮影続行中だが、封切りは20151120日と既にアナウンスされている。柳の下の二匹目のドジョウを狙っていますが、いつもドジョウがいるとは限りません()

 

                長編2作目“Ahora o nunca”に出演

 

★肝心のマリア・リポルAhora o nuncaはロマンティック・コメディ。リポル監督については第5Rastros de sándalo2014)が「モントリオール映画祭2014」で観客賞を受賞した際に紹介しています。今年のゴヤ賞脚色賞にもノミネートされた佳作でした。その中で“Ahora o nunca”についても少し触れております。

モントリオール映画祭2014Rastros de sándalo”の記事はコチラ⇒20141218

 

               

                        (マリア・リポル監督、恋人たちに挟まれて)

 

      Ahora o nunca

製作:Atresmedia Cine / AXN / CanalEspaña / Zeta Cinema / Zeta Audiovisual / etc.

監督:マリア・リポル

脚本:ホルヘ・ララ、フランシスコ・ラモス

音楽:シモン・スミス、ビクトル・エルナンデス、メロディ、エリック・ナヘル

撮影:パウ・エステベ・ビルバ

録音:セルヒオ・ブルマン

衣装:クリスティナ・ロドリゲス

   

データ:スペイン、スペイン語、2015、コメディ、86分、スペイン公開2015619日、製作費約290万ユーロ、配給元ソニー・ピクチャー

撮影地:バルセロナ、サン・ヘリウ・デ・コディナス、ヘロナ(ジローナ)県のカンプロドンの各地、アムステルダム

 

キャスト:ダニ・ロビラ(アレックス)、マリア・バルベルデ(エバ)、クララ・ラゴ(エバの従姉妹タティアナ)、ジョルディ・サンチェス(エバの父親フェルミン)、ホアキン・ヌニェス(アレックスの父親サンティアゴ)、グラシア・オラジョ(アレックスの母親カリティナ)、メロディ(アレックスの妹イレーネ)、アリシア・ルビオヨランダ・ラモス(ニネスおばちゃん)他

 

ストーリー:アレックスとエバは数年間の恋人期間に終止符をうち、とうとう結婚することにした。ついては結婚式はイギリスの片田舎で挙げたい。何故かと言うと、二人はそこの語学学校で知り合ったからだ。エバは式場の準備に一足先に現地入り、かたやアレックスは招待客一行を引き連れてバルセロナを出発、ところが折悪しく航空管制官たちのストライキに遭遇、飛行機はオランダの首都アムステルダムへ。次々に降りかかる予期せぬアクシデント、はたして花婿は花嫁の待つイギリスに到着できるでしょうか。

 

★タイトルの「ahora o nunca」の意味は、「やるなら今でしょ」、今をおいてチャンスはないという慣用句。スペインではロブ・ライナーの痛快コメディ『最高の人生の見つけ方』(2007)とタイトルが同じでややこしい。余命6カ月を宣告されたジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンが、死ぬ前にやり残したことを「やるなら今しかない」と、病院を抜け出して冒険の旅にでるストーリー。日本の観客も大いに勇気をもらった映画。まあ、本作のストーリーとは関係なさそうだが。 

                       

                           (従姉妹同士、バルベルデとラゴ)

 

★ダニ・ロビラによると、ブレークした「オーチョ・アペジードス」バスク編が公開される前に脚本を貰った。公開前だからテレビで顔は知られていたとしても、当然多くのファンがいたわけではなかった。だから「海の物とも山の物とも分からない」自分を選んでくれたのは「僕を信頼してくれた」と大いに感謝した。いよいよ封切られ1週間2週間が経った頃からチケット売り場に行列ができ始めた。その後の快進撃は「あれよ、あれよ」という間だった。クチコミの凄さを実感したことでしょう。今では行く先々にパパラッチが待機、道行く人々も「あのひとオーチョに出ていた彼じゃない」という具合。名前ではなく飽くまで「オーチョの彼」だ()。「目が覚めたら別の人生が始まっていた」というダニも既に34歳、これからが正念場と言えそうです。

 

             (イギリスに向かう花婿と招待客一同)

 

★撮影は2014114日クランクイン、バルセロナで7週間、続いてサン・ヘリウ・デ・コディナス、フランスと国境を接するヘロナ県(カタルーニャ語でジローナ)のカンプロドンの谷間の数カ所の村、ここが結婚式を挙げるイギリスの片田舎になる模様。最後がオランダのアムステルダム、スペインのコメディとしては結構お金を掛けている。製作費は約290万ユーロ、封切り2週目で354万を叩きだし、もう元は回収できました(3週目492万、Rentrak調べ)。2015年に公開されたスペイン映画では目下最高ということです。ハリウッドを含めると、勿論『ジュラシック・ワールド』がナンバーワン、桁が違います。 

                         

                                           (アムステルダムで撮影中のダニ・ロビラ)

 

キャスト紹介*

ダニ・ロビラとクララ・ラゴは“Ocho apellidos vascas”で紹介済みなので、それ以外の主なキャストを紹介すると:

    

マリア・バルベルデは、アルベルト・アルベロの『解放者ボリバル』(ラテンビート2014)で薄命のボリバル夫人を演じた女優。1987年マドリード生れ、マヌエル・マルティン・クエンカの“La flaqueza del bolchevique”(2003)でデビュー、翌年のゴヤ賞とシネマ・ライターズ・サークル賞の新人女優賞を受賞した。汚れ役が難しいほど品よく美しいから、逆に女優としての幅が狭まれている。そろそろ曲がり角に差し掛かっている。今年から来年にかけて公開作品が続く。

      
    (結婚式の準備をするエバ)


アリシア・ルビオは、1983年マドリード生れ、ダニエル・サンチェス・アレバロの『マルティナの住む街』(2011)、“La gran familia española”(2013)など主にコメディ出演が多い。数多い短編以外主役に恵まれない。

   

ジョルディ・サンチェスは、1964年バルセロナ生れ、俳優と脚本家の二足の草鞋派。芸歴は長いがTV出演がもっぱらなので、日本での知名度は低いか。

   

ヨランダ・ラモスは、1968年バルセロナ生れ、TVドラのシリーズで出発、出演多数のベテラン。映画デビューはサンチャゴ・セグラの『トレンテ4』、パコ・レオンの2作目“Carmina y amén”で「マラガ映画祭2014」助演女優賞を受賞、本作出演が3作目となる。

  

メロディの本名はメロディ・ルイス・グティエレス1990年セビーリャ生れのアーティスト、シンガーソングライター、エレクトロ、ダンサー、デザイナーと多才。今回映画女優としてデビュー、アレックスの妹役を演じた。勿論音楽も担当。YouTubeで新作を聴くことができます。

  


『解放者ボリバル』の記事はコチラ⇒2013916(トロント映画祭2013

20141027(ラテンビート2014

マラガ映画祭2014の記事はコチラ⇒2014年4月13

*追記: Netflix 『やるなら今しかない』 の邦題で配信された。